マガジンのカバー画像

【要約】ジェンダーの発達科学

8
『ジェンダーの発達科学』という本の要約をまとめました。
運営しているクリエイター

#要約

【要約】ジェンダーと経済格差(著:筒井淳也)

本文は『ジェンダーの発達科学』の第18章より。 社会に埋め込まれたジェンダー問題 ジェンダー研究はその系譜的に、「経験の言語化」により紡ぎ出される研究であり、日常経験と学問知が相互に影響し合うものであると言える。ジェンダーの問題化と社会とが関係を持ってきたということは、同時に、ジェンダーの問題化は時代や地域ごとに異なっていたということでもある。  社会経済の構造は資本主義の発展、すなわち雇用労働の変化とともに変化したが、同様に家族の形態も、父親という経営者を頂点とする自営業

【要約】男性・男性性の研究のあり方(著:渡邊寛)

本文は、『ジェンダーの発達科学』より、第3章。 1. 男性・男性性の研究とは 男性学では、女性学やフェミニズムを意識し、社会的・文化的に規定された男性と男性性、そこから来る問題を対象にしている。男性学の特徴は下記2点。 ①男性性が社会規範によって成り立つこと  女性学やフェミニズムが誕生する以前においては、人間の研究=男性の研究として男性が標準であり女性は特殊な存在とみなされていたが、男性学では男性もまた「男性は●●であるべき」という規範にそって振る舞う存在として捉えらえ

【要約】家族の中のジェンダー(著:土肥伊都子)

本文は、ジェンダーの発達科学の第6章より。最近、2022年5月に出版された本です。 はじめに家族の中のジェンダーと性別役割分業ジェンダーの中核となる性別役割分業 日本の性別役割分業は従来、「男性=仕事、女性=家庭」であったが、近年の「男性=仕事、女性=仕事と家庭」と女性のみ二重負担を引き受ける傾向を「新・性別役割分業」という。こういった現象が伝統的な家父長的価値観の裏付けを持つことで、ジェンダーの不平等感を生み出している。 家族における性別役割分業の心理的影響  しか

【要約】対人関係とジェンダー(著:赤澤淳子)

 本文は、『ジェンダーの発達科学』より、第7章。 はじめに 本章では、成長の過程において男女関係が、対人関係においてどのような特徴をもって現れるのかを検討する。 仲間関係における性別分離 就学前における性別分離は3歳頃から始まり、同性の仲間を選ぶことにより分離が始まり、子供同士が互いの性別分離を強化して促進し合うということが分かっている。  保育や教育には2つの論理がある。即ち、男女を平等に扱う論理と、男女を分けて別の役割を与える論理である。後者は隠れたカリキュラムと呼ば

【要約】理工系進学を阻むジェンダー要因の分析(著:横山広美・一方井祐子)

『ジェンダーの発達科学』の第10章より。 理系の学問分野に女性が少ない理由のうち、社会的要因について検討する。 世界でも稀な高等教育の男女比 日本においては、理系全般について女子学生率が低いが、理系の中で女子学生率の違いについては研究において注目されてこなかった。ジェンダーや人種等の属性に限らず学習や研究機会の平等が保たれるべきである。理系の中でも、特定の分野について女性を排除する構造があるのではないか。  各学術分野に対するイメージを調査した結果では、学術分野に対する強固