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フェミサイドは、ある

メルカリで本を買う。
軽い気持ちで面白そうだなと買ってしまった。なんなら単行本だと思っていた。フェミサイドだって知らないし、フェミニズムだってよく分からない。だけど、この本に出会ってしまった。

夢中で読んでしまったのである。最近は本よりもzineぐらいの分厚さが読みやすかったりもしている。
私たちも普通に生活して、普通にうちに帰りたいという願い。

女性であるだけで、生活が脅かされる現実。
夜道はイヤホンをしないし、というか怖くてできない。チャリはガニ股でこぐようにしているし。
ぴっちりした服もできるだけ着たくない。身体のラインは分かりにくい方が安心する。
風が吹いたらパンツが見えてしまうようなスカートを学生の私たちはなぜ履かなければならなかったのか。
何をするにもズボンが安心だった。自意識過剰と言われればそうなのかもしれないが、そこらへんはなんだかとても気にしてしまう。

痴漢こそあったことはないが、電車内で距離のつめ方がおかしい人にはあったりもするし、そんな経験をした方は多いような気もする。
中学生の時に、高校生男子(近所の高校の制服を着ていた)につけられたことがあった。恐怖だった。待ち伏せされて、私は動かなかったから結局通り過ぎて行ったのだけどその後も私が動くのをじっと遠くから見ていたのである。
彼は私をつけて何をしたかったのだろうと考える。私は中学生であって、彼は高校生だった。まさか、高校生がそんなことをするだなんて思いもしなかった。

女性であるだけで、安心して家に帰ることができないものなのかとその時は本当に感じていた。色んな感情があった。強くなりたかった。空手とかやりたかったけど、お金もないし。空手はできなかったけど自分の身は自分で守れるだけの何かがずっとほしかった。今もほしい。今も不安だ。夜道はこわい。

女性なら誰しもあるように思う、このなんとなくの不安。それは会社でも、学校でも、電車の中でも、帰り道でもどこでも、ふっと訪れる恐怖。できれば感じたくない。今もこれからも。この本を読んで、そのことをことばにできてよかったなぁと思う。たぶん私はずっとこのことを誰かに話したかったのだと思う。


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