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髪よ伸びるな爪よ伸びるな

前回散髪に行ってからもう一年弱くらいの時間が経ったと思う。

八月ごろに一度自分でテキトーに切ったものの、やはり短くサッパリとはいかず、ひとまず鬱陶しい部分を切除したに過ぎなかった。
そういうわけだから、私の髪は今でも伸び放題である。
今では布団に入ってスマホゲームの消化をしている間に、空いた手で長い髪をねじねじするのが手癖になってしまっている。女の子か。

しかもこの髪、洗っていないので脂でべたべたである。私は手汗をよくかく方なのでゲーム中に傍らにタオルを常に置いているのだが、髪を触った手でもそれを触るせいですぐにタオルがなんだか湿ったような気持ちの悪い触感になってくる。趣味にまで影響してくるのは流石になんとかしたいところだ。

今月はちょっと出費が多いので無理だが、流石に来月あたりに散髪に行こうかなと考えている。
しかし散髪に金はかけたくない。私が近所で最も通った回数の多い理容室は一回五千円くらいで、理容室の代金としては妥当なのかもしれないが今の私にとっては痛すぎる出費だ。

いっそ髪なんて伸びなければいいと何度考えたことか。
丸刈りにしようがスキンヘッドにしようがこの手の悩みから解放されることはない。
私が生命として新陳代謝をし続ける限り、髪の毛を含めた肉体は死と再生を繰り返し続ける。

髪以外の部位でそうした生々流転により私を悩ませるものといえば爪である。
爪というのも定期的に切ってやらないとひどく邪魔になる。風呂に入らずに頭を掻き毟ることの多くなった私にとって、長い爪はさらなる不衛生の種だ。
足の爪も、冬の間は靴下を履いていることが多いから分かりにくいが、日に日に伸びている。
私の足の親指の爪は若干だが巻き爪気味で、しばらく放っておくと歩いただけで少し痛むようになる。これが全く煩わしい。

こうやって考え始めると髪、爪、皮膚、骨、神経、臓器、血液、脳、人体を構成する全ての部位が私にとって煩わしいものになってくる。
やはり全部とっぱらって電脳化してしまうのが理想の未来なんだろうか。
私が生きているうちに電脳化が技術として確立され普及したとしても、私は自己の連続性と死がどうのこうのとか理屈を捏ねて結局肉体を捨てるのを拒んでしまう気がする。

何にせよ、近いうちに髪を切りに行くとしよう。
爪はついさっき切った。
あとは、健康診断などを受けられないかケースワーカーさんに打診してみることにする。
今できることはそれくらいだ。

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