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【2024年版】愛知県教員採用試験の小論文テーマと模範解答例

✓この記事でわかること
①小論文テーマ12年分
②小論文の模範解答例12年分

どうも、|福永《ふくなが》です。

本記事は、愛知県教員採用試験を対象とした、
小論文テーマと模範解答例をまとめたnoteです。

最近はICT端末(スマホやタブレット等)の普及により手書きで文章を書く機会がほとんどないと思いますが、小論文試験では、テーマに沿って自分の考えを論理的に書かなければいけません。

とはいえ、そもそも論文自体をまともに書いたことがなかったり、習っていなかったりするためかなり難しいと言えます。

論文対策の一番の近道は、良質な解答例を読み、それを参考に演習を繰り返すことです

本記事を活用することで、

小論文対策に必要な知識を短期間でインプットできるだけでなく、

余った時間は他の試験対策に投資することができますよ。

やみくもに論文対策をするのではなく、愛知県教員採用試験の小論文攻略にはどんな知識が必要なのか知って、書き方を知り、自身の経験を流し込めば、それだけで最低限の答案が完成します。

模範解答で完成形(ゴール)のイメージをつかみ、型を覚えていきましょう!



※前提知識として文字数や評価基準などは次の記事で確認しておきましょう。



小論文の過去問テーマ

さて、愛知県教員採用試験の論文は次の2パターンに分類されます。

グラフ課題パターン】・・・様々なグラフや資料からデータや近況を読み取り、自分の経験を交えて論じます。

文章課題パターン】・・・短文(詩やニュース誌など)を読み、その文章から読み取れる事柄に自分の経験を交えて論じます。

いずれにせよ、データ(グラフや文章題)を踏まえた上で正しい論述が求められます。

一般的な論文とは傾向がまったく異なるため、しっかり内容を把握しておくことがポイントです。

では、さっそく出題テーマと模範解答を見ていきましょう。

令和6年度(2023年実施)

【課題】
 次の表は、インターネットの利用状況についての全国調査(注)からの抜粋である。この表からあなたは何を読み取るか。また、それを踏まえて、あなたは教員としてどのような教育を心がけたいか。900字以内で述べよ。

出典:「令和3年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」調査結果
内閣府(令和4年3月)

スマートフォン、契約していないスマートフォン、携帯電話、自宅用のパソコンやタブレット等、学校から配布された・指定されたパソコンやタブレット等、ゲーム機、テレビ

(注)上記7機器によるインターネット利用状況についての調査

調査期間:令和3年11月3日~12月14日
調査対象:満10歳から満17歳の青少年5,000人(回収数3,395人)

令和5年度(2022年実施)

【課題】
 次の文章を読んで、 この筆者の考えをあなたはどうとらえるか。 また、 それを踏まえて、あなたはどのような教員を目指したいと考えるか。 900字以内で述べよ。

 答えは確かに〈ある〉。それが初等中等教育における「問題」の大前提である。そして先生はその答えを知っている。その正しい答えに、どうしたら自分たちも到達できるだろうか。先生が知っているはずの答えと自分のものが一致すれば正解で、違っていればバツ。それが入学試験も含めて、高校までの試験の問題であった。
 考えてみると、これは怖いことではないか。なぜなら、小学校から高校まで、誰もが一貫して、問題には必ず答えがあるということを前提とし、正解は必ず一つであると思い込んできたのだから。教師の側も、答えが二つも三つもある問題は避けてきただろうし、答えのない問題は出しようがなかった。
 どこかに正解があって、その正解は自分が知らないだけであって、誰かが(たぶん誰か偉い人が)知っていると、頭から思い込んでいること、その呪縛のまま、大学においても同じスタンスで教育を受け、そして社会に出ていく。そんな社会人ばかりが増えていくと考えることは怖しいことではないか。

永田和宏著『知の体力』より)

令和4年度(2021年実施)

【課題】
 次の図表は、外国籍の児童生徒数についての全国調査からの抜粋である。この図表からあなたは何を読み取るか。また、それを踏まえて、あなたは教員としてどのような教育を心がけたいか。900字以内で述べよ。

令和3年度(2020年実施)

新型コロナウイルスの影響で中止になっています。

令和2年度(2019年実施)

【課題】
 次の図表は,児童生徒の問題行動等についての全国の状況調査からの抜粋である。この図表からあなたは何を読み取るか。また,それを踏まえて,あなたは教員としてどのような教育を心がけたいか,述べよ

平成31年度(2018年実施)

課題
 次の文章は,2015年ラグビー日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズが,筆者に日本の未来について語った一部である。これを読んで,あなたはこの考えをどうとらえるか。また,それを踏まえて,あなたはどのような教員になりたいと考えるか。900字以内で述べよ。

 日本が創造力の歩みを止めてしまった背景には経済的な基盤が安定し,「ミスをしない」ことが支配的になってしまったことが根底にあるという。「社会に『ノーミス志向』が強ければ,クリエイティブに考えたり,決断していく方向に選手を仕向けることはできません。
 私は,選手たちに決断して欲しい。ただ,日本の社会では選手が決断したあとで『それは間違っていた』と否定することが多い。コーチにとって大切なのは,『選手はなぜそういう決断をしたのか』を考えることです。」

(生島淳著『コーチングとは「信じること」』より)

平成30年度(2017年実施)

課題
 次の図表は,日本を含めた7か国の満13~29歳の若者を対象とした意識調査結果からの抜粋である。この図表からあなたは何を読み取り,それを踏まえて教員としてどのような教育を心がけたいかを述べよ。

出典:「内閣府 平成26年版 子ども・若者白書(概要版)特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの」

平成29年度(2016年実施)

課題
 次の詩を読んで、この筆者の考えをあなたはどうとらえるか。また、それを踏まえて、あなたはどのような教員になりたいと考えるか。900字以内で述べよ。

 あなたの(こころ)はどんな形ですかとひとに聞かれても答えようがない。自分にも他人にも(こころ)は見えないけれど、ほんとうに見えないのであろうか。
 確かに(こころ)はだれにも見えない。けれど(こころづかい)は見えるのだ。それは人に対する積極的な行為だから。
 同じように胸の中の(思い)は見えないけれど(思いやり)はだれにでも見える。それも人に対する積極的な行為なのだから。

(宮澤 章二著「行為の意味」)

平成28年度(2015年実施)

課題
 次のグラフは、全国の小学校6年生と中学校3年生に実施した「普段(月〜金曜日)、1日当たりどれくらいの時間、テレビゲーム(コンピューターゲーム、携帯式のゲーム、携帯電話やスマートフォンを使ったゲームも含む)をしますか」というアンケートの結果である。このグラフから、あなたはどのようなことを読み取るか。また、それを踏まえて、あなたは教員としてどのような教育を心がけるか。900字以内で述べよ。

(中学校)
(小学校)
出典:文部科学省 国立教育政策研究所「平成26年度全国学力・学習状況調査」

平成27年度(2014年実施)

課題
 次の文章を読んで,あなたは何が問題だと考えるか。また,それを踏まえて,あなたはどのような教師になりたいと考えるか。900字以内で述べよ。

 都市化する生活空間の中に,人と人が直接出会いかかわりを持つ場と機会がどんどん少なくなってくる。このような生活空間の中で,人と顔を合わせず,言葉を交わすこともなく生活を続けるうちに,現代の子どもや若者たちは人と交わり,深くかかわることを嫌う性向や嗜好を強めてくる。すると,今度は,そのような若者たちの嗜好を見透かしたかのように,直接相手と顔を合わせなくとも,人とコミュニケーションできるさまざまな機器が開発され,発売される。当然のことながら,若者たちは,この便利な都合のいい危機を購入し使うことになる。そして,このような便利なコミュニケーション機器を使うことで,若者たちの人との直接的な接触がさらに減っていく。こうなると,若者たちはいっそうこの重宝な機器に頼らざるをえなくなり,使う。そして・・・。こうした循環が繰り返されれば繰り返されるほど,人と人の直接的な交わりはますます少なくなる。

(出典門脇厚司著「子どもの社会力」)

平成26年度(2013年実施)

課題
 次のグラフは、全国の小・中・高生を対象に実施した「あなたは今の自分について『今の自分が好きだ』と思いますか」というアンケートの結果である。このグラフから、あなたはどのようなことを読み取るか。また、それを踏まえて、あなたは教師としてどのような教育を心がけるか。900字以内で述べよ。

出典:独立行政法人国立青少年教育振興機構「青少年の体験活動等と自立に関する実態調査」

平成25年度(2012年実施)

【課題】
 次の文章を読んで、あなたは何が問題だと考えるか。また、それを踏まえて、あなたはどのような教師になりたいと考えるか。900字以内で述べよ。


 私の教え子の多くは中学・高校の先生になっていますが、彼らもまた、生徒の幼稚化を日々感じているそうです。たとえば「先生見て見て、私を見て」などとアピールしてくる生徒が多い。
 いいことをして「見て」と顕示する場合もありますが、わざと悪いことをするときもある。要するに叱ってもらいたい、かまってもらいたい、認めてもらいたいと思っているわけです。高校生にもなって先生にそういうメッセージを送ってくるということには、いささか驚かされます。

(齋藤孝著「なぜ日本人は学ばなくなったのか」)

小論文の模範解答例

令和6年度(2023年実施)

 調査結果から、インターネットの利用時間が近年増加傾向にあると読みとれる。コロナ過が続いた令和3年度には、小中高生の半数以上が1日3時間以上利用している。これは、スマートフォン等の情報機器が普及し、インターネットの利用が日常的になっていることが原因と考えられる。そのため、学校においては、子どもたちを取り巻く環境を踏まえたメディアリテラシー教育の充実が一層求められる。私は教員として、以下の二点に重点をおいて教育活動に取り組んでいきたい。

 まず、情報モラルの育成に取り組む。道徳の授業や学級活動を通して、情報をインターネット上で正しく安全に利用することの意義を考えさせる学習を行う。具体的には、情報モラルに関する動画教材を用いて、個人情報の扱いについて考えさせたり、SNS上のトラブルの事例を取り上げて問題点について話し合わせたりする。その中で、知らないうちにトラブルに巻き込まれてしまうことや、何気ない発信が人を傷つけることもあるのだと子供たち自身に気づかせる。また、学級通信などを通して、ルールや正しい利用の仕方を家庭と共有していく。

 次に、ICTを活用した学級活動の充実に取り組む。1人1台端末等を用いて学習への関心・意欲を高めるとともに、子どもの特性や個性に沿った教育活動を積極的に進めていく。新聞やリーフレットなどのデジタル作品をグループで分担して製作するような共同学習も行っていきたい。子供同士が意見を共有したり議論したりするときにICTを効果的に活用すれば、より多くの仲間の意見に触れて、考えを深めることができるだろう。さらに、遠隔地や海外の人々とオンライン上で交流し、異なる考えや文化に触れることで、学校や地域を超えた広い学びにつなげていきたい。

 今後、ますます変化の激しくなる情報社会を生き抜くためには、正しい判断力や創造力、人と豊かに関わり合う共生力が求められる。私は、子どもたちが個性を発揮しながら、仲間とともに主体的に生きる力を育む教育を心がけ、子どもたちと一緒に成長し続ける教師でありたい。

令和5年度(2022年実施)

 筆者の言う通り、「問題」の正解は一つであり、それを誰かが知っていると思い込んだまま、子どもたちが社会に出ていくことは、望ましくないと考える。なぜなら、社会における「問題」の中には、答えが一つではないもの、簡単には見つからないものが多くあるからだ。また、他と協働しなくては解決できない問題や、自分たちで答えをつくり出すべき問題もある。これらに対応し、未来の変化が予測困難な時代を生き抜くためには、自分で考え、判断し、周囲と協働する力が必要である。私は、子どもたちの「生きる力」を育てる教師を目指し、次の二点について力を入れて取り組んでいきたい。

 まず、探求する活動を通して、主体的に学び、自ら深く考える姿勢を養いたい。各教科の学習においても、体験を取り入れたり教材を工夫したりすることで興味・関心を高め、子どもたちの「なぜだろう」を大切にした授業づくりをする。子どもたちが疑問の答えを見つけようとする過程で、安易に答えを求めず、自らの考えを掘り下げ、別の見方をしてみようとすることが、深い学びにつながる。課題解決の過程において、試行錯誤する子どもの活動を温かく見守り、一人一人の学び方やつまずきに寄り添いながら、丁寧な指導を心がける。

 次に、協働的な学びを通して、学びの深まりや広がり、人と関わることのよさを実感させたい。ICTを活用すれば、意見交換や発表がさらに充実するだろう。また、授業や学校行事に協働して取り組む中で他者の存在の大切さに気付かせたい。さまざまな意見があるからこそ、多面的でおもしろい授業になったり、一人一人の個性が異なるからこそ、行事が盛り上がったりする。全ての教育活動を通して、自分も仲間も大切な存在であることを認め、互いに尊重し合いながら協働する力を養いたい。

 私は、主体的・協働的な学びを通して、世の中の問題に広く目を向け自ら課題を見出し探求する力、仲間と協働しながら考えを深めたり広げたりして一緒に答えを創造する力を育てていく。どのような困難に対しても粘り強く挑戦し、よりよい社会を築くことができる子どもたちの育成を目指し、精いっぱい努力していく所存である。

令和4年度(2021年実施)

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