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27歳になった夜の道が少し寒い。

夜空でひときわ輝く星を見た。すごく久しぶりのような気がする。今日は特別雲がないというわけでもないから、僕の心に余裕ができた証拠なのだろうか。そんなことを思いながら、あてもなく歩く。身体の疲れが心の疲れを超えてくれるまで。そんなことはないと頭ではわかっているのに、何かにせかされるわけでもないのに、足早になっていく。喉の乾きが気になってきて、コンビニに立ち寄り、水を買った。お釣りの小銭が意外に多くて、少し萎えた。募金箱が目に入り、全て募金しようとしたが、五百円玉があったから、そのまま財布に入れた。財布がぱんぱんに膨らみ、後ろポッケに無理矢理ねじ込んた。これまで何も捨てきれなかった自分を重ねながら。そんな自分の情けなさを胃に流しこもうとして、水を乱雑に飲む。口からこぼれた水が首に垂れて鬱陶しい。ふと空に目をやると、未だに星は輝いている。そんな自分を全て見透かされているように感じて、すぐに目を伏せ、せっかく開けた水をそのままに家路へと急いだ。そして玄関の扉を開けて、僕は夜空の星よりもずっと明るい部屋につぶやいた。

「二十七歳の誕生日おめでとう。」