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【24/1/17】自分でやるか、他社と組むか(その2)

今週は、
認定専門家(経営・事業開発コンサルティング、事業提携・M&A・その他企業法務)の
佐々木 久郎によるコラムをお届けします。
https://glocal-solutions.org/expert/24/


GSJの認定専門家をしております、佐々木久郎です。
渋谷にあります中村法律事務所で
弁護士をしておりますが、
もともとは日系メーカーで15年ほど製品設計をやった後、
事業開発部門に異動して、
クロスボーダーの事業提携や
M&A案件を、数多くやってまいりました。

前回のコラムでは、
自社の事業を伸ばしていこうとする際に、
自分でやるのか、他社と組むのかという問題
全体見取図のお話をさせていただきました。

今回は、
具体論の第1弾として、
事業提携についてお話をさせていただきたいと思います。

事業提携とは、
特定の分野や事業を決めて、その範囲内で、
他社と製品、部品、商流、ノウハウなどを
共有することを言います。
何をどのように、どのような条件で共有するかは、
相手方との間の契約で定めます。

資本提携やM&Aと異なり、
相手方との間に資本関係は生じませんから、
始めるのも終わるのもハードルが低いといえます。
ただし、事業提携契約で
「終わり方」を正しく定めておくことが大切です。

自社で生産が追い付かなければ
他社に製造委託することが考えられます。
自社では販売経験がない分野での
製品開発に成功したのであれば、
その分野で販売・営業のルートとノウハウがある他社に
販売委託することも考えられます。
逆に、
自社の販売ルートが活用できそうな他社製品について
販売受託することもあり得ます。

このように、
事業提携はたいへん柔軟であり、
出来ないことはないといってもよいかもしれません。

しかし、事業提携にもデメリットがあります。
まずはノウハウの流出の危険です。
事業提携契約には秘密保持条項を正しく入れておくことが必須です。
それでも、
情報が少しずつ染み出すことを完全に防ぐことは難しいです。
少しずつ情報が染み出している状態で、
秘密保持条項違反だとして訴訟を起こすことも、
費用対効果から考えれば現実的ではありません。
また、事業提携に頼り過ぎれば、
自社の足腰が弱まることにもつながります。

このように、比較的敷居が低く、
柔軟に様々なことができる事業提携にも、
メリットばかりではなくデメリットもあります。
それでは、どのような場合に次のステップとして
資本提携やM&Aを考えるべきなのでしょうか。

次回は、
事業提携か資本提携か、あるいはM&Aなのか
についてお話しさせていただきたいと思います。

客員弁護士 佐々木久郎
中村法律事務所
〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町4-17 Portal Point 1003
TEL:050-5526-3756
FAX:03-6830-4945
h.sasaki@nakalaw.jp
https://nakalaw.jp/

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