『グリーク: アズールの記憶』プレイ感想
遊ぶ前に注目していたところ
三人のキャラクターを切り替えて遊ぶ2Dアクションなのは購入前に PV を見て分かっていた。したがって注目していたのは以下のとおり。
①「全部こいつ一人でいいじゃん」になっていないか?
当たり前ではあるが、これが成立していると複数キャラを切り替える意味が消えてしまうので大事。切り替えに意味があるなら、それはどうやって作っているのかを見る。
②単調すぎるかどうか
三人一緒に進んでて、障害Aが出てきた→キャラAに切り替えて先へ進む。障害Bだ→キャラBの能力で突破。こういう単調な繰り返しに過ぎないのであれば、本来一人のキャラクターでいいところを三人分割しただけのゲームになってしまう。
③切り替えはやりやすいか?
一人動かして切り替え、を何回も繰り返すようなめんどくさいゲームになっていないかを見る。
遊んでみてどうだったか
①「全部こいつ一人でいいじゃん」になっていないか?
ちゃんと切り替える必要があった。まぁそれは当たり前なんだけども。個人的に懸念していたのはバトルで、戦闘で活躍できるキャラだけ使ってればよい可能性があった。このゲームでは、戦闘はどのキャラもほどほどに得意で、そこまで大きな差を感じなかった。逆に言うとバトルにおいてそこまで個性が無い。そもそもバトル自体にそこまで力が入っていない。
②単調すぎるか
まぁ……そんなに悪くなかった。まず能力差をリストアップ。
固有能力もそこまで個性は無かったかな。これらの能力とは別で、単純に人手が必要なギミックでキャラ切り替えの必要性を生んでいた。
最初はグリーク一人のみ操作でこうした要素は無いが、途中からアダラが加入して本格化する。ギミックに一方を載せて、他方が動かす。これがこのゲームにおける障害の基本になっていた。各種ギミックは、ちゃんとキャラが掴んで操作する絵が描かれる。これが結構よくて、【ちゃんと協力してる感】が出る。ただし操作がめんどくなる。
以下、個人的に興味深かったポイントをいくつか書いてみる。
レイデルがフックできる黄色いクリスタルのギミックは興味深かった。通常はフックできるギミックだが、近くにある鐘を叩くと足場に変化し、他の兄妹が乗れるようになる。つまり、【あるときは特定キャラ専用であり、条件を満たすと他のキャラも使えるようになるギミック】のようなもの。配置を同一にして成立するようにすることで、空間の節約につながる。作るのも多少ラクかも?
同じくレイデルの盾で防ぐことができるレーザー兵器も興味深かった。こちらを抽象化すると、【特定のキャラが同行しているときだけ通れるドア】になる。これを用いることで、順序パズルが生まれて単調さが回避できる。「まずキャラAを先行させてから、キャラBが別ルートで移動して……」のような順序を考える問題が生まれる。これで単調な障害:キャラの処理だけで終わらない。
最後に行くエリアでは、突入と同時に分断され、特定の位置に各キャラが強制的に配置される。また、壁を挟んで用意されている石に各キャラが同時に触れることでお互いの位置を入れ替えるギミックがある。これらによって、【三人で進む→キャラを切り替えるだけで障害を突破】の単調な展開にしていない。各キャラの位置の把握、ギミックの位置の把握などが必要なようにしている。
③切り替えはやりやすいか?
まず、ワンボタンで【全員操作状態】と【一人操作状態】を切り替えられる。全員操作状態になると、通常は二段ジャンプできないアダラも二段ジャンプ可能になる。横に移動する速度は全員同じになっているので、すべてのキャラをズレ無しで同時に操作できる。キャラの通常移動速度が同じだからこそできる仕組みね。
次に、集合操作ができる。操作中のキャラの周辺にいる非操作キャラを操作中のキャラと同じ場所に集められる。これも便利。全員操作と併用することで、いちいち各キャラを操作して足並みを揃える必要が無い。ただし効果範囲は狭い。わずかな足並みのズレを補正するのに使うのが基本。
最後に、特定キャラへの切り替え操作。これは三人のキャラがそれぞれ十字キーの←↑→に割り当てられている。押したらそのキャラがメイン操作状態になる。
わりと操作はしやすかった。ただそれでも少しめんどくさく感じるシーンがあった。一つは、ギミックを利用するシーンが多く、ギミックの利用自体に操作が必要になるのがめんどかった。ギミックの多くは、Aボタンを押すことで【操作状態⇔操作をやめる】の切り替え式。
ギミックの存在で追加入力が必要なので、どうしても煩雑さを感じた。キャラ切り替えのめんどくささではなく、操作に入力が必要なギミック主体なのが問題か?
もう一つは、操作状態のときにキャラ頭上出るアイコンと、集合操作で生じるアイコンが同じこと。【集合で集める→全員操作じゃ無かったので足並みがズレる】がわりとあった。アイコンとか軽く弄れば発生しなさそう。ちょっと惜しいと思っちゃった。
遊ぶ前に注目してなかったところ
絵と音楽、すげえいいなオイ。もともとグラフィックよさげだと思ったから買っているんだけど、いやースゴかった。ちょいちょい普段のサイドビューではないアニメーション映像が挿入される。自分の居る場所を俯瞰で見せたり、このあと入る建物の高さを見せたり、キャラの表情をアップにしたり、効果的に挿入されてた。音楽もサラッとオーケストラ?めちゃ壮大だった。
遊んだことあるゲームで例えると『ホロウナイト』と『オリ』の中間ってイメージ。かなりよかった。
マップ構造は進行上不要な余白が少なめ。ステージクリア型に近いプレイ感覚だった。ダレるシーンが無くてサクサク遊べて気持ち良かった。逆に、ちょっと心配というかもったいないというか、「楽しいけどこんな絞ってて本当にいいの?」って思っちゃった。
バトルは緩め。雑魚は近づいてボタン連打でOK。ボスは多少避ける必要あるってレベル。回復アイテムもあるし、ほどよくゴリ押しできる。ラスボスはゴリ押しした。ほとんど適当でも勝てるが、強いボスは一回やられるぐらい。個人的にはよいバランス感覚だった。というのも、操作キャラ三人のうち一人でもやられるとゲームオーバーなので、歯応えのあるバトルにされるとツラすぎる。さらに、非操作キャラは基本的に棒立ち。近くに居る敵に自動で攻撃するていどしかしないので、ちょうどいい緩さ。
全体的にとても丁寧にできていて、よいゲームだった。ただ、無難でもあった。無難によくできてるゲームってだけでとても労力がかかっていて、丁寧に仕上がっているだけでも100点なんだけどね。遊ぶ側としては「こんくらい楽しいといいな」と胸の内で考えているラインを軽々とブチ破って200点300点叩き出すようなゲームを求めがち……わがまま!
おわり
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?