ふらっと植物育て

 きっかけは山わさびであった。ご当地特産品を扱う店舗にて山わさびがそのまま袋に入って売られていた。すりおろして食べてみたら感動した。
 プランターに欠片を埋めてみた。それから今年で約4年目。うちに来た植物は、誰かが夏になると実がなるのよと光景が目に浮かぶ話をしてくれたことからレモンの木、家族の要望で和生チューリップと洋生チューリップ、食費節約のためミニトマト、青ネギ、枝豆、なす、アスパラガス、店先で見て好奇心から買ったツタンカーメンの枝豆とひよこ豆、ジャワ唐辛子である。
 これら植物はそれぞれに特徴があり、それに伴い私の感情も揺り動かされる。
 まず、先の山わさびと洋生チューリップは枯れても、また気候が暖かくなってくると青々とした葉がみるみると育ってくる。その姿は単純に元気付けられる。人間もそうだったら良いのになと思う。ちなみに洋生チューリップと同じ場所に植えた和生チューリップは1回も発芽したことを見たことがない。弱肉強食の場にするのではなく、別にすればよかったと反省している。
 一方で、トマトやなす、ツタンカーメンの枝豆、ひよこ豆は暖かくなってくると、ぐんぐん大きくなって実も豊富に付けてくれる。その時はとても嬉しくなるのだが、そのうち「枯れ」の影が見え始める。その時は人間の青年期、壮年期、老年期、死を連想し、哀愁を感じずにはいられない。ただ、救いなのは豆類は次期の種も得られやすいので子孫を頂いた気分になる。ちなみに青ネギは生と死の合間にあるような植物で、ずっと枯れずに育ち続ける個体もありながら、種も得られる。
 それに対して、レモンの木は冬期に枯れてしまう葉が部分的にあっても本体である幹の部分はずっと枯れずに居てくれる。この事実は意外と心を安定させてくれる。
 また、レモンの木は育てて約3年目だが、年を経るごとに毎年の実の数が増えていき、愛着が湧いてくる。
 その点では、ちょっと似ているがアスパラガスは植えて2年目以降でないとよく見る姿にはならない。忍耐が必要だ。
 多様性の時代であり、分断の時代でもある昨今。私の家の庭はまさしく多様性であり、それぞれに個性がある。しかし、和生チューリップの様にならないように棲み分けが必要だ。
 これらのことを小規模ではあるが経験し、実感を伴って感情もそれぞれに揺さ振られた。
 人間との付き合いも関わって、経験して、実感してこそ尊重出来る。

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