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【リーダシップの旅編5:リーダーシップとマネジメントの違い~飴と鞭ではだめな時がある~】

*本マガジンのこれまでの投稿は上記に入れています。

40代で、ある大企業の関連子会社の社長である健は、就任2年目を迎えています。1年目の業績は振るわず、戦略構築・マネジメントでも試行錯誤しているところのようです。そんな時、本社で取締役で元上司の哲也にたまたま出会います。健が現状の悩みを相談しているうちに、”リーダーシップの旅”を紹介されます。この本についてオンライン勉強会をする流れになり勉強会を開いています。本日は第2章「なぜリーダーシップが必要なのか」2回目の解説になります。

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🧒‍;おはようございます。

👨‍🦳‍;おはよう。今日は前回の続きとして、第二章の第二回目を進めていこう。前回はリーダーシップとマネジメントの違いについて少し触れた。今日はその辺りをもう少し詳しく見ていこう。

◆リーダーシップの不純物

👨‍🦳‍;リーダーシップを経営学で論じるとさ、企業というフォーマルな組織を扱っているから企業内のリーダーシップを考察するのがすごく難しくなるんだ。

🧒‍;ですね。リーダーはポジションではないです。でもリーダーと呼ばれる人物が予算権や人事権を握った段階で、フォロワーは純粋なリーダーシップをその人に帰属させていないかもしれないですからね。

👨‍🦳‍;また、企業内で、最初は多くの人が反対していたが、リーダーの行動によってそれがひっくり返り、成功したという実例はさほど多くないんだ。

🧒‍;ややこしい。リーダーというよりも全体の意思を尊重することもありますから。

👨‍🦳‍; そうなんんだ。そんな中、企業内でのリーダーシップを測る場合、私は「指揮系統下にいない応援団がどれだけいるか」が試金石と言われている。

🧒‍;応援団ですね。

👨‍🦳‍;「後ろを振り向いたら、嫌々ではなく、喜んでついてくるフォロワーがいますか?」という問いかけによっても、リーシップがその場に発生しているかどうかを目に見える形で試すことができるんだ。

🧒‍;リーダーからの視点からだと、ならば、「喜んでついてくる」を「勝手についてきた」と言い直してもいいですよね。フォロワーが勝手についてくるということで。

👨‍🦳‍:スケールの大きい、しかも組織でなく運動のなかで自然発生的にリーダーになったガンジーのような人を見ていると、会社の中でのリーダーシップを見る時には、かなり注意がいるということだ。

🧒‍;なるほど、リーダーシップはフォロワーを前提とするのではなく、フォロワーを生み出すプロセスです。でも、 企業経営者が「フォロワーがいなければ、リーダーシップは成り立たない」と言い出したら、「いやいや、あんたリーダーでしょ」となりますからね。。ここが複雑。

👨‍🦳‍;その複雑に絡み合う、リーダーシップとマネジメントの違いについて話していこう。リーダーシップとマネジメントは、その役割、人とのかかわり方・影響のあり方、扱う対象・挑戦する対象がかなり異なっているんだ。とりわけトップ自らがリーダーシップとマネジメントを履き違えてしまうと、自分のどんな部分にフォロワーが喜んでついてきているのかが分からず、落とし穴に落ちていることにトップ自身が気づかない、という事態が起きる危険性がある。

🧒‍;それ、かなり危険ですよね。

👨‍🦳‍;だからさ、一度両者を分けて考えてみることが有用なんだ。

🧒‍;ですね。でも、リーダーシップとマネジメントの違いを、説明しろといわれても結構困ってしまいますね。

👨‍🦳‍;本の中では、通常説明する時には、次の三点を挙げることにしている。違いを明確にするために、あえて両極端をイメージして説明しているんだ。下記のように書いてある。

第一点目は「見える」か「見えない」か。リーダーは「見えないもの」を見て、あるいは見ようとして、新しい世界をつくり出すのに対し、マネジャーは「見えるもの」を分析し、それらに受動的もしくは能動的に対応しながら、漸進的に問題を解決していく。戦略経営論の一番オーソドックスなフレームワークに、SWOT分析(企業が、内部環境における強み<strength〉と弱み〈weakness>、外部環境における機会 <opportunity〉と脅威/threatを見極めながら、戦略プランを決定していくというもの)があるのを読者はご存知だろうが、いくら戦略マネジャーであっても、分析対象は「見えるもの」だ。この点が、リーダーが、他の人に見えない何かを見る、見ようとしているのとは異なっている。

 第二点目は、「人としての働きかけ」か「地位に基づく働きかけ」か。リーダーもマネジャーも、周囲に働きかけ、活動をつくり出していく点では同じだ。しかし、リーダーが、人々の価値観や感情に訴え、共感・共鳴を得て、賛同者・支持者のネットワークを広げていくのに対して、マネジャーは、組織の成員に対して、地位に基づく権威、権限をもって働きかける。一言で言えば、リーダーはパーソナルなパワーをよりどころとし、マネジャーはポジショナルなパワーをよりどころとする。
 
 第三点目は、「シンクロ(同期化)する」か「モティベートする(動機づける)」か。リーダーは、人々の内在的な意欲に基づく自発的な行動を誘発し、同じ方向へ向かって歩みをともにするが、マネジャーは、飴とムチを使って人々の行動を管理(コントロール)し、ある方向へと向かわせようとする。つまりリーダーシップとは、リーダーとフォロワーの間でそれぞれの夢がシンクロナイズしていく過程であり、その中でリーダーの夢が全員の夢へと昇華されていく。これに対して、マネジャーの原点には、人を動機づけてその行動を変えていくという側面がある。

🧒‍;なるほど、「見えないものを見るか」、「人としての語りか」、そして、「夢をシンクロさせるか」ですか。確かに、人がついていくのってこの部分になっていきますね。

◆「リーダーは創造と変革を扱う」

👨‍🦳‍;そう。リーダーは創造と変革を扱うんだ。君が思い浮かべたリーダーも、現状を大きく変えたとか、何か新しいものをつくり出したりして時代を画した人物ではないだろうか。これに対し、マネジャーは現状を維持するか、少しずつ漸進的に変えていく。組織の安定性や持続性を維持するためにマネジメントは機能するが、組織の変化を生み出すためにリーダーシップは機能する。

🧒‍;では、リーダーが扱う創造と変革とは何なのでしょうか。そこに何らかの共通性はあるのですかね。

👨‍🦳‍:著書内で、創造と変革を説明するにあたって、引用するのがコロンブスの卵の話だ。コロンブスの卵の話は皆知っていると思うから詳しくは話さないが、「だれかが達成した後には当たり前に見えるが、その前には到底不可能と思えること。」創造とはこういうものだ。ビジネスモデルの構築においても同様だろう。スターバックスコーヒーが日本に上陸した時、成功すると考えた人がどれほどいただろうか。

🧒‍;なるほど、その通りですね。変革も同じですよね。

👨‍🦳‍:例えば、ロシアが社会主義から資本主義に移行したのだってそうだ。起きてしまえば当たり前なのに、起きるまではだれもそれを想像ができない。

🧒‍;変革も、そういうものなのですね。

👨‍🦳‍:創造と変革には共通点があるんだ。その共通点を理解することが、リーダーシップの本質を解く鍵だと著者は言っている。創造と変革の共通点は、「事前のあまりにも高い不確実性」 と「事後には当たり前だと受け入れられる常識性」ということになるんだ。そして、事前の不確実性と事後の常識性、その間にあるのは、連続ではなく非連続なんだ。

🧒‍;なるほど、リーダーシップの旅において、リーダーはこの非連続を飛び越えるということなのですね。だから、ある人が「見えないもの」を見ているのに対して、他の人にはそれが見えない。そこには連続性がないということなのですね。

👨‍🦳‍;そう。見えないから、ある人が一緒に行こうと言っても、他の人はなかなか首を縦に振らない。たとえ、ある人が村の中の序列ではボスであり、「沼を渡れ」と権威や命令で駆り立てたとしても、住民たちはせいぜい面従腹背で、従うふりをするだけだろう。いやいや沼に一歩を踏み入れても、何か不気味な物音がすると、あわてて森の中に逃げ帰ってしまう。飴とムチの動機づけは、ここではあまり役に立たないんだよ。

🧒‍;ここ、、重要ですね。。飴と鞭が逆効果であったり、役に立たない時ありますよね。本当にここ理解しないとやばいです。

👨‍🦳‍;もう一度言う、リーダーとマネジメントは異なる。リーダーは「見えないもの」を見て、地位による権威ではなく、人々の価値観や感情に訴え(沼地を渡る場合は背中で見せ)、人の共感を得て、自分の夢とみんなの夢のシンクロ(同期化)をつくり出す。には、そこに重要なメッセージが潜んでいるんだ。

◆驚きはいらないマネジャー、驚きだらけのリーダー

👨‍🦳‍;J・P・コッターはマネジャーを「複雑性への対処」、リーダーを「変革への対処」とキーワードで対比したんだ。マネジメントのキーワードにシステム、秩序、安定、予測可能性を加えることもできる。ルールや仕組みに精通し、これらをうまく活用するのがマネジャーだ。優れたマネジャーは、上から下りてきた目標を与えられた手順で部下を使って達成していく。良し悪しは別にして「経営に驚きはいらない」が典型的なマネジメントだ。

🧒‍:わかります。高度経済成長時代の日本なんかはこのタイプの人が重要になりましたよね。ミスしない仕組みが大事。驚きなんていらない。大企業ではこの手の人が優秀と言われ管理者になっていく場合が多い。

👨‍🦳‍;そう。組織としては、それも大事。優れたマネジャーの理想は「自分がいなくても回る」組織にしていくことだ。他方、リーダーが未知の世界へと向かっていくその行動は、傍から見れば「驚きだらけ」だ。ややもすればバランス感覚に欠け、ひやひやするが、一徹さに周囲の人たちは心を打たれ、つい応援したくなる。

🧒‍;わかります。リーダーは常に先頭を切り、本人がそこにいないだけで支障が生じる。職場で上司のリーダーシップの度合いを測りたかったら、その上司が不在の時の混乱の度合いを見るといいかもしれないですね。だからマネジメントはマネジメントで必要ですよね。

👨‍🦳‍;リーダーだけだと、大規模で複雑なシステムをなす組織の業務はうまく回らない。せっかく創業しても、ある段階を過ぎれば、しっかりとしたマネジメントの仕組みがないと、経営が足踏みしたり、成長が止まったり、場合によっては会社がつぶれてしまうこともあるからな。

🧒‍;両方なんですよね。ホンダの場合の本田宗一郎さんと藤沢武夫さんみたいなものですよね。

👨‍🦳‍:天下国家レベルでも、産業界でも、一つの会社、一つの事業分野でも、それを苦労して立ち上げる人も、軌道に乗せて安定した体制をキープする人もともに大事だ。しかし、現代においてリーダーとマネジャーのどちらのタイプが不足しているかと言うと、戦略発想で変革・イノベーションを起こせるリーダーなんだ。

🧒‍;両方大事だけども、今リーダーが不足しているということですね。実感としてもわかります。

◆リーダーシップは大人になってからの有力な発達経路

👨‍🦳‍;著書では、リーダーシップを大人になってからの有力な発達経路の一つと言っている。担当者からマネジャーとなり、やがてマネジャーからリーダーへ脱皮するという発達経路は、決して決定論的なものではないが、少なくとも確率的プロセスだと思われる。

🧒‍;なるほど。サラリーマン(ウーマン)はだれもが担当者としてスタートしますよね。営業担当者や開発担当者として、課題を与えられ、個人としてやり遂げようとする。この段階での夢は「早く一人前になること」です。

👨‍🦳‍;そう。やがて管理職に昇進し、部下を何人かもつと、仕組みを通した問接的な貢献を求められるようになる。それまでは個人で貢献すればよかったのだから、慣れないうちはもどかしさを感じるのが当たり前だ。しかし、何らかの目標が達成された時、その人は「自分の夢がみんなの夢になる」状態に少しだけ近づくわけだ。

🧒‍;わかった。もし、その段階で「見えないもの」が見え始めていたとしたら、自分が成し遂げたい夢を会社のリソースを使って実現できるかもしれないというわけですね。

👨‍🦳‍;そう。それが会社のためになり、ひいては社会にも役立つと思い、絵の実現に向かって、部下ではなく人とのつながりを自分でつくり出せれば、その人はリーダーへの旅を歩み始めている。と言っていいのかも知れないと言えるんだよ。

🧒‍;そうやって歩み始めるのですね。

👨‍🦳‍;創造に向けての旅は、通常は一人で始まり、リーダーはそのプロセスで振り返ると後ろを人がついてくるという経験をするが、やがてフォロワーの人数が多くなったり、目指すものが大きくなったりしてくると、リーダーとフォロワーの間に上司と部下のような擬似的な組織関係が生まれる。

🧒‍;なるほど。さらに、組織の中のトップが変革を扱う場合には、トップは、マネジャーの帽子をかぶりながら、リーダーシップという非連続を飛び越える旅に挑むことになるのですね。言い換えると、スタート時からリーダーシップとマネジメントの両方を機能させながら旅を歩ということですね。なるほど。

👨‍🦳‍:その通り少しづつ理解できてきたかな。次に行きたいところだが、おっと、もうこんな時間だ。やはり、第二章2回では終わらなかったな。今日は、リーダーシップとマネジメントの違いについて話した。次回は2章の最後として、この章のタイトルにつながる「なぜそのリーダーシップが必要なのか」について解説していこう。

🧒‍;ありがとうございます!

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 今回は、第二章の中盤を解説しました。前回、フォロワー視点の重要性、リーダーシップとマネジメントを混同の怖さを解説し、今回その違い解説しました。次回はその上で「なぜ今リーダーシップが必要なのか」について解説して、2章を終わりにしたいと思います。スキ・フォローいただければ嬉しいです!

*なお、下記の固定記事に私のnoteの全体コンセプトを記載しています。
(初期のコンセプトからいろいろ飛躍していますが・・)

これまでの複数マガジン(書籍解説)を作成してきましたが、一覧と位置づけは下記です。(一つでも興味がおありでしたら、上記【導入編】のリンクを載せているので覗いてみていただければ嬉しいです。)

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番外編もあります。


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