チームフォトグラファーという仕事
中島健郎さんについての話です。
この仕事をするようになるずっと前から、山岳カメラマンの彼の仕事スタイルは私の憧れだった。
挑戦したい山に登る。そのためにプロジェクトを立ち上げ、チームを組んで準備をし、頂点を目指してアタックする。成功することもあれば、何度アタックしてもうまくいかず、断念して下山することもある。終わればチームは解散してしばらくオフ。
死と隣り合わせの世界で挑戦し続けているからか、その言動は変態だと思うほどで、だからこそ私は山岳カメラマンという職業に興味津々だった。さすがに自分がその世界に挑戦するほどの覚悟はなくて、あくまで憧れだったけれど。
今、私はチームフォトグラファーとして機材を担いで日本と世界を飛び回り、チームのみんなと頂点を目指して戦っている。舞台は山ではなくてピッチだけれど、死と隣り合わせということでもないけれど、チームメイトも私も、それぞれのキャリアと人生をかけて戦っている。ときどきネガティヴな気分になることがあっても、いやでもこれは私が健郎くんに憧れていた生き方そのものじゃないかと、本当にそう思って気持ちを立て直すこともあったりする。
事故のニュースを聞いて、もちろんショックだったし喪失感は未だに消えない。でも、最後まで挑戦し続けた健郎くんは、変態的にかっこいい。
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