大統領選挙で選挙人の数が同数になった場合は?
米国大統領選挙の仕組み
米国の大統領選挙は、投票は州ごとに行われ、それぞれの州での勝者が、その州に割り当てられた選挙人を獲得します。
そして、全米の538人の選挙人のうち、過半数の270人以上を獲得した候補が、次期大統領となります。
選挙人の票が同数になったら
理論的には大統領選で選挙人票が同数(269対269)になることがあります。このような場合、米国憲法では特別な手続きが定められています。
具体的には、以下の流れで決定されます。
①下院での決定
選挙人票が同数になった場合、アメリカ合衆国下院が大統領を選出します。
下院のメンバーは個々に投票するのではなく、各州が1票を投じる形式です。
つまり、50州それぞれが1票を持つ形となり、過半数の26票を獲得した候補が次期大統領に選ばれます。
この投票は下院の新会期が始まる1月6日に実施されます。
②上院での決定
また、副大統領は上院によって決定されます。
上院の各上院議員が1票を持ち、過半数(100議席中51票)を獲得した候補が副大統領に選ばれます。
実際に同数になったケース
このようなケースは非常に稀ですが、歴史上1度だけ、1800年にトーマス・ジェファーソンとアーロン・バーの間で同票が発生し、最終的に下院でジェファーソンが大統領に選ばれた例があります。
下院でもさらに同数になった場合
それでは、下院での投票が25対25の同数(完全な引き分け)になった場合は、どうなるのでしょうか。
実は、米国憲法には明確な手続きが規定されていません。
しかし、もしそのようなケースが発生した場合には、以下のようなシナリオが考えられます。
①投票の再実施
下院では引き続き投票が行われ、決着がつくまで繰り返される可能性があります。
このプロセスは、合意が得られるまで続くことになります。
②副大統領の任務代行
新しい大統領が決定されないまま1月20日が過ぎると、副大統領が大統領の任務を代行する可能性があります。
もし上院が副大統領を選出していれば、その人物が代行を務め、選出されていない場合は、次に大統領継承順位が高い下院議長が代行を務めます。
③政治的解決や妥協
実際にこのような状況が起こった場合、政治的な妥協や話し合いが行われ、何らかの方法で候補者の一人が選出されるよう、協議が進められる可能性もあります。
これは非常に稀なケースであり、憲法では想定されていない事態のため、仮に発生した場合には議会や最高裁による対応が求められることになるでしょう。