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『Sifu』プレイ感想

 カンフーやってきました。

最初にオチを書いておくと、最高のゲームだった。ドハマりした。その辺で見かける床や壁の模様とか、いろんなシルエットが人間の構えに見えてきてた。


なぜ買った?

 最近やってなかった「なぜ買った?」のコーナー。評価の高いアクションゲームらしいので買った。評価の高いアクションゲームは、なんぼあってもええですからね。買った理由、以上!評価が高いならあまり前情報を仕入れずに買いたい。なので、「死ぬと老化する、みたいな設定がたしかあったな~」ぐらいの予備知識で始めた。

カンフー、ムズすぎ

 というわけで喜び勇んで始めたわけだが、まぁムズいことムズいこと!廃倉庫で30代前半のおじさんになり、クラブで60代後半のおじいちゃんになり、美術館の序盤で無事死亡した。このとき、「あ、ヤバい」「合わないゲームに手を出してしまったかもしれないぞこれは……」と冷や汗をダラダラ流した。

 なぜ Sifu はムズいのか。まずアクションゲームの難しさをむちゃくちゃ乱暴に二つに大別すると、【分かりにくさ】【慣れるまでにかかる時間の長さ】になる。うん、めっちゃ雑に言ったなこれ。でもここではそういうことにしちゃう。で、Sifu はしっかりこの二つの難しさが充満している。

分かりにくさ

 Yで弱攻撃、Xで強攻撃だ。敵の攻撃はLでガードしろ。ガードし続けてると体勢ゲージが削られて隙を晒すから気を付けてくれよ。敵の攻撃に対してタイミングよくガードすると弾けるぞ。特定の攻撃を弾くと受け流しになり攻撃チャンスだ。ああでも四肢の光る攻撃はガードすると体勢ゲージが大きく削られるから避けたほうがいい。上段攻撃はLを押しながらスティックを下に、下段攻撃はスティックを上に倒せば避けられる。これも特定の攻撃を躱すと見切りになってスローモーションになる。攻撃チャンスだ。そうそうフォーカス攻撃ってのもあってね?ゲージを消費して強力な技が撃てるぞ。それからコマンド攻撃もある。掌底と足払いと決め投げが使えるぞ。あと弱攻撃と強攻撃を押す順番によって特殊な技に派生する。お、社に着いたか。三種類全九個のアップグレードを選んでくれ。ただアップグレードには条件もあるからちゃんと見ておけよ。技のアンロックもしたいのか?いいぞいいぞ!全25種類から好きなのを選んでくれ。永久アンロックってのもあるからな。

把握できるわけないだろ!いい加減にしろ!

もちろん、プレイを終えたいま見るとシンプルにまとまってて全然問題無く把握できると感じる。しかし、最初に遊んだときはそうじゃない。他にもいろいろある要素が一気に押し寄せてくる…かと思えば一瞬で過ぎ去っていくので覚えられない。分からない苛立ちと焦りでプレイも上手くいかない。だからムズい。

 ざっくりと言ってしまえば、【立ち回りの指針が定まらない】。こういう要素がある。こういうことができる。いろいろと説明されるだけで、どうプレイしていけばよいのか分からないのだ。これが直接、上達の実感が薄い理由にもつながる。【こうしたい→できるようになってきた!】のこうしたいが薄れているのが問題だ。

また、メリハリが薄くて細やかすぎるところも、上達の実感を分かりづらくしている。だいたい、他のゲームならパリィに成功すればプレイヤーは有利になることが多い。派手なエフェクトも出るだろう。Sifu ではそんなものは存在しない。受け流しや見切りをするだけではダメで、すぐさま攻撃に転じなければならない。ここまでしてようやく成果が出るうえに、それをする速さによって敵のダウン時間に差が出る。素早く反撃に転じるところまでがワンセットなのだ。他のバトルアクションゲームと違って大きなメリハリが付いてないので、上達してる感覚がやや弱い。初めのうちは「よしいま会心のプレイできた!」ってなりにくい。エフェクトも地味だし。とにかくリアル。

とはいえ、攻防自体はやや地味ながら、アクションは非常にレスポンスがよい。攻撃中に敵の攻撃を即座に防御できるし、わりと入力の自由度は高い。敵にトドメを刺すテイクダウン演出は最高にカッコいい。シチュエーションに合わせて多彩なモーションが再生されるのスゴい。それだけに、どうすれば華麗にテイクダウンまでもっていけるのか?が分からなくて困る。

◆ゲーム構造も独特で分かりにくい
 
そもそも、【順次進行するステージクリア型のゲーム、だけど手前のステージをいつでもやり直せる】構造が独特すぎる。そこにステージ選択前および道中にアンロック要素を作っちゃった。わけ分からんて。でもステージ道中で手に入る資料や鍵は永久アンロックされます。どっちやねん。もう許して。

◆永久アンロック
 アンロック自体は、おそらく他のゲームと同様に、新しいアクションが解禁される期待感だとか、敵を倒す価値の付与だとか、強くなった実感を与えるとか、最初からできるアクションが多すぎると混乱するのを防ぐとか、それらのためにやっている。しかし本作は、ステージ道中でも技のアンロックができてしまう。こうなると当然「やべ、覚えてると思ってた技が使えねえんだった」といったプレイの違和感や理不尽な操作ミスを生み出す可能性がある。また、「覚えた技なんで使えなくなるんだよ」とその仕様自体に不満が噴き出しかねない。こうした問題に対処するために、永久アンロックという仕組みがあるのだと思われる。もちろん初見プレイでそんなの分かるわけない。なので、遊び始めの段階では「え、なにこの永久アンロックって?どういうこと?」とひたすら混乱するハメになる。しばらくプレイしててようやく腑に落ちてきたが、正直に言ってこの仕様は意図が絡まりすぎてる(激うまギャグ)気がした。

それはそれとして、いきなり「全25種類のアンロック技を用意した。自由に選んでくれ!」は飛ばしすぎだと思う。加減して。社の解放条件が違う三種類全九個のアンロックのほうも大概だろこれ。

慣れるまでにかかる時間の長さ

 難しさその2。こちらはシンプルに言える。記憶と反応の問題だ。反射神経に優れた人なら問題無いのかもしれないが、Sifu の敵が攻撃してくる速度はかなり速いと思った。「こんなの見てからパリィとか無理だろ」と思うレベルの速度。したがって、敵の攻撃をあらかじめ覚えておく必要がある。覚えるのにかかる時間が長ければ長いほど、難しいゲームだ。

敵の攻撃始動パターンだけを見ると、雑魚だとたいてい二種類。強い敵で三種類。ボスも同じで三種類くらい。なんだ、じゃあ楽勝だな。と思いきや、そう簡単にはいかない。ここが Sifu の難しく巧妙にできている点なのだが、敵には反撃パターンが存在するし、集団戦になると優先する技もあるし、武器を持つとその武器専用の動きに変化する。ボスに至ってはいくつかの攻撃をつなげてくる。A,B,Cと攻撃パターンを持っていて、【A→B】とか、【A→Cの後半部分→単発のD攻撃】みたいなつなげかたなどもしてくる。攻撃パターン自体はそう多くないものの、見かけの複雑さが増しているのだ。なんだかんだで覚えることは多いし、それぞれの攻撃に対して受け流すか見切るのかを判断しなくてはならない。覚えることとやること、それぞれしっかり用意されているので、慣れるまでに時間がかかる。そもそもなハナシ、慣れないと勝つのが困難な時点で難しい部類に入るだろう。

どうやって乗り越えた?

 A. ひたすら練習した。

いや、ホントこれしかなかったし、これが正解だった。練習しようとするモチベーションはどこから来たのか?一つはやっぱり評価の高いアクションゲームであることだろう。面白いハズだ、ならもうちょっと頑張ってみないと。お金も払ってるし。あとはテイクダウン演出やステージ演出などは素晴らしいので、上手くプレイできるようになればこれをもっと気持ちよく味わえるハズだという期待があったかな。

敵と一対一で黙々と戦っていると、徐々に分かることが出てきた。まず、ガードしておいて速い初撃を防いでから、二発目を受け流すなり見切るなりすればよい。受け流しが発生するのは、敵が拳で攻撃してきているときで、見切りが発生するのは蹴りが多い。基本的にはガードと上段回避を中心に立ち回ればよい。どの敵も膝蹴りのあとは必ず回し蹴りになるんだな。敵には反撃パターンがある。基礎が身についてきた。

こうしてみっちり特訓したあとにクラブに挑んだら二回目の挑戦で20歳クリアできてしまった。明らかに成果が出た。稽古は裏切らない。自由稽古で一度戦ったことのある敵と戦える機能があって本当によかった。この機能をつけてくれてありがとう。でもジンフェンのフェーズ2がまともに機能してないの許さないよ

自由稽古も適度に不自由なのがニクイね。体力∥体感ゲージを出したり、複数種類の敵を出したり、武器を持たせたり、これら全部できない。無機質で目に悪い赤い風景で平らな地形だから本番とシチュエーションも違う。本番環境を再現することができない。稽古は裏切らないが、それでも稽古は稽古。本番では上手くいかなかったりする。それっぽく言い換えると、プレイヤーが稽古だけで満足するようにしていないってことだ。

難しさは奥深さへと好転する

 こうして難しさを乗り越えることができるようになってくるとどうなるか?難しいと感じるのではなく、奥深いと感じるようになる。ゲームの難しさが、苦痛を与えてきていると感じるのではなく、やりごたえを与えてくれていると感じる。「自分にもできる!」という強烈な成功体験が、ゲームへの信頼を確固たるものにする

防御ができるようになると、今度は攻撃面にも目が向いてくる。アンロックできる技を試してみたくなる。ここまで来ると、「よし、じゃあ一個一個見ていくか」とアンロックの多さにも向き合える心構えが仕上がってきた。また、難しさに悲鳴を上げているあいだも、ステージのアートや演出、敵配置のよさには感心しきりだったし、テイクダウン演出のカッコよさにもシビれていた。ひとたびゲームを気に入ると、こうした美点がより素晴らしく感じられて最高だった。

印象が好転した例を挙げると、敵の反撃パターンがある。反撃パターンに関してはこのゲームのめちゃスゴポイントの一つで、敵が受け流すか見切るかで反撃の仕方が変わってくる。あるいは反撃せずに距離を取って仕切り直してくるパターンもある。つまり、プレイヤーが同じように攻撃を仕掛けても、そのあとが決まった展開にならない。攻防が戦いの流れを決めていて、ものスゴくカンフーっぽいのだ!これ、全部の敵が搭載してるんだぜ……?あと、敵がカウンターしてくるのにまったく理不尽さを感じないのは何気にスゴい気がする。あるていど殴れる→ガードしてくる→カウンターと流れを経ることで、納得感がある。「こっちの入力見てるだろ!」みたいな文句が出てこない。

また、誘導自体は薄いものの、クリア後に解禁される【目標】の中には隠しテクニックを示唆するものが多く含まれていた。これも面白かったな。高い位置から投げ落とせば敵を即死させられるとか、刃物で裏拳したら敵を即死させられるとか、そういうものを学べた。即死ばっかじゃん。

【〇分〇秒未満で○○する】タイムトライアル系の目標は面白かった。最初にやってみたら「こんなん無理だろ!」となり、やっているうちにタイム短縮ポイントが見つかって最後にはギリギリ達成できる。ものスゴくちょうどよい難易度だった。

 敵について軽く感想を書く。

あらためて見ると「やっぱりよくできてるなぁ」の一言に尽きる。単調で分かりやすい拳攻撃中心のギャング基礎。足技も使ってくるギャング応用。投げを使ってくる怯みにくい大男。足払いも使ってくる閃脚。拳と足を使い分ける素早い動きのショーンの直弟子。同じくバランスがよく、守りも堅いボディーガード。ボスは雑魚よりも自由度が低く、武器や環境、他の敵も利用できないガチンコ勝負。

弱い敵ほど分かりやすく単調な攻撃で、足払いといったこちらの攻撃も簡単に決まる。一方で、ラスボスのヤンには決め投げもフォーカスも通じない。ゲームとしての厳しさと、リアルな表現を一致させようとしている気がする

個人的にジンフェンだけかなり設計ミス感があった気がする。遠くから弾いているだけで勝ててしまう。コンセプト自体はスゴく共感できる。遠くから超射程の鐘攻撃、なんとか躱して距離を詰めると凄まじい拳を繰り出してくる。正義を重んじる老齢な詠春拳の使い手。キャラクター性とコンセプトは完璧だと思うが、惜しくもそれを無視するプレイができてしまうし、そのプレイが安定した立ち回りになる。

空間設計と敵配置と演出

 環境アート(こう描くとなんか別の意味に聞こえるな)がスゴくよい。敵配置もスゴくよい。敵の数、質、種類、この三つを巧みに変化させてくる。舞台設定もよい。クラブのダンスフロアで大立ち回りを演じたり、賭けファイトに文字通りの飛び入り乱入したり、静謐な美術館で屈強な男とタイマンしたり、燃えるシチュエーションのみで構成されている。とにかくカッコいいアクションゲームをやっていると思わせてくれる。

演出もかなりダイナミックなシーンがいくつもある。賭けファイトの乱闘勝利時の画面全体が真っ赤に変化→その先のショーン直弟子を倒して青くなって戻るヤツとかスゴい。もちろん、サウンドもしっかり変化する。美術館は舞台設定も相まってアート面の演出がズバ抜けている。美術館の終盤に出てくる弱い敵は、復讐を目論むもあっさり返り討ちにあった苦露鬼を示唆しているのかな。あと、雨の中の大男が父親?二人の閃脚が双子で……

環境アートと敵配置、そしてサウンドや画面の演出。すべてが一体となって表現されている。「ゲームは総合芸術だ」とよく言われているが、このゲームは特別にそう感じた。制作陣の揺るぎなき美学……そのようなものを感じた。

映画か?ゲームか?両方だ

 物語が始まるのは8年前。仇敵であるヤンを操作して、師父を殺すところからゲームが始まる。実際の主人公はそのとき戸棚の中に隠れていた師父の息子だ。それから8年後の現在、復讐を誓った主人公は師父を殺した五人の仇との戦いをイメージした稽古をする。これがチュートリアル。一人倒すごとにスタッフクレジットが表示されていき、最後にタイトルコール。死ぬほどオシャレ。映画じゃん!映画的ゲームじゃん!よーし廃倉庫を進めていくぞ~!

×1 ステージスコア 114

は?なにこれ?

初めて遊んだとき、僕はここでずっこけた。「映画みたいな始まりかたしてめちゃくちゃ盛り上がったのに、結局ゲームに戻るんかい!」ってそれはもうずっこけた。ステージスコアとか言わないで欲しかった。映画的な演出を入れたい、でもゲームとしても面白く、ゲームでありたい。「どっちつかずのコウモリ野郎」「ちゃんと態度をハッキリさせろよこの風見鶏が……」と言いたいところだが、このゲームはその巨大な野心を成し遂げてしまったように感じた。結局、ゲームの出来は抜群に面白い。ステージの道中で横スクロールステージなどを意図的に入れていることからも、過去のゲームをリスペクトしているのが伝わってくる。僕は詳しく無いのであんまり大きな声で言えないけど、格闘ゲーム、アーケードゲームやベルトスクロールアクションゲームの文脈も踏まえて作っているのだろう。たぶん。

それはそれとして、ステージスコアっていう言い回しはダサい。なんか他に無かったんですか。武功とか、戦闘力とか、チャクラとか……あと、テイクダウンも日本語訳としては不満があるよね。馴染みが薄すぎる。素直にトドメのほうがカッコいい

ゲームプレイとストーリーの完璧な融合

 この記事ではほどほどに分離させてなんとか語ろうとしているが、Sifu はとにかくゲームプレイとストーリーが完璧な融合を果たしている。ここまでのゲームはなかなかお目にかかれない。まず廃倉庫→クラブと、カッコいいカンフーアクションを存分に味わえるシチュエーションが続く。ゲーム的にもクラブがもっとも多く敵が登場するステージだ。ところが、美術館から少し様相が変わってくる。敵配置はタワー→療養院と進むほどヌルくなっていく。ゲーム的な盛り上がりを考えると、どちらかはもう少し激しい戦闘があってもいい気がする。演出のための敵配置、そんな気がした。

美術館ボスの苦露鬼は、かつて復讐に燃えていたことが示唆される。ここの見せかたもアート的でハイセンス。苦露鬼=プレイヤーとなることで、復讐のむなしさを訴えかけてくる。そして続くタワー。殺された師父には、殺されるだけの理由があったことを示唆してくる。最後に療養院。いまから殺しに行く相手が、人々を救っている。「自分が果たそうとしているこの復讐は、本当に正しいのか?」このモヤモヤは、ヤンを殺して復讐を果たしたときに最大になる。「本当にこれでよかったのだろうか……?」通常のゲームならばこれはやらない。プレイヤーがいまからやろうとしているおこないや、成し遂げたことに疑念を差し込むようなマネはすべきではない。それでもあえてやっている。この復讐は正しいおこないではないからだ。ヤンを殺してもスタッフロールが流れないのがなによりの証拠だ。そして、師父の言葉が蘇る。

功夫と武徳を知る者は相手によらずこれを打倒す 
その拳は雷のごとく閃り 
敵の戦意を失わしめる

各ボスを見逃す選択肢があることに気付く。見逃すための方法がゲームプレイ的に困難で、しかもそれが恐ろしく説得力のある形で表現されている。もう、震えたね。殺すためではなく、活かすための拳。たしかに師父を初めとする守護者達は、道を誤っていたのかもしれない。だからといって、それを正さずに殺す手段を取った五人もやはり道を誤っている。より強い力で以てこれを鎮める。自分の師父が為し得なかったことをやってのけるのだ。心の靄が晴れて、景色が澄み渡る。なんという完璧な解答。なんという見事なゲームプレイとストーリーの融合。なんか分からないけど「やられた…ッ!」って思ったな。

ラストバトルはヤンが師父を殺したときと同じようなシチュエーションなのがアツい。さらに本当のラストバトルでは秘宝が奪われて復活ができなくなるのもアツい。今まで頼っていた能力、このゲームを象徴する機能が封じられる展開。これも力に溺れていない自らを証明するための演出だ。ゲーム的にはここはかなり手加減してくれるのだが、そのさじ加減も絶妙。

 ここで再びなぜ Sifu はムズいのか?という問いに戻ると、一つはリアルさを追求しているからなのではないかと思った。リアルなカンフーアクションを作ると、難しくなるものなのだろう。弱い敵ほど攻撃が読みやすく、強い敵ほどそうではない。同じく、弱い敵ほど攻撃が通りやすく、強い敵ほどそうではない。リアルだ。

しかし、そうはいってもゲーム序盤の分かりにくさはリアルさとは関係無い部分もある。「なぜもっと丁寧なチュートリアルが無いのか?」と考えてハッとした。そうだ。自分はゲーム開始時に師父を失っていたからだ!自分に拳法を教え、導く師父が居ない。だからどう進めばよいのか分からない。だからプレイヤーは弱い。だからこそゲーム序盤は格別に難しいのだ。まさか最初から最後までストーリーとゲームプレイが一体化していたなんて。完璧にやられた。

そもそも死亡からの復活にもちゃんと理由付けしてる。技をアンロックしていくと木が生長していくのも素晴らしい。入手する資料や鍵をボードに貼っていくのもオシャレだよな~。

総括

 最初は難しさに冷や汗を掻いたが、ちゃんと乗り越えることができた。一度跳ね返されてからの「イケる!」という感覚はいつ味わってもいいものだなぁ。そしてなによりゲームプレイとストーリーの融合がスゴすぎた。間違いなく圧倒的傑作だ……

Steam の実績取得率を見たらヤンを見逃す実績が10%ぐらいなんだよな……全体の10%しか遊ばないようなコンテンツを作ってもらえて感謝しかない。ありがとうございます。楽しませていただきました。

闘技場、行ってみようかな。


おわり


おまけ

 闘技場モードを遊んでまた思ったことを加筆した。

闘技場行ってきた

 闘技場行ってきました。虎のメダル?を全部集めるとこまでやってお腹いっぱいになったので終わった。やっぱりバトルが基本的に面白いので、適度な課題と適度な配置が与えられれば楽しく遊べるなという印象。

【サバイバイル】はとにかくクリアすればいいので、癒やし枠。タイムアタック系は「は?無理だろこれ」→「あー、行けるかも…?」→「っしゃあ!」が楽しい。【パフォーマンス】はスコアの稼ぎかたがいまいち分からんのでモヤモヤしつつもなんとかクリアしていったり。【制圧】ルールは後付けの中でもそれなりによくできてるけど(エラソーな言いかただな)、さすがに雑魚無限沸きはめんどいなって思った。無限に湧くこと自体はまだいいんだけど、全方位から&すぐ近くから湧いてくるのがしんどかった。敵が武器を取りに全力ダッシュで侵入してきたりね。やっぱり後付けなので、どうしても「キツい!」ってなっちゃうシーンが発生しがち。無限沸きが無いタイプの制圧ルールは素直に楽しめた。

一個ずつ課題をクリアしていくのは楽しい。ただ、最高評価のゴールドメダル?を隠しているのが肌に合わなかった。ざっくり書くと、だいたい以下のようなマイナス効果がある。自分にとって、だけど。

  • あとから判明するので「今まで偽のゴールテープ切らされてたんかい!」でちょっとモヤっとする

  • 以後、メダル三つ取っても「もう一個上のゴールド評価あるんだよな……見えないけど」でずっとモヤッとする

  • 達成を目指す場合、条件が分からないのでモチベーションを高めにくい

    • 「条件未達成になったからやり直そう」がやりづらい

    • 「よし!条件達成!!」みたいな達成した瞬間の喜びが薄れている

ということで、ゴールド目指すのはいいかなってなった。もう本当に極めたい人のための求道者向けの仕様なんだろうね。たぶん。そもそも完璧なプレイをすれば、条件達成はあとから付いてくる!みたいな。あとは単純にロード時間が長くてめんどかった。Nintendo Switch も頑張ってるんだろうけど、さすがにね。

あらためてバトルについて思ったこと

 とくにオチはなく、「こう思った」で終わるんだけど書いてみる。前提として、極めるところまでは行けなかった感覚がある。防御は比較的できるようになったけど、攻撃が結局分からなかったなぁ。そのうえでの感想。

◆ちょっとした不満というか、分かってないところ
 不満を書くけど、これは既に100点満点中120点だと思っているうえでの不満って感じ。ここも自分が楽しめる設計になってたら200点行ってたな~っていうハナシ。 

二人同時にテイクダウン可能状態にするとめっちゃテンションがあがるんだけど、やれることが【一人ずつちまちまテイクダウン】or【片方テイクダウンしてるともう片方が復帰】にしかならないのが惜しい。カンフー映画なら二人同時にぶっ倒してるんだよなーって。あと、突き飛ばした敵が体勢を大きく崩したとき──転んでいる他の敵につまづいたり、段差から転げ落ちたりするときにテイクダウン状態になったらそのまま即死してほしかった。この場合、わざわざ追いかけてテイクダウンするのが逆にダサい。

また、同士討ちとか突き飛ばした他の敵を当てることによるよろめきとか、あんまり活用しきれなかった感じがある。つまり、集団戦は結局のところ一対一を同じ場所で並べているだけになってる気がした。順番を守って攻撃してくるような制御や、いつでも防御できるレスポンスのよさなど、きちんと集団戦用にチューニングしているので、その点だけでも非常に楽しいんだけどね。それでも同士討ちは「いまのも当たってるだろ」みたいなのもあるし、どうも特定の攻撃しか発生しないのか?と思ってしまう。そうなるとあくまで雰囲気作りの要素であり、積極的にゲームプレイに取り込んで活用したくなるほどの強い魅力は感じなかった。突き飛ばしも同じく、そこまで活用しきれなかった。閃脚はどうやら他の敵をぶつけると怯みやすい?とかはあるっぽいんだけど……

やはりどうしてもテイクダウンに縛られすぎてしまう気がする。【体勢ゲージがMAXになった】【近くにいる】【敵一人】にやるのがテイクダウンである以上、そうでない状況を目指す欲求が弱い。そして集団戦自体がそういう状況になっている。また、テイクダウンを狙うのが気持ちよいし楽しいんだけど、スコア稼ぎやタイムアタックなどではテイクダウンだけ狙う姿勢とバッティングする部分がある。そこで少しスッキリしない感覚があるんだよな。ただ、このモヤモヤがよりムキになってプレイさせる原動力になっている可能性もある。

もっと上手くなれば解決している部分もあるかもしれないので、やっぱり極めきれんかったなーと思う。

◆攻防のバランス
 
Sifu は攻防のバランスがやっぱりちょうどいいんだよな。あるていど自分からも攻める手段があって、しかもそれがその辺の椅子を蹴飛ばすような環境利用やフォーカスというお手軽なものから、複雑で難しいコマンド攻撃や他の敵を利用した崩しから入る上級者向けのほうまでカバーしてる。上級者向けのほうは全然上手くできなかったけど。ボス以外ならほとんどの雑魚を一方的に攻め潰すこともできるのがよかったね。それだけだと攻撃に偏っていてコンボ決めるだけのゲームなんだけど、敵のカウンターもあるしボス戦では防御必須だしで、攻防のバランスはやっぱりいいのかなって思った。基本は防御に偏っていて、まず防御を覚えるところから始まるし、防御さえできればクリアまで行ける。でもさらに上を目指すなら攻撃をもっと苛烈にできる。そういう構造なのかなと。とはいえ、この辺は慣れたからこそ俯瞰で見られてるんだけどね。

まー、こんなところ!とくにオチはなく、ボーッと書いた。なんにせよとても楽しめたし、とても好きなゲーム。


おしまい


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