最期の親孝行できた?

連絡は突然だった。
危ないみたい。妹からの電話。
仕事の休憩時間だった。
は?ってなる。
急いで向かう。電話もらって、到着までに30分。
到着して、部屋に案内されると聞き覚えのあるアラーム音。
カーテンが閉まっていたけど、なんとなく予想はついた。

顔をみて、モニターみて。
間に合わなかったんだなと。
眠っているみたいだった。
いつもなら、声をかけるとおー!来てくれたのかってなるけど。
先に到着していた、母も妹も間に合わなかった。
あっという間に逝ってしまった。
その分苦しいとかはなかったかもしれないけど。
どんな事しても後悔はある。
私は最期何をしてあげたいかな。自分はしっかり見送ってあげたい。
いま持ってる力を父のために注ぎたい。
病院のスタッフの方に死後の処置を家族水入らずでさせてもらいたいと伝えたら、了承してくれた。
シャワーもできますよって。父はお風呂が大好きだったから、迷わずシャワーへ。
妹と2人で父をシャワー浴。
お父さん、気持ちいい?髭剃るよ。お湯は熱くない?とか。思い出話ししながら、泣いたり、笑ったり。
これでもかって言うくらいに父を保湿して、パジャマでごめんね。急だったから。お気に入りの洋服ではないけど、父に似合いそうなパジャマを売店で購入して着せてみる。
なかなか似合うね。
綺麗に整えた父は本当に寝てるみたい。
また目が開くんじゃないかなって。ありえないのはわかってるけど、そう思っちゃう。
お父さんって呼んだら起きてくれないかな。お別れちゃんとしてないよ。
孫達もまだ来てないよ。
お父さん、ありがとうってちゃんと言いたかったよ。
お父さん。お父さん。

看護師になってすごく喜んでくれてたな。救急車で何度か運ばれて。その度に娘が看護師だって言ってた。私はそれがすごい恥ずかしくて。でも、だから、家族水入らずの支度もできたのかも。お父さんにこんなに触る事、今までなかったからね。お父さんを抱き上げることもなかったね。最期にお父さんにいっぱい触っておいた。

ありがとう、お父さん。やっぱり大好きだった。

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