脱獄犯の逡巡
脱獄の計画を立てている。
くすねたこのボールペンで、果たして下水道に続く穴を掘ることができるだろうか。
気の遠くなる話だ。
私は、何のために逃げるのだろう。
シュークリームだ。
カスタードと生クリームがぎっしりと詰まった、甘い甘いシュークリーム。
私は思わずかじりつく。
するとどうだろう、かじったところの反対側の皮が破れて、カスタードと生クリームが地べたにべとりと落下する。
私がシュークリームを食べると、いつもそうだった・・・。
「 一口で食べれば、こぼれない。」
私は強くペンを握った。
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