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ヨーロッパの繁栄に潜む影 黒人奴隷貿易

大西洋三角貿易とは?―

大西洋三角貿易とは、
17世紀から18世紀にかけてイギリスがおこなった貿易のことだ。

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大西洋三角貿易の背景―

15世紀から16世紀にかけて、
ヨーロッパ諸国の航海技術が一気に発達し、
「大航海時代」がはじまった。
各国は貿易を有利にするために、新たな航路を開拓する。
そこで、ヨーロッパの船乗りたちが目指したのはインド。
当時、薬で重宝されていた香辛料がインドには豊富にあるからだ。
そこで、オランダは、一足先にインド航路開拓に成功した。

対抗してきたのは、スペイン。
1492年、コロンブスはカリブ海のサンサルバドル島に到着し、
スペインによるアメリカ大陸の植民地化が始まる。
もともとあった、アステカ帝国、インカ帝国を滅ぼされ植民地となった。
先住民のインディオは奴隷として働かされる。

ヨーロッパの人たちは、次に、砂糖の甘さにやみつきになり、
当時、薬としても使用されていた貴重な砂糖を欲しがるようになったのだ。
高緯度で砂糖の栽培に向いていないヨーロッパ。
そこで、アメリカ大陸の広い土地を使って、
プランテーション(大規模な農場経営)が行われるようになり、
大量の労働力が必要になったのだった。
今までは、先住民であるインディオを労働力として使っていたのだが、
ヨーロッパが知らずしらずに持ち込んだ病気や、
過酷な労働により、あっという間に人口の10分の1以下に激減したのだった。
そのため、スペイン人たちは労働力として
奴隷を欲しがるようになる。

屈強で病気にも強いイメージのあるアフリカ人
奴隷のターゲットになったのだ。
ヨーロッパ人たちは人件費を抑えるために、
安価ですむアフリカ人を強制的に働かせようとする。
そこで、彼ら白人はこのように考えたのであった。
「アフリカ人は我々よりおとっている。
だから奴隷にしてもかまわない。」

アフリカ人は人間ではなく、動物以下であると考え、
アフリカ人を奴隷として強制連行したのだ。
これが、大西洋奴隷貿易の始まりだ

ヨーロッパ人たちは、
武器や酒などを船に積み込み、アフリカ大陸へ向かう。
アフリカについたヨーロッパ人たちは、
沿岸部の黒人たちと取引し、武器を与え、
内陸部に住んでいる黒人をからせるのだ。
そして、戦いに負けた黒人を捕虜として連れていく。
奴隷を船に乗せるまえに、洋服をすべて脱がせ、
長い航海を耐えることのできる健康状態であるのか?
買い手が満足できる身体であるのか?ををチェックする。

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そして、金額を決められ、チェーンと足かせをつけられ
船に押し込まれる。

奴隷船での生活はまさに地獄そのものであった。
それがなんと、約1か月ほど続いた。
奴隷たちは、寝返りすらできない狭い場所に押し込められ、
その場で大便も小便もすまさなければならない最悪の状態。
当然、掃除などはされないため、病気は広がる一方...。

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食事は、豆の粉と、穀物などが入ったおかゆのみ。
味はといえば、鼻をつきつけるような酸っぱいにおい。
食事を拒むものには、無理やり口を広げて漏斗をつめて
無理やり食べさせた。
その一方、水すらも与えられずに餓死する人もいた。
栄養失調や、病気の蔓延により黒人奴隷は一人、また一人と死んでいく。

さらに、到着してから労働してもらうために、
筋肉が固まらないようにすることは重要な課題だったのだ。
そこで奴隷商人は、
運動の一環として、奴隷たちに船の上で躍らせた。
もちろん、足かせはついたまま。
足かせの音が鳴り響く、アフリカ人からすると屈辱的な状況。
その姿をみて、奴隷商人たちは嘲笑いながら楽しんでいたのだ。

また、自殺するものや、反乱を超すものもいた。
奴隷船での死者や病気に感染したものはみな、
生きていても海に投げ込んだ。
そのため、奴隷船の周りにはサメがまとわりついていたと言われている。

多くの黒人が奴隷船に乗せられ、アメリカ大陸に向かう。
アメリカ大陸に到着した黒人奴隷は、
さっそくプランテーションに連れていかれる。
人間としてではなく、道具として扱われ、
過酷な労働を強いられた。
砂糖だけでなく、綿花、コーヒーなどの生産もしていたそうだ。

ヨーロッパ、アフリカ、アメリカの三つの大陸をつなぐ
巨大な貿易。
三角形であることから、この貿易を大西洋三角貿易と呼んでいるのだ。

この時、最大の利益を得た国は一体どこなのか?
それはイギリスである。
大航海時代のはじめ、大西洋はスペインの海でしたが、
17世紀以降、オランダやイギリスが台頭すると、
制海権はオランダやイギリスに移る。
そして、17世紀半ば、イギリスとオランダは貿易の利権などをめぐり激しく戦ったのだ。
これが英蘭戦争。
戦争に勝利したのはイギリス。
こうして、イギリスは大西洋の制海権を手にし、
大西洋三角貿易の主役となったのだった。
そしてイギリスは、アフリカで買った奴隷をアメリカで売りさばき、
アメリカの綿花や砂糖をヨーロッパで高く売ることで、
イギリスは巨額の利益をえたのだ。
そして、産業革命を成し遂げ、世界の覇権を握ったのだった。

大西洋貿易は大規模であったため、
現代にも大きく影響を及ぼしている。
いわゆる、「黒人差別」といわれるものは、
その名残だとも言われている。

私たちの当たり前のように使っているものも
実は、彼ら黒人奴隷が強制的に働かせられて栽培されている
ものであるのではないだろうか?
他人事では済まされない。みなさんの子供や孫たちが
同じような状況になったらどうだろうか?
もう一度、ひとりひとりが自分自身を見つめなおし、
立ち上がるべきではないだろうか?


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