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子どもだって労わられたい

私の教室は幼児から小中高生が多く通っている。幼児、小学生の保護者からよくあるご相談は、「子どもが行きたくないと言い出した」「宿題をしたがらない」など。

私の教室に5月から通いだした保育園に通う年中さんの女の子、やさしい笑顔でクラスにもすぐなじみ、楽しそうにレッスンに来てくれていた。習い始めて2か月くらいたったある日、不機嫌そうな顔で来て、ママから離れられずしぶしぶ入ってきた。

保護者の話では、来る直前まで友達と遊んでいて、教室へ向かう車の中で、アイスを食べてくればよかったと言い出し、気持ちがダウンしたらしい。来週もそうなったらどしようとお母様。そんな心配をしたらお子様が本当にそんな気持ちになるから、普通に来てくださいとお伝えした。母の心、子は敏感に察するものだ。そんな場面を幾度も経験している。

次の週もその次の週も、トーンダウンして来て、教室の前でお母様から離れられない、クラスが始まって扉を開け放しておくとしぶしぶ入ってくる感じ。お母様に聞くと、教室に行きたくない、ということもあるとか。でも、教室に入ってクラスが始まると、泣くこともなく、楽しくレッスンしているので問題ないと思うと伝えた。生徒の様子は実際そうであった。

お迎えに来られたお母様は教室の我が子の姿をみて、本当に楽しそうにレッスンをうけているように見えるのに、なんで行きたくないというのかわからない、と首をかしげておられた。

考えてみれば、その生徒は保育園に通っている、彼女のクラスは18時始まりなので、保育園の1日を終えて少し家に寄ってから教室に来ているはず、教室がなければそのまま家でくつろいで、夕飯となり自由な時間のはず。疲れているだろうと予想される、そこで私がお母様にお伝えしたのは、「きっと保育園で疲れているだろうから、教室に来るのがやはり面倒に感じるんだと思います。教室にくれば楽しいのはわかっていたとしても。なので、保育園も行って疲れてるのに、よく頑張って通っているね、えらいね、とぜひお子さんを労ってあげてください。」だった。お母様は驚いた様子だったけれども、やってみます、と言われた。

子どもだって毎日頑張っているんだ、それが楽しいことであっても。だったら、親が決めて通わせることにした塾とか習い事はなおさら、「がんばっているね、疲れているのに通ってくれてありがとう」とお子さんに言ってあげられたら、保護者の方もお子さんもとても気持ちいいはずです。ぜひ、お子さんのがんばりを労ってあげください。きっと、「そんなにたいへんじゃないよ、楽しいし」という答えが返ってくると思います。子どもというものは、そういう優しさや、頑張る力を持っているものだと思う。親が揺らぎなく接すれば、子どもはたいていの場合、気持ちを自分で立て直せる力をもっている。

このところ、その生徒はお母様と早々にお別れして、教室に入ってこられるようになった。でもまた、面倒くさくなったり、教室に来るのが嫌になったりするだろう。その時はまた、次の対処を一緒に考えていきたい。

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