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【リーダシップの旅編9:磨くべき力】

*本マガジンのこれまでの投稿は上記に入れています。

40代で、ある大企業の関連子会社の社長である健は、就任2年目を迎えています。1年目の業績は振るわず、戦略構築・マネジメントでも試行錯誤しているところのようです。そんな時、本社で取締役で元上司の哲也にたまたま出会います。健が現状の悩みを相談しているうちに、”リーダーシップの旅”を紹介されます。この本についてオンライン勉強会をする流れになり勉強会を開いています。本日は第4章「旅で磨かれる力」の前半の解説になります。

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◆リーダーシップを要素分解してみると

🧒‍;おはようございます。今日は4章ですね。早いもので残すところ、4章と5章のみですね。

👨‍🦳‍:ああ。今日は4章の前半だ。前回、自分の積み上げてきた信頼と“夢と志”をすり合わせるという話をした。旅を始めることの重要性、そして進め方という点だ。今回は、リーダーシップの旅を歩む上で、欠かせない力について解説していく。唐突だが、また質問。複数あるとすれば、どんな力が一番大切だと思う?

🧒‍;えーと。。その力と、知識やスキルは違うのでしょうか。

👨‍🦳‍;それとは異なる。少しづつ紐解いていこう。

🧒‍:すみません。。でも、この本では、リーダーシップの要素を第三者の視点から分析、考察したり、リーダーに必要な資質は何かを議論したりすることを避けてきましたよね。「結果として」リーダーになった人の資質や能力を後付けで分析し、要素分解するような議論ってそもそも意味をなさないというスタンスだったと思います

👨‍🦳‍:いいこというね。まあ、そうだ。でもそれはあくまでも表層的にしかとらえないように前段として話をしていたんだ。そうは言っても、これから旅を歩き出そうとしている人や今まさに旅の真っ只中の人にとっては、何らかの指針、旅の羅針盤が欲しいところだと思う。そこで、この章ではハウ・ツーに流されることなく、これまで避けてきたリーダーシップの要素やリーダーの資質の議論に踏み込んでいくってことさ。

🧒‍;なるほど。

👨‍🦳‍;リーダーに求められる資質をあえて要素分解するならば、「構想力」「実現力」「意志力」「基軸力」の四つの力だとこの本では言っている。

🧒‍;「構想力」「実現力」「意志力」「基軸力」。おお。

👨‍🦳‍;その中でも重要なのは意志力と基軸力であり、普段はこの二つをまとめて基軸力と呼んでいるそうだ。ここではわかりやすく分けているが。まずは構想力と実現力から説明してみたい。

🧒‍:お願いします。

◆絵を描くのではなく、見ようとする・感じる

👨‍🦳‍;構想力とは、時代の流れを感じ取りながら、新しい世界像、社会像、組織像をイメージする力を指すんだ。

🧒‍;リーダーの最も大切な役割はビジョンを描くこと、自分が「そうありたい絵」を描くことだともしばしば言われますよね。でも、実際私もリーダーとしての立場を経験していますが、「絵を描く」と言うとなんだかきれいに聞こえますが、そう簡単にできることだとも思えないですよね。例えば、いきなり日本の新しい社会像、自分の所属する組織の新しい姿、自分が手掛ける新しい事業の形を描いてみなさいと言われたら、書けないっすよ。

👨‍🦳‍;もちろん、きれいな絵が描ける人は素晴らしい。でも、描けなければ旅が始まらないかと言うと、必ずしもそうではないんだ。

🧒‍;ですよね。。

👨‍🦳‍;野田さん自身、NPO法人の代表として、活動のビジョンを描かなくてはならない立場にいるが、実際のところ、きれいなビジョンなどというものはやすやすとは思いつかないという。漠と見えているものは確かにあるという。しかし、それをきれいな形にするには、悪戦苦闘の繰り返しや、何かをきっかけとした「ジャンプ」が必要だというんだ。

🧒‍:ジャンプですか。

👨‍🦳‍:少しわかりにくかもしれないな。悩んだ末に「何だそうだったのか」といった具合に突然イメージが明確になるといいたらいいかな。

🧒‍;悩みながら進みながら、現実にぶつかっていく中で突如見えてくるという感じですかね。

👨‍🦳‍;そうだ。したがって、構想力においては、絵を描く力よりも、「見えないもの」を見ようとする力、感性で感じる力が重要なんだ。きれいな絵は、初めからきれいとは限らず、むしろ旅の中で次第に輪郭がはっきりしていくものだと野田さんも言っている。

🧒‍;そして、ビジネスですから、描く際に時代の脈略も読み取る必要がありますよね。

◆時代の脈絡を読み取る知性

👨‍🦳‍:その通り。「リーダーシップ・イン・ザ・コンテクスト」というとらえ方が重要なんだ。

🧒‍:時代や文脈の中でリーダーシップをとらえないと、話にならないですからね。

👨‍🦳‍;「In Their Time(『時代のなかに』という著書がある。この本は、米国の百年の産業史を十年ごとに刻み、各時代で成功をなした企業で変革型のエマージェント・リーダーとなった経営者を研究したものなんだ。

🧒‍:難しそう。。。

👨‍🦳‍;その本では、経営リーダーに、もしも資質めいたものがあるとしたら、それはコンテクスチュアル・インテリジェンス (contextual intelligence)、つまり「生きている時代の脈絡を読み取る知性」だと書いてある。

🧒‍:過去のリーダーを考察する際、その人が「見えないもの」を見ていたかどうかや、なぜ、その人の夢がみんなの夢になったのかを知ろうとすれば、私たちはまず彼らが生きた時代背景を見なければならないということなのですね。

👨‍🦳‍:ビジネスの現場にいる人たちに、ベストジョブや自分がリーダーとして成長した一皮むけた経験を語ってもらったり、議論してもらったりしていると、それぞれが自分のことを語りつつも、話 八々との関係、 動かしていた場、会社、その会社が埋め込まれていた社会へと行き着く。

🧒‍;なるほど。当然組織にまつわるすべての現象はコンテクスト(文脈)の中で生じているということですね。自分の経験を振り返る時には、自ずと社会や時代を振り返っていることになるのはわかります。

👨‍🦳‍:自分をどこに導きたいか分からずに、人は動かせない。力ずくで人を動かすのでないのなら、自分が結果としてリーダーになることになる状況の意味合いがうまく感知できないといけない。リード・ザ・セルフから実際にエマージェント・リーダーになっていく上で社会の文脈捉えることが必須になってくるんだ。

🧒‍;なるほど。どこに自分をリードするかを自分で決める。それに共振する人が大勢現れるとしたら、その時代をうまく読めている時だということですね。

👨‍🦳‍;時代に感応する際に動くのは、自分と組織内の部下だけでなく、組織内外を問わず、あらゆる人たちだ。リーダーの描く大きな絵、リーダーが見る「見えないもの」がコンテクスチュアル・インテリジェンスの所産だとすれば、それが時代と合ったものであるほど強力となるんだ。

🧒‍;なるほど。リード・ザ・セルフによって内なる火を点した後、それが他の人々の心を(最初は反対していたとしても)とらえていくようになるのは、そういう力によるのものなのかもしれませんね。

◆時代の変曲点をどう読むか

👨‍🦳‍;コンテクスチュアル・インテリジェンスは、とても含蓄のある言葉だと思う。また、本の中では「時代の変曲点 (inflection point)」を読む重要性も説いているが、これもコンテクスチュアル・インテリジェンスとの共通点が見出せるという。

🧒‍;変曲点と文脈を読むというところがつながるのですか?

👨‍🦳‍;私が大好きなリーダーに、日本で初めて本格的なオンライン株取引を始めた松井証券の松井道夫さんがいる。

🧒‍;老舗の小さな証券会社を婿養子として継ぎ、社内の反発を押し切って外交セールス、コールセンターを廃止して、すべての取引をインターネットに切り換えることで会社を急成長させた人物ですよね。

👨‍🦳‍;ああ、ある時著者の金井さんは、安易にも松井さんに「一体どうやって時代の変曲点を読むのですか」と聞いたそうなんだ。松井さんは「変曲点なんて読めない。ものすごい葛藤、血反吐を吐くような思いの中、不安にかられながら決断するんですよ」と答え、こう続けた。「唯一の方法は歴史から学ぶこと。自分が生きている今という時代を歴史の流れの中でとらえ、未来に思いを馳せるのです」といったそうだ。

🧒‍:「歴史は繰り返す」といったありふれた教訓ではなく、人間の営みがつくり出すもの、そこにおける進化の方向性を読み解く重要性を、松井さんは言いたかったのでしょうね。おそらく松井さんは証券会社のトップとして、市場というものがどのようにして生まれたか、人間社会のためにどんな役割を果たしてきたかを、歴史を学びながら深く考えていた気がします。

👨‍🦳‍;こうした話をした後では、卑小に聞こえてしまうかもしれないが、構想力にはより現実的な力も含まれる。それは、戦略的・論理的な思考を駆使し、より具体的な設計図を描く力だ。

🧒‍;それはMBAで習うような経営リテラシーでしょうか・・・?

👨‍🦳‍;もちろん、リテラシーも、あるにはあった方がいい。だが、リーダーシップの旅を歩むにあたって不可欠かというと疑問が残るというんだ。その上、本当に必要なのは机上の知識ではなく、実践でもまれ、身についていく(いわゆるストリート・スマートの)思考法・判断力だと本には書いてある。

◆構想を現実に変える実現力

👨‍🦳‍:構想力の話がやや長くなったので、実現力については短くふれることにしたい。実現力とは、人とのコミュニケーションを通じて、見えないものへの理解・共感を得て、構想を現実へと変えていく力を表すんだ。

🧒‍;つまり、描いた絵の理解を求め、時には説得する力ということですね。

👨‍🦳‍;ああ。そして、同時に人々から意見をくみ上げ、その見識を引き出していく力。さらには、相手の気持ちや心の機微を理解して、感情に働きかけて共感を得ていくIQならぬEQ(情動指数/心の知能指数)などだ。

🧒‍;それこそ、なかなか指標化できないものですね。

👨‍🦳‍;そう。だが、リーダーシップの旅がリード・ザ・セルフからリード・ザ・ピープルの段階へと進んでいくにつれて、こうした力がとりわけ重要となってくるんだ。そして、さらにフォロワーとの間に擬似的もしくは正式な組織関係が生じ始めると、マネジメントに近い資質も必要となってくる。


🧒‍;人数が集まってくると当然マネジメントも必要になってきますからね。チームメンバーの多様な力を最大限引き出す力、権限委譲とサポートを行いながらメンバーをエンパワーしていく力、チームやより大きな組織の仕組みや環境を整える力などですね。

◆意志力 ~知行合一を引き出し、支える意志の力~

👨‍🦳‍:野田さんはNPOの活動を展開する中で、構想力・実現力の様々な要素が必要だと思い知らされてきたし、事務局スタッフとのやりとりでも、論理的・戦略的思考を磨こう、数字に強くなろう、自分を相手の立ち位置に置いてコミュニケーションしよう、と口を酸っぱくして言い続けているとのことだ。しかし。

🧒‍;しかし、、さらにここから大事なことがあるのですね。

👨‍🦳‍;そう。リーダーシップの旅を始めるにあたって、最も必要なものは何かと問われ 野田さん間違いなく意志力だと答えるというんだ。旅の第一歩、リード・ザ・セルフへと私たちを駆り立てる条件として、「頭と心を一致させること」「吹っ切れる体験」が重要だとあった。そして3章では、私たちの旅立ちを阻むアクティブ・ノンアクションについて、さらには、旅の原動力としての「ナメクジの跡」についてふれたてきた。これら一連の話は相互に関連している。わかるよな。

🧒‍;はい。そのすべてにかかわってくるのが 心力です。知行合一を実現する意志力ですね。

👨‍🦳‍;そう。これは、だれかに教わることはできない。上司が与えてくれるわけでもないんだ。それは自分自身との真摯な対話から生まれてくるんだ。自分は一体何がしたい人間なのだろうか。自分にとって現状を打破する仕事や挑戦は、どのぐらいの意味をもっているのだろうか。ということの自問自答だ。こうした自問自答を続け、頭(理性)だけでなく、心(感情)から納得した時、意志の力が生まれ、アクティブ・ノンアクションが克服されるんだ。

🧒‍;なるほど。ここで、アクティブノンアクションが打破されるんですね。

👨‍🦳‍:そして、この意志力で大事なことはやりきる力だ。思い切った決定やアクションまではできるのに、肝心な時にリーダーが逃げ出したら最悪だろう。決断し、アクションをとった後は、成果につながるまでやり抜く。
エクスキュートは普通、実行力や執行と訳されるが、「死刑を執行する」という時にも使われる。

🧒‍:言葉としても非常に強いですね。

👨‍🦳‍;きれいな言葉で訳すのではなく、「とことんやり抜く」もしくは「逃げない」の方が意味は伝わりやすい。ちなみに経営幹部を意味する「エグゼクティブ(executive)」とエクスキュートはもちろん同語源の言葉だ。経営幹部と呼ばれるからには、途中で逃げ出さずに最後までやり抜く使命を帯びているんだ。

🧒‍;なるほど。わかりました。

👨‍🦳‍:よし、今日はここまでにしよう。今日は、リーダシップの旅で磨いていく必要がある、「構想力」「実現力」「意志力」「基軸力」のうち、意志力まで解説した。次回は基軸力を解説していこう。

🧒‍:ありがとうございます。よろしくお願いします。

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本日はここまでです。磨くべき力について、構想力、実現力、意志力を解説してきました。夢・志と掛け合わせ、描き実現する。(実現の際に意志力が必要)といったところでしたね。次回は、残りの基軸力について解説し「人間力」について触れていきます。

次回で4章後半ですので、(全部で5章)本マガジンも残り少なくなってきました。ぜひ最後までお付き合いいただければと思います。
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*なお、下記の固定記事に私のnoteの全体コンセプトを記載しています。
(初期のコンセプトからいろいろ飛躍していますが・・)

これまでの複数マガジン(書籍解説)を作成してきましたが、一覧と位置づけは下記です。(一つでも興味がおありでしたら、上記【導入編】のリンクを載せているので覗いてみていただければ嬉しいです。)

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番外編もあります。



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