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【リーダシップの旅編6:“今”なぜリーダシップが必要なのか。】

*本マガジンのこれまでの投稿は上記に入れています。

40代で、ある大企業の関連子会社の社長である健は、就任2年目を迎えています。1年目の業績は振るわず、戦略構築・マネジメントでも試行錯誤しているところのようです。そんな時、本社で取締役で元上司の哲也にたまたま出会います。健が現状の悩みを相談しているうちに、”リーダーシップの旅”を紹介されます。この本についてオンライン勉強会をする流れになり勉強会を開いています。本日は第2章「なぜリーダーシップが必要なのか」3回目の解説になります。

◆今なぜ、リーダー待望論なのか 

👨‍🦳‍;ここ数年間ほど、企業のトップや人事担当者に会って「今、御社に必要な人材とは?」と尋ねると、「リーダーが必要です」と言われることがとても多くなったというんだ。「マネジャーではなく、 リーダーが欲しい」というストレートな要望もよく耳にするとのことだ。

🧒‍;なるほど。でも、なぜ、 の企業や組織の人たちが口をそろえて「リーダー待望」を言い始めたのでしょうか。

👨‍🦳‍;理由は単純明快だ。世の中が創造と変革の時代に入ったからにほかならない。グローバル化。物言う株主に続いてのM&Aの洗礼。人材の流動化。環境問題の深刻化とCSR(企業の社会的責任)への注目度の高まり。

🧒‍;時代が変わり、スピードがアップし、今、くの企業がビジネスモデルの変更を迫られ、組織がそのあり方を問われている。あらゆることにおいて、パラダイムシフトが起きているということですね。

👨‍🦳‍;企業も、行政・政治も、高度化社会にあっては組織を単位に機能している。そうした組織が、創造と変革の時代にリーダーシップを必要としている。この問題を考えるために、そもそも組織とは何だろうかを考えていくことが大事なんだ。

🧒‍;組織は、ある目的のために二人以上の人間が協働することによって生まれますよね。そして、その活動が発展し、協働に参加する人の数が増えるにつれ、内部にルールが作られていく。そして、マニュアルが作られる。同時に人や活動の評価やフィードバックのシステムが構築されていく。それが組織だと思います。

👨‍🦳‍;さすがだな。これらはマネジメント機能に関係する。だがこれができても、問題が発生する。組織は組織化を進めれば進めるほど、皮肉なことに、組織化そのものが、結果的に組織に自己破滅の遺伝子を埋め込んでいくプロセスでもあるんだ。

🧒‍;はい・・。感覚的にはわかります。硬直するというか・・。

👨‍🦳‍;そう。環境が安定しているうちは問題にならないが、絶えず環境が変化するような時代に入ると、組織の首を絞め始める。そのような組織は柔軟性に乏しくなり、不活性化・硬直化する。メンバーの間では悪しき官僚主義が横行するようになり、やがて組織としての有用性を失ってしまう。

🧒‍;なるほど、そこで、環境と組織との不一致を解消し、組織に適応力や柔軟性を回復させることが重要となり、そこで出てきたのがリーダー待望論というわけですね。リーダーシップは環境の変化にキャッチアップを試み、時には環境自体を変化させて、新たな時代における組織の有用性を取り戻す役割を果たさなければならないということですね。

👨‍🦳‍;ああ、ただし、ここからが本当の問題だ。改めて問いを投げかけるならば、組織はリーダーシップを育む豊かな土壌を提供しているのだろうかということなんだ。組織で働多くの人が、組織の中でリーダーシップ を発揮することはたやすいことなのだろうか。君の会社のメンバーもリーダーシップを発揮しやすい土壌になっているかい?


🧒‍:ど、っどき。。業績にとらわれて、マネジメントをきつくしていたというか、、膠着させていたかもしれません。

👨‍🦳‍:試みに「企業」「会社」の語源を遡ってみよう。英語の「エンタープライズ」はもともと「冒険」という意味なんだ。それが、安定したオペレーションのための存在になってくると、そういう場で突出する人は周囲との軋轢を生む。もとはエンタープライズのための集まりだった組織がそうでなくなった段階になると、カンパニーはリーダーシップを育てないというより、「リーダーまでいかない方が楽な組織」になってしまうのだと私は思う。

🧒‍;わかります。変わらないほうが、楽変えようとして軋轢を生まないほうが楽。そうなります。

👨‍🦳‍;リーダーシップは、実際にリーダーシップをとった人にしか教えら だから、「リーダーを育てるリーダー」の存在がないと、リーダーシップの連鎖は生まれない。

🧒‍;でも、それに対して、マネジメントは、マネジャーでなくても教えられる部分が多いですよね。管理上の仕事やそのやり方、予算の使い方、人事考課の仕方、法律上の制約等々は正規教育で教えることができる。もちろん、他の人々を動かして事を成し遂げるもどかしさを学ぶのは、なかなか大変なことで、これだけは、経験を通じてOJTの場でということになる。

👨‍🦳‍;けれども、マネジメントに習熟し、管理職が板についてくると、その人は既存のシステムを壊してでも新たなものをつくり出そうとはしなくなるわけだ。出世階段の途中で「諦め」の感覚にとらわれ、沼地を渡って未知への旅に出ようとしなくなる。ローレンスピーターの「ピーターの法則」のことだ。

🧒‍;誰もがランクが上がっていくと無能に近づくという話ですね。あるレベルに行ったら、リーダーシップにチャレンジする人が少なくなると。なるほど。失敗したり、疲れたりしますからね。いい年して疲れたくないと・・。

👨‍🦳‍;どこかで会社を変えたい、変えようと努力を繰り返し、結局、何も変わらなかった時、人は「学習性無力感」を抱く。つまり変革志向のミドルほど無力感を感じやすいわけで、やる気と力のある人、リーダーシップをとろうとする人ほど疲れ果て、逆に、決められた「やらされ仕事」をこなすだけの人が元気。そんな倒錯した状況が組織の中では起きがちってわけ。

🧒‍;正論振りかざして何も変えない人、本当に元気ですからねー。どや顔しながら(笑)

👨‍🦳‍:それに、最初は未知の世界を目指していた旅も、やがて行程が安定し、人々は落ち着きを求めるようになるんだ。そんな時にこそ、本当は変革が必要だとしても、よほどその必要性に深く気づかなければ、なかなか次の旅は始まらない。

🧒‍;でも、事後には常識となることであっても、事前には不確実ということがありますよね。やる前にはまったく形が見えなかったりするものに突き進まないと変革は起きないですよね。やはり、勇気が必要ということですね。

👨‍🦳‍;その通り。

◆組織と個の同化がリーダーシップの発揮を阻害する

👨‍🦳‍;以前、野田さんは所属していたINSEAD(欧州経営大学院)の仕事の一環で、日本のある自動車メーカーのグローバル経営幹部育成のお手伝いをしていたそうだ。その時プログラムで、日本人の中堅のみならずアメリカやイギリスの現地幹部も交えて、リーダーシップの議論を行ったんだって。リーダーシップを一人称でとらえるという話をした後、締めくくりに私が、「あなたたちは会社のために働くのではありません。会社が、あなたたちが成功するために存在するのです」と言うと、外国人参加者からものすごく感激され、握手まで求められたそうなんだ。

🧒‍;ん?そんなことに感動するのですか?外国人は、そりゃそうだろ、当たり前だろって思いそうですけど。

👨‍🦳‍;そうなんだよ。より、自我が強いはずのアメリカ人やイギリス人をして「社員は会社のために働く」「組織の一員として自分は存在している」と思い込ませてしまっているということなんだ。だから、野田さんの上の言葉に感動したんだ。

🧒‍;日本企業の同化力はすさまじすぎですね。。

👨‍🦳‍;どんな人でも組織に入るまでは、「あれをしたい」「これをしたい」という希望をもっている。会社に入ったばかりの新人や若い社員たちは、多少なりとも自らの「内なる声」に耳を傾け、個の論理に従って生きようともがく。

🧒‍:しかし、組織の中で生きるうちに、そのことを忘れてしまうということですね。自分という個は本当は何をしたかったのかを忘れ、与えられたポジションにおさまって組織のために働くようになる。そんな人たちをたくさん見てきました。私もそうなりかけているかもしれません。

👨‍🦳‍;人はいったん組織の論理に従って生きる術を身につけてしまうと、いつの間にか慣行に従い、みんなと同じものを見るような生き方に染まってしまうんだ。なおかつ組織は、個に同化を強烈に求めてくる。職場では自由にポジションを選べないし、事異動にも簡単には逆らえない。いっそ会社を辞めようかと悩んでも、失うものが大きすぎるからそれも怖い。

🧒‍;うわぁ、、わかる。。そうこうしているうちに、組織にとって正しいことが自分にとっても正しいことと言い聞かせるようになっていくんです。

👨‍🦳‍;そして、いつの間にか、組織の成功が自分の成功と無意識に思い始めるんだ。そうした生き方、考え方を前提とした行動が、組織の中で評価されてしまうと、ますます個と組織の同化が進み、私たちの目には「見えないもの」が見えなくなる。


🧒‍;偉くなればなるほど、同化に上がらうことは難しくなる気がします。

👨‍🦳‍;そう。だからこそ、リーダーシップを発揮しづらいのが、大企業においては社長であることも十分ありうるってことなんだ。その会社の過去の成功体験、古い秩序の具現者こそが社長であり、企業環境が安定的だった頃、複雑性への対処と問題解決において能力を示し、トップに上り詰めたのが社長その人であるかもしれないからね。

🧒‍;ルーティーンの中で評価されてきたり、過去の成功にとらわれると変えようという気持ちになっていかないですよね・・。

◆経験から持論を

🧒‍;でも、組織や会社はいつもルーティンで回っているとは限らないですよね。まったくゼロの状態から新規事業が立ち上がった時や、つぶれかけていた事業分野を建て直そうする時、事業部やプロジェクトチームは活気にあふれているはずです。

👨‍🦳‍;その通り、大きな絵に向かってメンバーや他部門、社外の人たちまでが巻き込まれていく過程で、リーダーシップは必ず発揮される。この現象は、今のどの企業でも起こりうることだ。野田さんはリーダーシップの学校は「経験」だと考えているが、こうした経験を会社の中でくぐることは決して不可能ではない。

🧒‍;だけど、経験だけでもないというか、経験は皆しますもんね。

👨‍🦳‍;そう。肝心なのは経験を放置しないことだと思う。上司がとったリーダーシップを観察したら、みんなで議論して教訓を引き出せるような場が必要だろうし、経験の意味づけが社内で起きれば、会社にリーダーシップが育つ下地ができるんだ。それを続けていくことで、自分なりのリーダーシップの自論、理論と言ってもいいものができていくんだ。

🧒‍:なるほどです。

👨‍🦳‍;野田さんは、機会があるごとに、企業の経営トップや人事担当の役員の方々に対し、「組織を強くするためにリーダーを育てようとしても、組織は絶対に強くならないし、リーダーが育つこともない」といっているそうだ。個と組織の関係、個の論理と組織の論理の関係性が変わらなければ、企業にリーダーはコンスタントに現れないというんだ。

🧒‍;個の論理と、組織の論理の関係性を変える。。。すみません。どういうことでしょうか?

👨‍🦳‍;例を挙げて話そう。その点において何より参考になるのは、リクルートという会社だという。リクルートは、社員が「自ら機会をつくり出し、機会とともに成長する」ことを創業以来強く打ち出し、個の自立と尊重が今でも経営の要諦となっている会社なんだ。

🧒‍;この自律と尊重が経営の要諦。なるほど。

👨‍🦳‍;個の論理が組織の論理に先立つ企業であり、リクルートを強い会社にするために自分が存在するのだと思うような社員は、あの会社にはまずいないと思う。

🧒‍;つまり、自分が成功するために、リクルートが存在し、自分が成功することで、リクルートも成功すると考えるということですかね。それは、一般の会社では考えにくいですね・・。

👨‍🦳‍;実際、人材輩出力において、リクルートは日本企業の中で傑出している。それは個人が成功するために組織が存在しているとい方が、社内で明確だったからに違いないんだ

🧒‍;きっと、そのような企業からは、旅への一歩を踏み出すリーダーがたくさん出てるる可能性が上がるのでしょうね。もちろん他の企業と同様、課題をたくさん抱えていて、これからも人材輩出で傑出できるかは未知数でしょうが。

👨‍🦳‍;いずれにしろ、ここで言いたいのは、一般的に、組織の論理に埋もれた官僚的で匿名的なエリートたちは、個の論理を封じ込めている。残念ながら、そういう人に上っ面だけのリーダーシ 教育を施しても何の意味ってことなんだ。まずは組織の論理から脱却してもらい、自分とは何か、自分には何ができるのかを徹底的に振り返ってもらう必要があるんだ。

🧒‍;そうか。そして、さらに、自立した個が社会へと大きく目を向けて、自分はこの組織を利用して何ができるだろう、社会に何をもたらしどんなメッセージを送れるだろうと考えた時、リーダーシップの旅の第一歩が始まるわけですね。結果として、そのようにして生まれたリーダーが、結果として組織に最も大きく貢献するというわけですね。

👨‍🦳‍;そのように貢献できるようになることは、その人の成長だと私は思う。しかし企業の人事部担当者に「次期経営幹部の育成とは、成人の一つの非常に興味深い発達の仕方を支援することだと思いませんか」と言うと、たいてい「今、なんて言いました?」とキョトンとされてしまうそうだ。

🧒‍;成人の発達の仕方を支援するなんて言われたらそりゃ,キョトンとしますけどね(笑)でも、ミドルが、自分一人ではできないようなスケールの大きな絵を描いてみる。一緒にやる人がいたら、その人も成長するような大きな仕事を構想し、怖がらずにやり通して、会社や社会への遺産(レガシー)とする。それが出来たら、確かに発達という言葉が合う気がします。中年の発達ものがたりです。

👨‍🦳‍;おお。そうなんだよ。これで二章は終わりになる。改めて、まとめる
マネジメントとリーダーシップは異なる。マネジメントは、複雑性に対処し、組織の安定性と持続性を維持するために機能する。これに対し、リーダーシップは創造と変革を扱う。「見えないもの」を見て、その実現に向けて人々の価値観や感情に訴え、彼らの共感を得て、自発的な協働を促すんだ。

🧒‍;はい。そして、創造と変革には、事前の不確実性と事後の常識性という共通点があり、この非連続をリーダーは飛び越える。環境変化が著しく、創造と変革の時代を迎えているからこそ、リーダーシップは求められているんですよね。

👨‍🦳‍:そう。だが、組織という環境は、リーダーシップを育むには必ずしも適していない。組織の中で生きる個に対して、組織は強い同化力を及ぼすことで、個の論理を見失わさせてしまうことがあるからだ。リーダーシップの旅には、組織の中の私たちが、組織の論理から脱却して、個の論理を起点に生きることが求められる。

🧒‍;少し大げさですが、結果においてリーダーになるということは、大人になってから後も、また中年以降も、成長していることを実感できる有望な発達経路の一つでもあるということですよね。

👨‍🦳‍;その通り。腑に落ちたようだな。よし、時間になったし、今日はこれで終わりだ。次回は第三章の「旅の一歩を阻むもの」を解説していく。

🧒‍;はい。よろしくお願いいたします。

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今回で第二章を終了します。同化してしまうというところは本当にドキッとしますよね。入社した時何をしたかったのか、いまそれを忘れていないか、自問自答していきたいですね。さて、次回は3章に入っていきます。引き続きよろしくお願いいたします。スキ・フォローいただければ幸いです。

*なお、下記の固定記事に私のnoteの全体コンセプトを記載しています。
(初期のコンセプトからいろいろ飛躍していますが・・)

これまでの複数マガジン(書籍解説)を作成してきましたが、一覧と位置づけは下記です。(一つでも興味がおありでしたら、上記【導入編】のリンクを載せているので覗いてみていただければ嬉しいです。)

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番外編もあります。



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