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本気のSC相模原を、待っている。

こんなはずじゃなかった。
春からずっと思い続けてきた。

けれど、何度J3リーグの順位表を見ても、SC相模原の順位は下から数えた方が早い。むしろ、どんどん数えやすくなっている。
何回寝て、何回起きても現実は変わらない。

なぜ? どうして? 何が悪いの?
色んなことを考える。
これが悪い、あれが悪い、環境のあれが足りない、これが足りない。
自分なりにでも、思いつくところは沢山ある。

しかし、いくら振り返ったところで、過去は変わらない。
今年のチーム目標であった優勝・J2再昇格は、不可能だと断言しても問題ない数字になった。


今季、SC相模原の観戦試合数は23になった。なるべく都合をつけて、全国どこへでも見に行くようにしている。
今節も、仕事を前々から調整して早く切り上げてギオンスへ行った。

結果は敗戦。1-3。

今日一番心に残ったのは、試合後のゴール裏への挨拶の時に、下を向き続ける選手達だった。

きっと、ただ試合を見ているだけの自分よりも、何倍も何十倍も色々な感情が渦巻いているのだとは思う。
けれど、上手く表現できないのだけれども、今節のそれは、未来への活力に繋がるものではないのではないかと感じてしまった。


今節、僕には悔しかったことがある。

それは、負けたのに悔しくなかったこと。


有り体に言うと、負けに慣れてしまったのかもしれない。
けれど、負け試合の中で良かったことを必死に探そうとしたり、これが改善すれば勝てるというような甘い蜜に誘われたりしている自分がそこにはいた。

僕はこんな気持ちになりたくて、こんなことをしたくてSC相模原の試合に行き続けた訳ではなかったことにふと気付いて、とても空しくなった。


よく、状態が悪い組織やチームのことを「不協和音が響いている」と表現する。

やることなすこと全て空回りしたり、周囲と合わなかったり、違うベクトルに各々が進んで行ってしまう、あの感覚。

ギオンスからの空虚な帰り道、

「いや、不協和音は相模原にはない。音自体が響いていないんだ」

と思い至ってしまって、どこか合点のいく感覚に陥った。また悔しさが込み上げた。


ホームゲームで苦しい試合が続いている。
その中で、今年特に感じることがある。

それは、終盤に得点のチャンスを迎えた際に、ベンチがとても静かなこと。

相模原がボールを持って持ち上がっても、皆ベンチに座って戦況を見守っているシーンが多い。
ボールを蹴り入れてクリアされると、相手方のベンチからわっと声が上がる。相模原がボールを持つと、また静かになる。

まるで、アウェイゲームに来たのかと錯覚してしまうような、"死んだ"時間が流れる試合が間々ある。

試合を経るごとに、ピッチに目を向けるベンチメンバーの数が少なくなっていっている。

エナジーフットボール、
もっともっと上へ、
ひとつになるために。

春先にワクワクしたあの言葉が、空虚で実体のない、何か掴みどころのないものに変わっていってしまったこの感覚。
空しくて、苦しい。


そして、それはクラブ関係者や選手達も同じ思いなのだと思う。
むしろ、どうしたらいいか分からないのは、選手達自身なんだと思う。

相模原で優勝・昇格するために意気込んたシーズン。
序盤からの失速、チームの活動停止、監督交代、噛み合わないプレー、色々なことが起きた。
きっと、言い訳しようと思えばいくらでもできるのだろう。

負けて下を向く気持ちは分かるし、きっと僕の想像を上回る、推し量れないほどの気持ちを抱えているのだと思う。

観客やファン・サポーターが今の相模原に何を見ればいいか分からなくなっているのと同じように、
選手達も、どこを向きながら、何のために目の前の試合を戦えばいいのか、分からなくなっているように僕は感じる。


けれど、選手達が評価されるのは、ピッチでのプレーとその結果。
いくら理由を並べても、これを覆すのはとても困難だと思う。

そして、サッカー選手には大きな可能性がある一方で、すぐ将来の保証がない。
誰が来年どうなるかなど、誰にも分からない。

しかし、時間は待ってくれず、容赦のない評価が下されるのが、アスリートの世界の常だ。


正直に言うと、僕はもう今季、チームの成績を気にしてスタジアムに行くのをやめた。

サッカーがチームスポーツである以上、チームの勝敗は最も重大な関心事であることに変わりはないと思うし、当然どのような状況であっても勝利を目指して戦うのが、スポーツ興行としての当たり前の姿だと思う。

けれど、今の相模原は明らかに出力が足りない。
語弊を恐れずに言えば、「勝負をする以前の、チームとしての気持ちと姿勢」の問題がとても大きな影を落としているように感じる。


極端に言えば、僕はもう今季勝ち試合を見れなくてもいい。
けれど、負けた時に、選手と一緒に涙を流すくらい悔しい思いをしたい。

本気で怒りたい。
本気で悔しがりたい。
本気で涙を流したい。

空虚な気持ちより、そっちの方が余程いい。

そして、もし本気の勝利を掴めた時には、皆で最高の笑顔になって、喜んで、楽しんで、SC相模原と選手達を応援してよかったと思えるような時間を作りたい。


「観戦して嫌な思いをするのなら、見に行かなければいい。」
そういう声も至極真っ当だと思う。

けれど、僕はSC相模原が好きだし、何がどうなろうがずっと応援したい選手がいる。

そんなチーム・選手と大切な時間を過ごせるかもしれない機会を逃すつもりは少しもない。


公式戦、残り12試合。
2022年のSC相模原に残された時間は、もう少ない。

当初の目的は果たせなくなった。
けれど、まだやらなければいけないことが、きっとこのチームにはある。

未来への活力のため、
自分たち自身の誇りのため、
誰かに届ける、何かのため。


前を向いてほしい、たとえそれが苦しくても。

横を見てほしい、きっと同じ思いを抱えたチームメイトがいる。

後ろを見てほしい、数は少ないかもしれないが、いつでも本気のSC相模原を待つ人達がスタンドにいる。


僕はずっと、待っている。

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