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書きたいことから外れてみると思わぬ方向に展開し、うまく着地することもあれば、複雑骨折することもある。ここでは前者をとりあげるけど、どっちもたのしい。気が付いたときにメンバーや打順… もっと読む
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#エッセイ

なじみがないのになじむ

8カ月ぶり2回目の盛岡に妻と行く。 前回、高速バスを使って0泊2日ではじめて訪れたものの、あまりの移動の疲労で記憶が断片的にしか残っていなかった。もう一度行きたいと話していて、割と近日中に実現する。いっかいではわからないことが世の中には往々にしてある。 今度は新幹線のはやぶさを使って3時間ちょっとで盛岡に到着した。はやいしおしりが痛くない。新幹線を降りると、冷たい空気にさらされる。寒さでおじけずくというより、しゃきりと猫背がのびるような、ほどよいきびしさが勝った。 おなかが

チータンタンを煮だすひとびと

夜行バス引退は30歳に大きめの転換点があると思う。オールはもうしんどいし、社会人のそこそこの財力があると新幹線や飛行機で解決することもできてしまう。トップアスリートの引退もその年齢に多いから、夜行バスもまたひとつの競技なのかもしれない。選手生命をかけておれは予約をいれる。 土曜の夜、パートナーと東京のバスターミナルにいた。乗り込んだバスの電光板には盛岡と表示されている。 東北には生まれてからほぼ縁がない。鹿児島で生まれ育ち、広島で大学時代を過ごし、東京で就職してはたらいてい