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『笑い』の効用

私は『笑い』を知らない。正確にはTVに出ているような芸人さんのような『お笑い』を知らない。実母は包丁を実装した狂戦士型毒親だったため、毒親あるあるの一つ『TVはNHKだけ』の仕打ちを当然のごとく受けた。数多ある民放コント、バラエティー、ドラマで盛り上がる同級生の会話内容が一切分からず、『生き物地球紀行』でサバンナの厳しさを観続けていた。私にはチャンネル権はもとよりなく、母が死んでからザッピングする楽しさを知った。

とはいえ面白い話には飢えていて、高1から2chに入り浸るようになってからは数々のネタスレ、名コピペに腹を抱えて笑い転げていた。TVを家族の前で見ることは叶わなくともネット回線に繋がったPCを与えられたことで、文字情報だけでひっそりとゲラゲラと『笑い』を摂取できたのだ。ハイティーンから20代にかけて精神的な危機を迎え、基本『死にてぇ!!!』という思考ではあったが、それでもここまで生き長らえてこれたのは、2ch的な容赦のない『笑い』だったと感じている。VIP、喪女板、喪男、ν速とうろうろROMってきて己も周囲も斬捨てるほどのねらーの切味に清々しささえ覚えていた。(オススメは『社会のボトムズ』シリーズ、と『墓地が無料!急いで死ね!』だ。後者の一撃で仕留めに来る姿勢は感嘆に値する)


このような辛辣な笑いで自らの境遇を笑い飛ばすことにより、自己憐憫や被害者意識に染まりきらずに済んだのかも、と2chに多少感謝している。確かに渦中は苦しくて仕方がない。笑い飛ばす余裕などなく、喚き散らしながらどうにかしようと足掻きまくる。けれども、困難から抜け出したのち、それを『ネタ』として昇華できたとき、己にとって本当の決着なのだと最近は感じるようになってきている。


金子みすゞが自死を選んでしまった事実を知って、繊細で優しい気質の人間がそのままで生きていけない世界へ憤りを感じるときは時折ある。どんな時代だってその時代特有の困難はなくせない。むき出しの優しさのままでは生き残れない。だからといって冷酷になっては人間である理由がない。人間でありながらも己自身の精神的領土を護り抜く強さが必要なのだ。その一手段として『笑い』は大事だ。無傷で一生を終えることなどできない。とはいえ転んでも立ちあがる気概を持ち続けている限り、与えられた一生を全うできる、とそう信じている。


※最近のお気に入りは中川家さんです😊オカンとかおばちゃん系が強すぎて大好きです°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°


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