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原 美和子:5人に1人が感染の韓国コロナの現状と実体験(書き下ろし)

新型コロナが世界で猛威を奮い始めて2年という歳月が流れた。この間に、「変異株」と呼ばれる初期の形とは異なるタイプのものも複数現れ、その度に世界各地では混乱が起こり、規制強化と緩和が繰り返されてきた。

ニュースで新型コロナの感染者数の報道されるたびに「注意をしなくては」と思いながらも、これまでに周囲でも感染したという話を聞かずにいたため、どこか他人事のように感じていたのもまた事実である。

しかし、筆者が住む韓国では今年に入り新規感染者数が増加の一途をたどり、さらにはオミクロン株の猛威により1日に数十万人単位での感染者数の確認が現在までに連日続く事態となっていて、今や「5人に1人が感染をした」とも言われている。そして、筆者自身も家族からの家庭内感染を経験することとなったのである。

▼家庭内感染を阻止することの難しさを痛感

筆者の家でまず最初に感染したのは高校生の長男であった。ある朝、起きると同時に「喉が痛い」と訴えてきた。嫌な予感がしながら自宅にあった抗原検査キットで検査をすると陽性が示されたため、急遽、保健所のPCR検査に行き、翌日までに感染していることが確認された。

当時は2月下旬で韓国は春休みシーズンであったため、学校での感染はなく、考えられるのは、体調に異変があった数日前に塾と家を往復した際の可能性が高いと思われた。

しかし、感染の判定を受けたものの、長男自身の体調は喉の痛みの他に顕著なものはなく、市販の風邪薬を飲んだだけで翌日にはほぼ回復した。それでも、保健所からの指示で一週間の自宅隔離となるため、その間は、長男には自室から出ないようにさせ、トイレと浴室は2室あるため、使用は長男と他の家族を分けたり、こまめな室内の換気と、常にマスクの着用をするといった家庭内感染の予防策を行なっていた。

しかし、長男の隔離がまもなく明けようとしていた頃、思わぬ事態が起こった。今度は筆者自身が喉の痛みを感じ、抗原検査をするとやはり、陽性となり、最終的にはPCR検査でもやはり陽性が確認された。さらには、小学生の次男にいたっても無症状ながらPCR検査の結果は陽性。さらにその数日後には小学生の長女も発熱し、やはり、検査の結果、陽性となった。

このように筆者の家は5人家族中4人が感染し、やはり、感染力の強さを痛感させられると共に、どんなに注意をしていても家庭内感染を防ぐことは難しいことを実感した。

▼オミクロンは軽い?症状には個人差

幸いにも筆者を初め、我が家は皆、症状が軽いか無症状であった上、回復も早く、その後の後遺症もない。そういう意味では、ほぼ風邪と変わらずという印象であるものの、丁度、筆者の義姉夫婦や友人達も時期を前後して、感染をしたものの、その症状や感想については「思った以上にしんどかった」、「喉が痛くて眠れなかった」、「ワクチンをブースーターまで接種しながらも結局は感染した上、症状も発熱などを含めしっかりと出た」と言ったように実に様々で個人差も大きいという印象である。

ただ、いづれも自宅の隔離中に市販または、オンライン診療で処方、配達された薬を服用することで回復し、重症化や深刻な後遺症が残った例は筆者の周囲ではなかった。こうした点からも、「コロナは風邪」、「オミクロンは軽い」と言うには尚早であると考える反面、何かにつけて規制や隔離を行うという段階は過ぎ、コロナ対策の方向転換を行うべき時期にきているとも考えられる。

▼様々な規制緩和の兆しも

韓国も新型コロナの流行が始まった初期の頃は、感染者の行動経路を公開したり、公共の場でのマスク着用の義務化や、学校でのオンライン授業の本格導入、飲食店への営業規制と援助の明確化など迅速な対策を行なったことで「K防疫」と海外からも称賛されていたものの、結局は感染拡大と小康状態を反復し、具体的な出口策が見いだせないことで国民の不満も高まっていった。「K防疫」は短期的には効果が高い対策といえるものの、中長期的には適さなかったと言えよう。

そして、現在も感染拡大は続いているものの、様々な場に於いての規制緩和や変化が見られるようになっている。この2年間、人数制限や営業時間など長く厳しい規制をかけられていた飲食店はほぼ通常に戻り、夜間や週末は人出が戻っている。また、海外の出入国に関してもワクチン接種など一定の条件を満たすことで隔離の免除や大幅な短縮を行うなどやはり、規制緩和の兆しを見せ始めている。

日本も韓国も欧米と比較すると大胆な方向転換を急に行うことは難しそうであるが、それでも、少しずつでも日常生活に向けた対応を行なっていくことに期待したいと思う。

保健所の臨時PCR検査場の案内。平日週末を問わずに検査が行えるものの、新規感染者の拡大に伴い、現在では家庭内に感染者がいる場合と抗原検査で陽性の人に限り検査が受けられるようになっている。(2022年3月・筆者撮影)

各地のPCR検査場は連日長蛇の列ができ混在していた。(2022年3月・筆者撮影)

(書き下ろし)

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