何もわからないまま喫茶店を巡る~『喫茶おじさん』の書評コラム~
「あなたは何もわかっていない」
今の嫁、元嫁、娘、同僚などなど…、主人公のおじさんが作中で何度も言われる言葉である。
おじさんは、「自分が何をわかっていないんだろう」と思いながら喫茶店巡りをする。
のんきなものである。でも、そののんきさが何故か読んでいてああ、なんかいいなあと思う。
私はこの小説を仕事の休み時間に読んだ。1時間休憩で、昼食をとってからの残り約30分位の時間を使って。
この本は1月から12月までの章立てになっている。無理のないペースで読みたかったから読む前に1日1章のペースで読もう。と読む前に目次を読んでなんとなく決めていた。
でも、彼は何がわかってないんだろうとか、おじさんの入る喫茶店の描写が楽しくて1日2章までつい読んでしまって、結局約1週間で読み終えた。
おじさんが入る喫茶店の名前は、作中では全く出てこない。なので、作者が考えた架空のお店なのかな…と思っていた。しかし、おじさんが京都旅行をするシーンがあり、たまごサンドが有名で、本店が人気で、支店が百貨店にあるって…あのお店じゃない!?と、地元の実際にあるお店と結びついて読んでいてちょっとテンションが上がった。
おじさんほどではないが、私も時々一人でゆっくり考えたい時、喫茶店に行きたくなる。ああ、何か書いていたら無性に喫茶店でコーヒーを飲みたくなってきた。
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