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認知症チームケア推進加算について



令和6年度介護保険制度改定における認知症ケアの考え方

 令和6年度から始まる第9期介護保険事業計画期間は、その計画期間中にいわゆる団塊の世代がすべて 75 歳以上となる 2025 年を迎えることとなるらしいです。さらに高齢者人口がピークを迎える2040年は、全人口の5人に1人が75歳以上の高齢者となると推計されています。生産年齢人口の急減といった更なる人口構造の変化やそれに伴う社会環境の変化 が見込まれており、引き続き、不断の見直しが不可欠な状況です。
 認知症ケアについては、制度改正の基本認識にある「地域包括ケアシステムの深化・推進」の中で、認知症の方の尊厳を保持しつつ、認知症の対応力向上に向けた取組 を進めて行くことが重要であるとされています。
※厚生労働省 社保審-介護給付費分科会 第 236 回(R5.12.18) 資料2

認知症チームケア推進加算とは

概要・基本的な考え方

 令和6年度改正の基本認識の中にある「認知症の対応力向上」のため、認知症の行動・心理症状(BPSD)の発現を未然に防ぎ、あるいは出現時に早期に対応するための平時からの取組を推進する観点から、「認知症チームケア推進加算」 が創設されました。入所者の認知症の状態に応じたケアを提供するため、医療と介護が連携し、認知症ケアに取り組む体制を評価する加算です。
 基本的な考え方は以下の通り
①認知症ケアにおいては、入所者の尊厳を守りながら適切な介護を提供することが重要。日常的に適切な介護を行うことで、BPSD(行動・心理症状)の発生を予防し、発生した場合でも早期に対応し重症化を防ぐことを目的としている。
②この加算は、認知症ケアの目標を達成するために、配置要件を満たす者が中心となった複数の介護職員で構成されるチームが、日常的に認知症の入所者に適切な介護を提供し、BPSDの予防およびチームケアを実施していることを評価する。
③チームは、加算の対象者である入所者に対し、計画的にBPSDの評価指標を用いて評価を実施し、その結果に基づいてチームケアの計画を作成・実施します。計画作成に際しては、評価結果と整合性の取れた計画を個々の入所者の状態に応じて個別に作成し、画一的な計画とならないよう注意する。また、ケアにおいて入所者の尊厳が十分に保持されるよう配慮する。 
④チームは、ケアの質を向上させるために、対象者一人につき月に一回以上の定期的なカンファレンスを開催し、BPSDを含む入所者の状態を評価、ケア計画の策定、ケアの振り返り、状態の再評価、計画の見直しなどを行う。評価やケアの振り返りなどは「認知症チームケア推進加算・ワークシート」と介護記録に詳細に記録します。また、日々のケアで状態や環境の変化が生じた場合も随時カンファレンスを開催する。
※厚生労働省 高齢者支援課、認知症施策・地域介護推進課、老人保健課
介護保険最新情報 Vol.1228 令和6年3月18日より

実際に取り組むとなると、記録の整備等を含め、しっかり所内での体制構築をすることが大切になりますね。

算定要件

認知症チームケア推進加算(Ⅰ) 150単位/月
①利用者の総数のうち、日常生活で周囲の注意を必要とする認知症の人、具体的には日常生活自立度がⅡ以上に該当する方の占める割合が2分の1以上であること
②「認知症介護指導者養成研修を修了」し、かつ、「認知症チームケア研修」を修了した者を1名以上配置し、かつ、複数人の介護職員からなるBPSDに対応するチームを組んでいること。
③BPSDの評価を計画的に行い、その評価に基づく値を測定し、BPSDの予防などに資するチームケアを実施していること。
④BPSDの予防等に資する認知症ケアについて、カンファレンスの開催・計画の策定・認知症の行動・心理症状の有無及び程度についての定期的な評価ケアの振り返り・見直し等を行っていること。

認知症チームケア推進加算(Ⅱ) 120単位/月
 
認知症チームケア推進加算(Ⅰ)の①③④に適合し、かつ、「認知症介護実践リーダー 研修」を修了し、かつ、認知症チームケア推進研修を修了した者を配置していること。

算定における注意点

①(Ⅰ)と(Ⅱ)で、求められる研修が異なります。
 認知症チームケア推進加算(Ⅰ)は、「認知症介護指導者養成研修」と「認知症チームケア推進研修」の修了者が求められているのに対し、認知症チームケア推進加算(Ⅱ)は、「認知症介護実践リーダー 研修」と「認知症チームケア推進研修」の修了者の配置が求められています。

②認知症専門ケア加算との同時算定は不可
 同一の利用者に対して、認知症専門ケア加算と認知症チームケア推進加算は同時算定はできないこととなっています。同じ体制を算定の根拠しているので、妥当であるかと思います。
 ただし、同一施設内の利用者に対して、加算を使い分けて算定すること、例えば、入所者Aさんには「認知症専門ケア加算」を算定し、入所者Bさんには「認知症チームケア推進加算」を算定することは可能となってます。利用者の状態に合わせて、計画の策定等の他の要件を満たすことで、それぞれの算定が可能とされています。

認知症チームケア推進加算 まとめ

①認知症の対応力向上に向けた取組 を進めて行くことが重要。
②認知症の行動・心理症状(BPSD)の発現を未然に防ぎ、あるいは出現時に早期に対応するための平時からの取組を推進すること。
③加算算定には、認知症介護指導者養成研修・認知症介護実践リーダー 研
修・認知症チームケア推進研修等の修了者の配置が必要。
④同一利用者に対して、認知症専門ケア加算との同時算定は不可。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
報酬改定の前後は、色々調べなければならないことが多くあり、所内での体制も構築していく必要があるので、なかなか骨が折れますが、利用者の皆様が幸せな生活を送っていただけるよう、また、職員にとっても働きやすい環境を準備していくため、頑張ってまいりたいと思います。

また、次回よろしくお願いいたします。


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