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1月4日 WABARAのお話・ローズファームケイジさん

はじめに

私。皆様へのご案内ですっかりなんの説明もしないまま、WABARAとしか書いていないことに気づいたんです。

これはもう知っていること前提で話してしまっていると言うことで、お客様にも和ばらの作り手であるローズファームケイジさんにも失礼なことだと、はたと気付きました。

今日はローズファームケイジさんのことについて、私が知っている限りのことを書いてみようと思います。

私がWABARA=和ばらをLesson menuや webstoreの商品に入れたいと思ったのは、
「ずっと憧れていたから」これに尽きます。

まだお花の仕事をするずっと以前から、時折目にする和ばらはあまりに美しかったんです。
でも和ばらは高価なものが多く、なかなか手が出せませんでした。

ある時、季節のせいか和ばらがお手頃になっていた時があり、初めて手に取りブーケに束ねました。
あまりの愛らしさと、美しさ、繊細さに魅了されたのをよく覚えています。

(こちらが私のファースト和ばらブーケです。確か「かおりかざり」と言う品種だったと思います。)

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お花仕事を始めてから、お客様に「バラのブーケを極めたい」とのご希望を頂きました。
そうであるなら、どうせなら素晴らしい薔薇をご紹介していきたい、あの薔薇の仕入れができるようになりたいと思い立ち、ご契約させて頂いたのがきっかけです。
(実際は私のバラのブーケのレッスンでは和ばらは勿論のこと、お花仲間のご協力のもと色々な素晴らしい薔薇をご紹介できるようにしております。)

今はレッスンではもちろん、web storeでの目玉商品となっております。

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ローズファームケイジさんについて

ローズファームケイジさんの農園は滋賀県の琵琶湖の近くにあります。

「一本の花で、人生が変わるかもしれない
花を飾ると、なぜだかほっとする。
その和んだ気持ちが少しのゆとりになって、
身の回りや言葉を整える。
身の回りや言葉が整えば、
自然と会話に笑顔が生まれる。
笑顔が生まれる空間は、とっても幸せ。
日々の暮らしに「ときめき」があれば、毎日がきらめく。
心ときめく、ばらを生み出そう。」

ローズファームケイジさんのHPに掲載されている、國枝啓司さんのお言葉です。

私は本当に無知だったので、和ばらのwork shopや色々なプロデュースをされている方をケイジさんだと長いこと思い込んでいました。

実は違いました。
國枝さんファミリーのばら農家としての歩みは、啓司さんのお父様の栄一さんがバラ園を営んでいた事からはじまりました。
國枝啓司さんはお兄様と共にバラ園に就農されたものの、ご自身がバラ園を継ぐ事ができないことがわかってらっしゃり、育種家としての道を選ばれました。
フランス、ドイツ、オランダでの研修で学んだ思想や技術をもとに、いつか「世界中の花屋さんに並ぶバラを作る」ことを夢見て育種家としての活動を開始されたんです。

風にたなびく野に咲く花のように、
「いのちを感じる」 ばらを育てる。
蕾、開き始め、満開、そして終わり。
花が花であるということは、
自然な営みがあるということ。
山や森に入った時に感じる、心地よさ。
自然体に戻る感覚。
和ばらの目指す姿は、
そんな自然たちの違和感のなさ。
与えられた場所で、ただひたすらに
太陽に向かう意思が見せる、ひと枝ごとの佇まい。
静かに、しかし確かに感じる存在。
手から伝わる確かな息吹。
柔らかな花の時間を感じ、
あるべき心の位置に戻れるような、
そんなばらを目指しています。
ばら作家、國枝 啓司

啓司さんの1番お好きなお花はなんと「コスモス」だそうで、風にたなびくばらを作りたいと仰る所以がそこにあるそうです。
雅子皇后のご成婚に際し、オリジナル品種「プリンセスマサコ」を開発、献上されたり。
現在最高の和ばらと言われる、シャルロット・ペリアン女史に捧げるばら、「Rose Charlotte Perriand」を作出されています。(不甲斐ない私は、本当に全然入手できません💧)
現在は全てオリジナル品種「和ばら」のみを栽培する農園となられ、65品種あまりを世に出されておられます。
また夢だったWABARAの世界進出も果たされているそうです。

それで私が啓司さんと思っていた方は、啓司さんの息子さんの國枝健一さんです。
健一さんはお父さんの啓司さんが育種家としてキャリアをスタートした年にお生まれになり、
幼少より、お父様が勤めるバラ園に同行し、日々そこで過ごされていたそうです。
高校、大学と県外に進学し、ばらとは無縁の生活を送り、東京でのサラリーマン生活を半年で辞めて起業しようと思った際に、ご実家のバラ園のことを思い出されたそうです。
都内在住時にバラを贈る度に喜ばれていたこと、翻って幼少期より知る生産農家は、花市場への出荷のみでお客様の喜ぶ顔や声を知らないことに気づき、生産者は可能性の塊であると感じられ就農を決意されました。
滋賀に戻ってすぐに見た、お父様の作出する名前のない新たな品種たちのたおやかな姿に触れ、そのばらたちを「和ばら」と名づけたそうです。
お祖父様より三代に渡りばらに携わることの意味として、健一さんのミッションを「ばらの可能性を拡げること」と掲げ、ばらの本質、根源を大切にしながら、今までにないばらの面白さ、魅力を見出し発信していく活動を行っていらっしゃるそうです。


私が健一さんを啓司さんと思い込んでいたのは、健一さんのメディア等への露出が多かったからだったようです。

営み全てが和ばらである
Farmの風景、土、空気、私たちの気配。
見えるもの、見えないもの、その全てが関わって、その一つの結晶として、和ばらが咲いていると考えています。

國枝健一氏のことば

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和ばら=WABARAという名前について


ローズファームケイジさんのバラの名前、表記は和ばら又はWABARAです。

「和ばら」と名付けた思いについて國枝健一さんが語られている記事を見つけたので、転載します。

世界展開を見据え、「日本から発信する新しいバラの形」という意味を込めて「和ばら」と名付けたのです。
和とは「調和」
和み、和らげ、和を結ぶ
周りを引き立て、自らも存在する。
ばら作家、國枝啓司の生み出す
日本から発信するばらの形僕が事業に入ることになった時に、そんな父の想いや夢を聞いて、単に日本の、という意味だけでなく、日本語の「和」のもつ様々な意味を込めて「和ばら」と名付けました。
世界に通用する日本のバラにしたいという思いがありました。「和ばら」の「わ」は「和」なんですが、「和」というのは本当に、すごく意味が深い言葉だと思うんですけど、「調和する」とか「和を以て貴しとなす」といった、日本の文化や美意識の根源にある精神があると思うんです。

もちろん背景には、過剰に手を加えず、環境に対応すること、調和することを重視したバラ作りをしてきた父のこだわりがあります。


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「和ばらって、か弱そうじゃない?」

お花仲間から言われたことばです。
私調べではそうじゃないんですよ。
和ばらは美しく個性的に咲くだけでなく、市場に出てからの花もちのよさにも定評があるんです。

確かに啓司さんが目指されている通り、和ばらはとてもしなやかで、線も細く、儚げです。
でも、作り方、また作り方に対する考え方に触れ、私は和ばらの力強さを知りました。

ちょっと難しい話ですし、私も詳しくはわからないのですが…
健一さんは全国各地の高名なばら農家が作るバラに触れる中で、自分が感動する花が全て土で栽培されているバラだということに気づき、それまでの養液栽培(≒水耕栽培)から土耕栽培に変更することを決意されたそうです。

國枝さんの農園にはいくつか温室があります。
ひとつの温室は、主に新たな種を生み出す育種のための農場。交配と品種改良の最前線であるそこは、伸び放題に伸びた葉や茎、蔓が絡まっていて、一見荒野のようだそうです。

「水も肥料もほとんど与えません。ほったらかしの、過酷な環境です。でも、こういう場所に置かれることで、薔薇は子孫を残そうと必死になって種を残す。ここでできた種から生まれた薔薇は病気に強く、もちもよくなります。薔薇は自分で考える。そのことを大事にしたいんです。過保護に肥育するのではなく、自分の力で生きようとする、そういう薔薇を作りたい。栄養がなければ、自分で根を伸ばしていけるような」

私も和ばらをご購入頂いたお客様から、「和ばらの花持ちの良さに驚きました」と仰って頂く事がよくあります。
勿論、私も和ばらが届くと温度管理をしっかりとして、慎重に水揚げをしてからお客様の元へと送り出すのですが、やはり和ばらの花持ちの良さは、和ばら自身の「チカラ」によるものが大きいと思っています。

國枝さんの農園の土はふかふかだそうですよ。
もし見学させて頂ける機会がある幸運があったら、目にしてみたいものです。
微生物がたくさん住む「最高品質の土」。
なんだかわくわくします。

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和ばらの魅力について…

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國枝啓司さんは仰います

「一般的に薔薇は気持ちを高ぶらせる花という印象があると思いますが、うちの花は、逆に、“癒やしの薔薇”だと。疲れて仕事から帰ったとき、一輪でも咲いていれば、それを眺めるだけで癒やされるという声を、よくいただきます。もちろん私も、最初は生産性などを重視して品種改良をしていました。でも、多くのほかの花が薔薇を目指して品種改良をしている中、だったら逆に薔薇らしくない薔薇を作りたいと思った。もうずっと、自分の好きな薔薇しか作っていません。」
「野山の環境にならって土を作り、無農薬無肥料で過剰な操作をせず、ばら自身が“自立して”育つように育てています。繊細な花びらや中間色のグラデーションが特徴です」

そんな優しい色味の和ばらはどれをどう合わせても「調和する」のが特徴です。
お互いを引き立て合いながら、そのもの自体もしっかりと存在する。「和ばら」は一輪でも、他の花と合わせても主張しすぎない中間色や柔らかな花形、大きさを重視して栽培されているそうです。

花弁の柔らかく、たおやかな茎葉、優しい中間色の花色。
そして見た目の繊細さからは想像できないたくましさ。
自然に限りなく近い環境で生育されることで、野に咲く草花のように、どんな空間や花種と合わせても調和を乱さない。
花瓶に挿してからも刻々とうつろう表情や香りが、従来にはないバラの魅力と評価されているそうです。

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おわりに

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ローズファームケイジさんの和ばらについて、長々と書き連ねてしまいましたが、その想いやストーリーについて何か感じて頂けるところがございましたら幸いです。

ローズファームケイジさんの和ばらは、ローズファームケイジさんのサイトはもちろんのこと、色々なところでお買い求め頂く事が可能です。

ですが、私の今回はこれ!というセレクトも楽しんで頂ければなぁと、思い上がりと自分でも感じつつも思っております。

今後もレッスンやギフト、切り花のアソートなどお楽しみ頂ければこれほど嬉しいことはありません。

では
もしお読み頂けたのなら、ありがとうございました。

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