リベンジャー2話「帰還、メンテナンス、ときどきボードゲーム」

○ 地球・荒野

笑顔で話し合っているリーザとカミラ。

リーザ「(少し心配そうに)どこも壊れてない?」

カミラ「全然。やっぱりこの体は丈夫よねー」

と、自分の頭を右手の人差し指でコツコツとたたきながら、

カミラ「でも、ここだけはどうしようもないわね。さっきみたいに脳振とうは防げないし」

リーザ、自分の頭を右手で触りながら、

リーザ「自分の脳……」

カミラ、リーザの右手の上に自らの両手を重ね、リーザの髪をクシャクシャとかき回す。

リーザ「わっ……」

カミラ「ほんとこのサラサラヘアがうらやましい」

と、かき回すのをやめる。

リーザ、少し乱れた髪を戻しながら、

リーザ「もうまた……。カミラもそうしたらよかったのに」

カミラ、左手を顎に当てながら、目をつぶり、考えるように、

カミラ「でもやっぱり、元の姿になるだけ近づけたい気持ちもあるわよね」

と、自らのポニーテールを触りながら、

カミラ「なんだかんだ言っても、このくせっ毛も好きだしね」

リーザ「ならいいじゃない……、私の髪を触らなくても」

カミラ「それとこれは別ー」

と、笑いながらリーザの髪を触ろうとする。

リーザ、避ける。

リーザ「もう、いいかげんにして」

カミラ「えー、残念」

吉乃の声「あのー……」

リーザ、少し驚き、

リーザ「吉乃のことすっかり忘れてた」

吉乃の声「えっ」

リーザ「龍型のやつと闘っているとき、ひとつもアドバイスくれなかったし」

吉乃の声「すみません……。今回は原則、助言は禁止だったので……」

リーザ「……」

と、思い出したように、

リーザ「ああ、そういえばそうだった」

カミラ、リーザをのぞき込み、

カミラ「通信?」

リーザ「うん」

カミラ「わたしにも来るかな――、あっ、来た来た」

と、リーザから少し離れて行く。

リーザ「で、何?」

吉乃の声「えっとですね。さっきロボットたちと闘った草原まで戻って下さい」

リーザ「どうして?」

吉乃の声「そこまで迎えの船が来ますので」

リーザ「迎えの船?」

吉乃の声「はい」

リーザ「そんなの聞いてないけど」

吉乃の声「これはなるべく直前まで秘密にしていることなんですよ」

リーザ「秘密?」

吉乃の声「はい。ロボットたちにバレないようにということで。仮に盗聴されていても、間に合うようにです」

リーザ「それはまだ分かるけど、迎えの船があるなら、地球に降下するときもその船を使えば……」

吉乃の声「それはダメなんですよ。ロボットたちにそこを迎撃される恐れがありますから。下手すると全滅してしまいますし」

リーザ「なるほど……」

吉乃の声「迎えの時はレーダー上でロボットたちが周りにいないことを確認してから、船の着地場所を決めてます。今回はリーザさんたちがかなりの数のロボットを倒してくれたんで、そこの草原になったということです」

リーザ「説明どうも」

吉乃の声「では、カミラさんと共に移動を開始して下さい」

リーザ「了解」

カミラ、リーザの所に戻ってくる。

リーザ、うなずく。

カミラ「じゃあ、行きましょうか」

リーザ「うん」

カミラ、駆けていく。それに続くリーザ。

駆けていく二人の後ろ姿を、そっと岩陰からのぞく人型の黒いシルエット。

黒いシルエット「……」

○ 同・草原

リーザ・カミラ、二人が並んで立っている。

そこに方々から他のサイボーグたちが走ったり、歩いたりして近づいてくる。

中には片足や、片手がなかったりするサイボーグも。肩を借りているサイボーグもいる。

リーザ、彼らを見ながら、

リーザ「みんな、傷だらけ……」

カミラ「そうね……」

リーザ「カミラの友達は大丈夫?」

カミラ「うん? クロエたちのこと?」

リーザ「(うなずき)うん」

カミラ「大丈夫でしょ。そこそこ強いし」

リーザ「だといいけど……」

カミラ、遠くを見て、何かに気づき、

カミラ「あっ。ほら、あれ」

と、指を差す。

リーザ、指を差した方向を見る。

リーザたちに右手を振っているクロエ・ローラン(見た目は17歳)。茶髪のセミロング。両手槍を背負っている。

クロエの左には肩を借りているイレーネ・フォルツ(見た目は17歳)。銀髪のミディアム。銀色の盾を背負っている。

カミラ「まあ、大丈夫そうね」

リーザ「うん。あっ」

カミラ「どうしたの?」

リーザ、指を差す。カミラが差したのとは反対方向。

爽やかな表情で左手を振っているサラ・マリエール(見た目は18歳)。金髪のショート。少しだけアシンメトリーの髪型。腰にレイピアを帯刀。

サラの右にはサラと腕を組んでいる満面の笑みのエマ・マリエール(見た目は15歳)。金髪のゆるふわパーマ。モーニングスターを背負っている。

カミラ「(あきれ顔で)ああ……。彼女たちは平常運転ね……」

リーザ「(あきれ顔で)うん……」

黒い影がリーザたちの頭上に現われる。

リーザ、見上げながら、

リーザ「あっ、来た」

○ 同・草原・空

降りてくる全長25メートルの小型戦艦。

○ 同・草原

地上に着艦する戦艦。横に設置してあるドアが自動で開く。順番に戦艦の中に入っていくリーザたち。

○ 同・草原・丘

戦艦の中に入っていくリーザたちを見ているカイン(見た目は22歳)。

○ カインの視界

リーザたちのズームアップ。サイボーグたちが全員、戦艦の中に入る。

戦艦が上昇していく。

○ 地球・草原・丘

カイン、上昇する戦艦を見ながら、

カイン「追撃しますか?」

と、うんうんとうなずき、

カイン「了解しました。マイ・マスター」

と、ほとんど雲で隠れてしまった戦艦を見る。

カイン「命拾いしましたね」

と、、風景に溶け込むように消える(ステルス迷彩のような技術)。

○ 宇宙

航行中の小型戦艦。

○ 小型戦艦・内部

縦一列に並んだ長椅子に座っているリーザとサイボーグたち。

座ったまま寝ているサイボーグが大半。

肩を寄せ合い、お互い寝ているサラとエマ。

クロエ、笑いながらイレーネに向けて話している。

イレーネ、ハイハイと受け流すように聞いている。

リーザ、隣に座っているカミラに向き、

リーザ「カミラ」

カミラ「うん?」

リーザ「私を助ける時、コードを使えばよかったのに」

カミラ「ああ、あの時……」

竜型ロボットの攻撃を避けるために、カミラがリーザを突き飛ばしたシーンのカット。

カミラ「私のは制御が難しいからね……。とっさに出すのはちょっとね」

リーザ「難しい?」

カミラ「まあ、いずれ見せてあげるわよ」

カミラ、背後にある窓を見て、

カミラ「着いたみたいよ」

リーザ、窓から外を覗く。

大型戦艦アスモデウスが見える。

○ 宇宙

小型戦艦が大型戦艦アスモデウスの下から収納されていく。

○ 大型戦艦アスモデウス・格納庫

小型戦艦がガシャンと音を立て、固定される。

小型戦艦のドアが開き、続々と並んで出てくるリーザとサイボーグたち。

○ 同・居住区に至る道

並んでいるリーザとサイボーグたち。

リーザたちの目の前に大型の箱のようなものがある。

箱の前には女性型のサイボーグがひとり立っている。

女性型サイボーグ「こちらに入って頂けますか」

サラ「これは何だい?」

女性型サイボーグ「こちらはシャワー室です。皆さんの体についたオイルなどを洗い流してもらうために設置しています」

リーザ、自分の体についた乾いたオイルをキョロキョロと見ながら、

リーザ「うん、確かに洗いたい」

○ 同・シャワー室

壁の四方八方からシャワーが出ている。

その中で多数のサイボーグとリーザたちが、シャワーを浴びている。

洗い流されるオイル。

○ 同・ブリッジ

アニード、大画面の透過型ディスプレーを見ている。

エーデル、アニードの背後にある自動扉から入って来る。

アニード「遅かったのぉ」

エーデル、アニードの横にある椅子に座り、

エーデル「(ため息をつきながら)年寄りは話が長いから嫌いだ」

アニード「儂もか」

エーデル「否定はしない」

アニード「ほっほ」

エーデル「で、状況はどうなっている?」

アニード「戦艦3機を迎えに行かせて、1機はもう戻って来ているぞ。今はシャワーぐらいじゃないかのう」

エーデル「ご苦労。戦果は?」

アニード、端末を操作している女性オペレーターに指示する。

透過型ディスプレーに数字の羅列が映る。

アニード「簡潔に言うと、こちらの死亡が22、破損が33じゃな」

エーデル「(顎に手を当てながら)約半分か……。まあ、上々か」

アニード「補充するか?」

エーデル「いや、このままでいい。で、ウイルスチェックには誰が?」

アニード「副司令に頼んでおいた」

エーデル「(フフと笑い)まあ、適任だ」

○ 同・廊下

一列に並んでいるリーザとサイボーグたち。

リーザの視線の先、短いアーチ型の機械がひとつ設置してある。

一体一体のサイボーグがその中に入り、機械の中心で止まる。それを順番に行っている。

リーザ「あれは何?」

カミラ「さぁ……」

リーザのひとつ前に並んでいるカミラ、機械の向こう側に視線を移す。

そこには窓ガラスが貼ってある。

窓ガラスの向こう側に、霧江怜(銀髪のロングヘアー、眼鏡をしている)が立っている。

左手にはホログラムディスプレーを投射している小型の機械を持っている。

右手でそのディスプレーに触れ、操作している。

カミラ「あれって……(霧江を指差しながら)副司令よね」

リーザ、見て、

リーザ「えーと、たぶん……」

カミラ「あんたねぇ……。まあ、あんまり表には出て来ないから仕方ないかもね」

リーザ、霧江を見ながら、

リーザ「なんで眼鏡をしているの?」

カミラ「なんかあれ、だて眼鏡らしいわよ。(フフフと笑い)何の意味があるのかしらね」

霧江の声「そこのあなた」

窓ガラスの上に設置してあるスピーカーから発せられる霧江の声。

カミラ、一瞬ビクッと体を震わせ、霧江を見る。

霧江、カミラを見ている。

霧江の声「識別番号15711、カミラ・ウォーカー」

カミラ、さらに緊張する。直立不動。

霧江、カミラをにらみながら、

霧江の声「静かにしていることができないのかしら」

カミラ「いえ、できます!」

リーザ、カミラの背中を肘でつつき、

リーザ「(ささやく)あの機械が何なのか聞いて」

カミラ、首だけをリーザの方へ向け、

カミラ「(ささやく)なんで今なのよ」

リーザ、カミラの顔を真っすぐ見据え、

リーザ「(ささやく)気になるから」

カミラ「(ささやく)あんたねぇ……」

霧江の声「カミラさん!」

  カミラ、気を付けの姿勢。

カミラ「はい!」

霧江の声「静かにしていなさいと言ったでしょう」

カミラ「いえ、その……。ひとつ聞いてもよろしいでしょうか……?」

霧江の声「……。ひとつだけならいいでしょう」

カミラ、恐る恐るアーチ型の機械を指差し、

カミラ「あの機械は何ですか……」

霧江、ため息をつき、カミラのほうを向く。

霧江「あなたは普段の講義で寝ているんですか?」

カミラ「へ?」

霧江、左手に持つ小型端末を操作する。

霧江の前に、カミラの顔写真付きのカルテのようなものが映された透過型ディスプレーが現われる。

霧江、それを見ながら、

霧江「実技は良いですが、座学の成績は……芳しくないですね」

カミラ「あのー……」

霧江「まあ、この話は後にしておきましょう」

と、小型端末を操作する。透過型ディスプレーが消える。

少し下にずれた眼鏡を片手で直し、

霧江「この機械はウイルスチェック機能を兼ね備えています」

カミラ「ウイルスチェック……?」

霧江「そうウイルスチェックです。ここで調べるウイルスは微生物のもの、プログラムのもの、その両方ともです」

リーザ、カミラの背後で軽くうなずきながら聞いている。

霧江「船内に未知のウイルスを持ち込ませる訳にはいきませんからね」

カミラ「それは地球のもののということですよね」

霧江「当たり前でしょう。ウイルスプログラムのほうは、敵の攻撃から混入される恐れがありますから」

カミラ「へー、なるほどねぇ」

リーザ、うんうんとうなずいている。

霧江「これも座学の講義で習っているはずですが」

と、カミラを睨む。

カミラ、急いで姿勢を正し、

カミラ「ご教授ありがとうございました!」

と、90度腰を曲げて、一礼する。

霧江「カミラさん」

カミラ、少し引きつった笑顔。

カミラ「はい……」

霧江「後で私の所まで来なさい」

と、ニッコリほほ笑む。

カミラ、肩を落とし、

カミラ「はい……」

霧江、小型端末を操作し、自分の前に透過型ディスプレーを表示させる。

カミラ、首だけをリーザのほうへ振り返り、

カミラ「この借りは返してもらうわよ……」

リーザ、心底に面倒くさそうな表情。

霧江の声「カミラさん!」

カミラ「はいー!」

リーザ「はぁ……」

と、大きなため息。

○ 同・リーザの寝室

机に備えられた椅子に座り、読書中のリーザ。

○ 同・廊下

カミラ、ズカズカと音をたて、走っている。

○ 同・リーザの寝室

カミラの声「リーーーーザーーーーー!!」

リーザ、読書姿勢のまま体をビクッと震わせる。

カミラの声「ここを開けなさい」

リーザ、本に栞を挟み、閉じ、置く。

トボトボと網膜認証式ドアの前まで歩き、ドアを開ける。

カミラ、勢いよくリーザの部屋に入ってくる。

カミラ「さあ、お楽しみの時間よ」

リーザ「はぁ……」

  と、肩を落とす。

カミラ「はい、お一人様ご案内ー」

と、リーザの首根っこを引っ張り、部屋から出て行く。

リーザ、ズルズルと引きずられて行く。

○ 同・カミラの寝室

ベッドが端っこにひとつ置かれている。

部屋の中央には大きな四角いテーブルと、椅子がそれを囲むように4つ置かれている。

カミラ「じゃあ、リーザはここの席ね」

と、椅子のひとつを引いて、リーザに薦める。

リーザ、諦めたように椅子に座り、キョロキョロと部屋を見回す。

部屋の壁の全てに棚が設置されている。そこには大量のボードゲームが整理整頓されて、置かれている。

リーザ「また増えた?」

カミラ「(威張るように)30個ほど」

リーザ、あきれた表情。

リーザ「今日は私だけ?」

カミラ「ううん、クロエとイレーネも来るわよ」

クロエの声「カミラー!!」

カミラ「ちょうど来たわね。はいはいー!」

と、、網膜認証式ドアの前まで歩く。ドアが開く。

クロエ・イレーネ、部屋に入って来る。

カミラ「役者はそろったわね」

と、満面の笑み。

   ×   ×   ×

大きな四角いテーブルの上に、カードの束が裏向きでひとつ積まれている。

そのカードのそばに6枚のカードが、表向きで上下に3枚ずつ並んでいる。

リーザ・カミラ・クロエ・イレーネ、テーブルの周りに座っている。4人とも手にカードを5枚、所持している。お互いに見せないように。

リーザ、困惑の表情。

カミラ、真剣な表情。

クロエ、笑顔。

イレーネ、無表情。

カミラ「ここでこのカードを出して……っと」

と、手札からカードを1枚、目の前の机の上に出す。

カミラ「はい、みんな手札を1枚捨ててねー」

リーザ「うーん……」

と、悩みながら、手札を1枚捨てる。

クロエ「これ、いらないかな」

と、直感で決めるように、手札を1枚捨てる。

イレーネ「……こっちかしらね」

  と、手札を1枚捨てる。

カミラ「で、このカードも出して……。はい、みんな、2枚捨てて」

リーザ「えー……」

クロエ「えー!」

イレーネ「やるわね……」

カミラ「ふふん!」

イレーネ「まだ勝負はこれからよ」

カミラ・リーザ・クロエ・イレーネ、カードを捨てたり、引くことを繰り返しながら、

イレーネ「それにしても」

クロエ「なにー?」

イレーネ「ほんと、脳だけは自分のもので良かったわ。でないと、ゲームをすることすらできないもの」

カミラ「そうよねー」

クロエ「確かに!」

イレーネ「(クロエを軽くにらみながら)もちろん生きていることが大前提だけどね」

クロエ「それはごめん!」

リーザ「何かあったの?」

イレーネ「さっきの戦闘でね」

カミラ「ああ、クロエがへまをしたんでしょ」

イレーネ「正解。クロエの槍が地面に刺さって、抜こうとしているところをロボットにドカンってね」

リーザ「ああ、それをイレーネがかばったんだ」

イレーネ「そう。で、右腕を損傷」

クロエ「だから、ごめんてばー」

リーザ「もう大丈夫なの?」

  イレーネ、右腕を見せながら、

イレーネ「見ての通り、問題ないわ。一応、明日のメンテナンスで細かいところは見てもらう予定だけどね」

リーザ「それは良かった……。って、(大声で)良くない!」

  と、手札をまき散らす。

クロエ「わっ! びっくりしたー」

リーザ「メンテナンスってことは……。カミラ。もしかして今日は朝までやる……?」

カミラ「モチのロンだけど」

リーザ、ため息をつき、イレーネとクロエを見て、

リーザ「みんなはそれでいいの……?」

イレーネ「(澄ました表情で)元からそのつもりよ」

クロエ「(右手を上げながら)私もー!!」

リーザ、肩を落とす。

カミラ、リーザの肩をたたき、

カミラ「じゃあ、そういうことだから」

と、不敵な笑み。

○ 同・メンテナンス室

T「翌日」

横一列に並んでいるサイボーグたち。約50体ほど。

リーザ・カミラ、隣同士で並んでいる。

クロエ・イレーネ、隣同士で並んでいる。

アニード、サイボーグたちの前にいる。宙に浮いた椅子のようなものに座っている。

テレサ(ウエーブのかかったセミロング。髪色はピンク)、アニードのそばに立っている。ナイチンゲールが着ていたような看護服を着ている。

アニードの背後の方に、斜めに立てかけられた酸素カプセルのようなものが左に5機、右に5機ほど並んでいる。その中央には大型のモニターが設置してある。

カプセルの中には、薄い緑色の液体が満ちている。

アニード「じゃあ、始めるとするかの」

と、モニターの前に進み、透過型キーボードをタッチ。

アニード「テレサ。誘導してやってくれ」

テレサ「(お辞儀をしながら)かしこまりました」

テレサ、若干ぎこちなく歩きながら、サイボーグに近づく。

テレサ「ついて来て下さい」

5体のサイボーグ、テレサの後ろについていき、別々のカプセルの前へ。

テレサ「こちらでお待ちくださいませ」

テレサ、モニターの前で操作をしているアニードのそばへ。

リーザ、テレサを見て。眉をひそめる。

カミラ「まだ苦手なの?」

リーザ「少し」

カミラ「見た目はほとんど私たちと同じだけどね」

リーザ「動きがちょっとだけぎこちないのがダメなのかも……」

カミラ「私は気にならないわねー」

テレサ、リーザたちに近づく。

リーザ、少しビクッと体を震わせる。

テレサ「ついて来てください」

リーザ「ああ、うん……」

リーザ・カミラ、テレサの後ろについていき、別々のカプセルの前へ。

テレサ「こちらでお待ちくださいませ」

と、アニードのそばへ。

テレサ「全員、配置につきました」

アニード「うむ」

と、透過型キーボードをタッチ。

カプセルのふたが開く。

テレサ、カプセル前に立っているサイボーグたちを見て、

テレサ「中にお入りください」

リーザ・カミラ・サイボーグたち、薄い緑色の液体で浸っているカプセルの中に入る。

リーザ、あおむけになり、目をつぶる。

リーザN「昔、読んだ本にアンドロイドは夢を見るかというのがあった気がする。その答えにはならないと思うけど、私たちサイボーグはちゃんと夢を見るんだ。いい夢も悪い夢も――」

                             (第2話 終)  

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