『ムーンライター 店主と勇者の冒険』プレイ感想
遊んだよ。さっくり感想を書くよ。
遊ぶ前に注目していたところ
遊ぶ前に注目、あるいは期待していたところについてまず書く。つまりこれが、意識的にせよ無意識的にせよ「面白そう!」と思って購入したところだ。なぜこのゲームを買ったのか?
①ローグライクとしてどう面白い?
②アクションとしてどう面白い?
↑この二点は正直あまり期待してなかったけど、仮に面白ければどう面白くしているのかに注目したいと思っていた。
③店主をやるらしいが、どのくらいシミュレーションとして面白い?
稼ぐことが楽しいといいな。店を大きくしていって…支店も作って…マネージャー雇って…とか。「この武器はイイ値段で売れそうだけど、ダンジョンに持ち込むと強いしなぁ」みたいな葛藤。ダンジョン攻略⇔店の利益のジレンマ。この武器にはお世話になった。このお客さんに売るか…ちょっと寂しい。みたいな。より深く潜って稼ぐか?安定を取って撤退か?の葛藤。軽めだといいな。
などなど、そういうのをぼんやりとしたイメージとして持っていた。
遊んでみてどうだったか
①ローグライクとしてどう面白い?
②アクションとしてどう面白い?
予想通りと言うべきか、あんまり力を入れている部分では無かった。なので、「あぁなるほどやっぱりこういう感じねオッケーオッケー」となった。
③店主をやるらしいが、どのくらいシミュレーションとして面白い?
ここはかなりよかった。とくによいのが、本格的なシミュレーションゲームと比べて複雑すぎないところ。(といっても、別に僕は本格的な商売シミュレーションゲームを遊んだ経験は無いが)
「店主っぽい、商売っぽいゲームしてみたいけど、ガチなのはちょっと……」という、自分の中の矮小な欲望を満たしたいけれど、そのために苦労や忍耐をするのもイヤ。そんな腑抜けの願いを叶えてくれるゲームだった。ありがとう。
というわけで、ここからはどんな感じで店主っぽいロールプレイが展開されたのか、書いていく。
これであなたも商売人
やることはいたってシンプル。持っているアイテムを店に並べると同時に、値段を付けて売るのだ。
価格決定には参考になる情報が用意されている。アイテムリストがあり、そこに記載されているアイテムは上から値段が高い順にソートされているのだ。また、いくつか価格帯が示唆されていて、【このアイテムから下は 500 コイン】といった表示がある。これらを参考にだいたいの値段を付ける。
そして、客が商品を手に取る際に、付けた値段に応じてリアクションが表示される。すると客がだいたい以下のようなリアクションを取る。
上から順に、安すぎ∥適正∥高すぎ∥高すぎるふざけんなとなる。高すぎ以上だとそもそも買ってくれず、安すぎると損なので、適正価格で販売するのがキモだ。なお、値段と品揃えはいつでも変えられる。購入者の顔を見て即座に店内商品の値札を書き換えるのが商売の極意だ!
以上がムーンライターにおける商品販売だ。まとめるとこうなる。
①持ってるアイテムの価格帯を参考に、値段を決めて陳列する
②客の購入時の顔を見て、価格を販売と並行して微調整
終わり。これで億万長者になれる。
商売ガチ勢の方々から「これのどこが商売だよwww」と言われそうだが、このぐらいの緩さがよい。それっぽい雰囲気で、成果をバシバシ出していけるのが楽しい。
究極のワンオペ操業
ところで、人手が足りない。商店【ムーンライター】の運営は店主であるプレイヤーただ一人でおこなわれる。商品はプレイヤーが自分で危険なダンジョンに潜って仕入れてくる。
簡略化したゲームサイクルはこうなる。ゲームの設定的には、日が昇っているうちに店で商品を売り、夜のうちにダンジョンに行ってアイテムを稼ぐ。お店の稼働では、品出し、陳列、価格設定、レジ打ち、顧客対応、依頼受け付け、万引き対策をすべて一人でやる。閉店時間の夜まで。……睡眠時間どこ?休憩時間どこ?
そんなわけで、ムーンライターは究極のワンオペ操業が体験できる素敵なゲームです。
冒険者おことわり
店には装備品やポーションを求める冒険者達も来るが、この冒険者達がめちゃくちゃドケチで笑った。正確に言えば、装備品やポーションの適正価格の設定が低すぎる。
装備品はお金+素材で鍛冶屋に作ってもらうのだが、もともと素材もそれなりの値段で売れる。装備品の原価はそれなりに高いわけだ。ところが、仮に原価と同額にしても冒険者は「高すぎるぞゴラァ!!!」みたいな顔をしてくる。帰れ貧乏人が。
ポーションの場合、そもそも近くにウィッチハットというお店があり、そこで販売されている。となれば当然、少なくともその店の価格付近が相場になるのかな?と考える。で、そのくらいの値段に設定する。すると冒険者は「高すぎるぞゴラァ!!!」とキレ出す。マジで帰れ貧困者。
装備品とポーションの適正価格、低すぎる。結局、素材だけ集めて売るのが一番儲かるので、冒険者に商品を売る気が失せる。しかも冒険者は装備品やポーションしか買わない設定になっている。てめーらに売る商品は無いので、お帰りやがれください。
マネーイズパワー!
ムーンライターはアクションゲームだ。アクションと言っても、正式には【アクションRPG】で、感覚的な比重としてはアクション3:RPG7ぐらいのゲームだと感じた。アクションは無敵時間のある回避アクション──効果時間ちょい短め──があるので、それを駆使するのが基本スタイル。強力な範囲攻撃をされたり、回避が間に合わないくらい敵の攻撃の“出”が速くて反応できなかったり、複数の敵に囲まれたりしたときに、どうしても攻撃を被弾してしまう。そこでRPG要素が活きてくる。
お金と素材を渡して鍛冶屋に武具を作ってもらう。あるいは、ウィッチハットとかいう魔女が経営するお店でポーション作ってもらったり武具にエンチャンとしてもらうわけだ。
そうして新たに得た∥強化した武具が格段に強いのがこのゲームの素晴らしいところ。それはもうめちゃくちゃ強くなる。世界が変わる。6回斬らないと倒せなかった敵が一回サクッと斬りつけるだけで倒せるようになったりする。「オレTUEEEEEEE!」
お金にモノを言わせて装備を整えることで、ダンジョン攻略が格段にラクになる。まさにマネーイズパワーな世界を体現しているのである。
インフレーションの気持ち良さ
お金を稼いで装備を新調すると、自分が強くなったのが実感できる。そしてダンジョンを一つ攻略達成できると、新しいダンジョンが開放される。新たな商品を仕入れることができるようになるのである。
新しい商品は、それまでよりも高額で売れる。一日の売り上げがさらに倍増していく。顔のにやけがとまらん。自分がダンジョンで危険を冒しながら仕入れた商品が目の前で売れていくのが、ものスゴく嬉しい。
このループが楽しい。自分の店をアップグレードして大きくすると、内装が大きく様変わりし、商品をたくさん並べられるようになる。より稼げるようになるのはもちろん、自分が店を大きくしている【やったった感】が気持ちいい。これがオレの店だぞ!っていう。
舞台設定について
この記事、というか僕は世界観やストーリーなどを舞台設定と呼ぶ。ムーンライターの舞台設定は、ショップ経営はオマケに近いような見せかただ。主人公のウィルは、ダンジョンの謎を解き明かすことを目的としており、ショップ経営はそのための手段のような位置づけの印象だ。
ただ、やっぱり【ダンジョンの謎を解き明かす】を主目的に据えているのは、よいディレクションだなと思った。というのも、結局のところ店を大きくしてお金を稼ぐことに終着点は無いからだ。お金を稼いで、それを使って目的達成に近づいていくほうがやっぱり楽しい。最後もすぐにラスボス戦に突入してスパッと終わるのが素晴らしい。
四番目のボスとラスボスがめちゃくちゃ弱かったのもよかった。気持ち良くクリアできた。しかも三番目のボスは、ポーションを使い切って「あと一発でやられてしまうっ…!」という状況で勝てたので、アクションゲームとしてもかなり楽しめた。
ラストの SF 展開は「ふーん」で終わった。
まとめ
ここだけ読めばイイ説ある。
『ドラクエⅣ』の3章や、『トルネコの大冒険2』なんかを遊んだことがあるが、「もうちょっと商人ムーブしてえな……」という秘めたる欲求があった。ムーンライターはこれを見事に掬ってくれたゲームだと思った。
ムーンライターという言葉は、【夜に月明かりの下で仕事をしている = 副業をしている人】という意味だそうだ。なんていうか、言葉自体がスゴくオシャレだし、とってもよいゲームタイトルだなぁ。
おわり
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