尚学学園 理事長らに対する訴訟 遺族見解

本投稿の目的

 2020/10/14に尚学学園理事長の名城政次郎氏、副理事長の大城美穂子氏、名城政次郎氏の妻の個人3名に対して、前副理事長の名城政一郎の遺族らが提訴した件について、各社新聞報道等により、関係者の皆さまの間で、多様な憶測や噂が広まっている可能性をふまえ、遺族代表として下記①②を目的として、本投稿に至りました。

① 遺族としては一刻も早い問題の解決を望んでおり、我々が把握している事実を問題ない範囲で公表することで、被告等に解決に向けて努力する意思を持っていただくこと

② 本件の利害関係者の方々に、我々が提訴に踏み切った経緯・目的を正しくご認識いただくこと

 本件でご心配、ご迷惑をおかけしている全ての皆さま、特に生徒・保護者の皆さまに対して、深くお詫び申し上げます。
 全ての前提として、被告は尚学学園ではなく、あくまでも名城政次郎氏、大城美穂子氏、名城政次郎氏の妻の個人3名であり、我々の最終目的は損害賠償ではなく、学園の健全化及び、父・名城政一郎の名誉回復にあることにご留意いただければと思います。
 上記①②の目的をふまえ、基本的に録音等にて事実確認が取れているものをベースに記載しております。伝聞等による情報は、前後関係の説明上必要となる部分以外は記載せず、「」内は全て録音を文字起こししたものから引用しております。
 本投稿により、被告等の名誉を毀損したり、侮辱する意図は全くございません。本投稿をご覧になる皆さま方においても、あくまで原告側が認識している事実を把握する目的でご覧いただき、被告等への誹謗中傷等がないようにくれぐれもご注意いただけますと幸いです。

なぜ提訴に踏み切ったか
1. 訴訟の目的
(1) 訴訟の目的:学園運営の健全化

 我々は、名城政次郎氏と大城美穂子氏による学園運営が続くことで、①ガバナンス体制の危機と、②従来の教育が断絶される危機とを感じております。

① ガバナンス体制の危機
 新聞報道記事に記載されている通り、生前の父・名城政一郎は尚学院と尚学学園の共存共栄を願い、コンプライアンス違反を正そうとしていました。尚学院の学院長が名城政次郎氏、副学院長が大城美穂子氏、尚学学園の理事長が名城政次郎氏、副理事長が父・名城政一郎であった時に、父は、理事会の決議を無視した両法人間の利益相反取引が手続き上違法であると考え、この取引を正すために努力を重ねていました。この事実がある中で、被告等の代理人弁護士が、尚学院との取引について『違法なものはない』と主張していることに疑問を感じております。また、父の死後は、尚学院と尚学学園のトップとナンバー2とが同じ人物となっています。2020/9/5に理事長の名城政次郎氏と会話した際に「今度○○会計士をこっちに入れますから」(○○会計士は尚学院の監査をしている会計士)と発言しており、2020/9/24に副理事長の大城美穂子氏と会話した際にも、尚学院の○○会計士について「この人も沖尚の公認会計士になったわけ今回」と発言しているため、両者による学園運営には、ガバナンスの観点でより一層の不安を感じております。尚学学園は生徒・保護者から納入される学費を軸に、行政等からの補助金も受けているため、適切なガバナンス体制の下で、適切な取引が実行されるべきですが、手続き上違法と思われる利益相反取引があったにもかかわらず、尚学院と同じ会計士を尚学学園に採用することを検討しているのであれば、健全化への取組みは困難なのではないかと懸念しています。なお、理事長の妻は、2020/7/26に会話した際に「理事長にね、あの、反対するような人っていうのは理事になる資格ないよ」と発言しております。実際に、父の死後2週間程度で、大城美穂子氏含め、尚学院と関係の深い方々4名が新たに尚学学園の理事として選任されました。現在は、生前の父のようなストッパーが不在であると理解しております。

② 従来の教育が断絶される危機
 これまで沖縄尚学が提供していた、グローバル教養人の輩出を目的とした教育が今後も生徒に提供される状態とし、生徒・職員が安心して学習・教育できる環境を継続させたいという思いが我々にはあります。父は、2009年にアメリカにて教育学博士(Ed.D)を取得後、学んだ教育の理論を沖縄尚学の現場に合わせた形で実践しておりました。沖縄空手の必修化、海外提携校の増強、国際バカロレアの認定校取得、ボランティア活動の必修化、異文化体験の必修化等が、その取り組みの例です。進学校としての大学合格実績にも注力した上で、そこに偏重することなく、『教養』『倫理観』『文化力』『コミュニケーション力』を生徒に育んでいただくことで、グローバル教養人を輩出することに努めました。そのため、大学合格実績の向上を重視する理事長とは、教育に対する考え方に相違する部分がありました。
 父が亡くなった後、2020/7/26に理事長と会話した際に、父に関して「学校のことなんか考えてないよこの男は」「キチガイだよ」「頭ね、ゼロ」「馬鹿野郎」「君の親父にはね、もうどれだけ尽くしたかわからん。もらったのはない。」「俺はね、教育の神様だと思っているんだよ自分は。俺の真似さえすればね、この学校うまくいくんだよ。」と発言し、沖縄尚学で必修化されている空手について、「辞めた方がいいよ」と言及しておりました。また、生前父より、理事会にて理事長が父の教育方針を全面的に否定する意見を述べていたと聞いており、父自身頭を抱えておりました。理事長が沖縄尚学を偏差値重視の予備校的な教育の場にする必要があると強く思っていると、父は認識しており、危機感を持って対応しておりました。
 実際に尚学院の副学院長でもある大城美穂子氏が父の死後2週間程で尚学学園の理事に選任され、その後副理事長に就任したスピード感、またその副理事長への就任が理事会にて議論されることもなく決定された経緯をふまえ、大きな方針転換がいつ起きてもおかしくないと感じました。大きな方針転換が起きてしまった場合、例えば、従前、父及び現場職員の皆さま方が努力して作り上げた提携校や、指定校推薦などの外部との関係が断たれる可能性もあり、一度失われた関係を回復させるためには一定の期間を要することになると考えます。生徒・保護者の皆さまは、近年の沖縄尚学の教育方針・理念・環境をご覧になり、沖縄尚学を学びの場として選択されたと理解しております。父が沖縄尚学の教職員の皆さまと取り組んでいた教育が今後も生徒に提供され、発展することを切に願います。

 今回の提訴は損害賠償が最終目的ではありません。父の遺志を継ぎ、学園運営の健全化という目的達成のために一刻も早く問題を解決したい思いです。尚学学園をあえて被告としていないことも、目的が金銭でないことを示しているとご理解いただければと思います。

(2) 訴訟の目的:父の名誉回復

 生前及び亡くなった後も毀損され続けてきた父の名誉を回復したいと考えております。下記に記載するような事実により、生前の父は想像を絶する精神的苦痛を受け、睡眠障害まで発生しておりました。また、父が亡くなった後の父の名誉を毀損する発言について、家族としても精神的苦痛を受けております。

<父が生前に被告らから受けた行為>
【個人(機微)データの持ち出し・吹聴】

 2020/3/9に、大城美穂子氏が尚学学園の理事に対して、父の脳について「4人の専門のドクターに診てもらいました。MRI、脳波を」「80歳の脳って言われました」「権限はもう外してください。判断ができないから。彼は判断ができない。正しい判断が」と医師に言われたと発言しております。父が知らない間に、父本人の承諾なしに個人(機微)データが持ち出され、複数の医師に見せて回られたことに、父は大きなショックを受け、精神を弱らせておりました。また、医師が本人の診察なしにそのような発言をすることや、本人の承諾なしに個人(機微)データを提供されたことについて、本人としても我々家族としても納得がいかず、被告等及び医師に対して不信感を抱かざるを得ない状況となりました。また、同会話の中で、大城美穂子氏は、「(理事長は)あと10年は理事長できますと」と医師に言われたとの発言もありました(当時理事長は89歳)。なお、その後複数の学園関係者に対し、被告等が同様の説明をしていた旨を、我々は父より聞いております。なお、2020/9/24に大城美穂子氏と我々が会話した際に、本人の知らないところで複数名に上記のような説明をしたことについて問うたところ、「色んな人に言って回ってないよ。誰がそういうこと言ったの?」と発言しております。
 父と母は上記の状況を知り、父の担当医に相談へ行きました。その際に、2019/12頃に大城美穂子氏が同医師を訪ねていることが判明しました。同医師はその際に大城美穂子氏が話していたことについて、以下のような趣旨の発言をしておりました。(わかりやすく記載するため、録音文字起こしの引用ではなく、趣旨をまとめております)
・大城美穂子氏が父(名城政一郎)に成り代わり問診を受け、アスペルガー症候群の診断基準を満たしたと言われた
・上記のような診断は通常考えられない
・大城美穂子氏は父(名城政一郎)を排除したいのではないか
・人事権を父(名城政一郎)から外したいと大城美穂子氏が明言していた
・父(名城政一郎)以外に副理事長の候補者がいると大城美穂子氏が発言していた
・2019/12頃より被告等の動きが強まっている印象を受けた
・名城政次郎氏の妻は以前より大城美穂子氏寄り
・被告等の行為について恐怖を感じる
 MRIデータが本人の承諾なしに持ち出されていたことについては、同医師は以下のような趣旨の発言をしておりました。
・MRIデータは、理事長の妻側の親族の医師の名前で、カルテ開示の形式で持ち出されている
・本来であれば、本人の承諾が必要であり、上位者等の押印も必要なはず
・本人の知らないところでこのような持ち出しがあったことについて恐怖を感じる
・被告等の行動をふまえると、彼らの紹介する精神科へ行くことは気を付けた方がよい
 父が同医師に対して、同医師自身が精神科の受診を勧めているとした大城美穂子氏の発言の真偽を問うたところ、それは誇張されているとの回答を得ました。なお、父はその後複数名の医師より、後遺症がないことを示す診断書を取得済みであり、父の近くで働かれていた多数の先生方より、おかしいところはなかったと言っていただいております。

【個人攻撃ともとれるゲリラアンケートの実施】
 父が米国出張中の2020/1/31に職員会にて予告なしのアンケートが実施されました。理事長の名城政次郎氏と一緒に大城美穂子氏と名城政次郎氏の妻が入室し、職員に対するアンケートが配布されました。アンケートの内容は、父本人に対する個人攻撃ともとれるような内容でした。また、名城政次郎氏の妻は、アンケートの記載が進んでいない職員へ対し「○○先生、書くのないんですか?もうお書きになったんですか?」などと発言しております。
 2020/2/19に父本人が出席する主任会にて上記アンケートの結果発表が実施されました。その際、大城美穂子氏は「副理事長と理事長のパワハラモラハラを受けたと感じたことがありますかというものがあったんですけれども、今日あのちょっとご本人たちの目の前で大変恐縮ですが、あのう主任の方たちにはあのう、やっぱり正直に話しするようにということを申し受けていますので、発表させていただきます。えー、まず、4番の副理事長に関してなんですけれども、」と発言したところで、職員より「これは、個人攻撃ととられかねないのでやめていただきたいと思います」と制止された。その後、大城美穂子氏が、アンケートの結果発表を続けようと「あのう、いいですか、アンケートの9, 10もまだ発表してなくて、」と発言したのに対して、職員の動揺を感じ取った職員の1人が「もうここでは、やらない方がいいですよ。今はやらない方がいいです」と再度制止していますが、大城美穂子氏は「でも、」と発言を続けようとしました。なお、被告等によるアンケートの発表中に泣き出す職員もいました。アンケートの結果発表を続けようとする被告等に対し「副理事長はよく意見を聞いて下さるし、人の話も意見も丁寧に聞いて下さいますし、色々あるんですが、この場というのは副理事長を十字架に張り付けてみんな一緒に十字架に張り付けられているような気持ちでみんなとても気分が悪いと思います」「今、この状況がただ副理事長を祭り上げてたたかれているようにしかみえなくて、とても不快な気持ちにみんな今なっているんですよ」と発言する職員もいらっしゃいました。
 なお、アンケート結果は、父も真摯に受け止めており、改善の必要性があった点は生前、改善に努めておりました。

【副理事長・常務理事解任の発言】
 2020/6/18の理事会後、父から家族へ連絡があり、理事長より副理事長や常務理事のポジションから外すと繰り返し発言された旨を報告されました。理事長の言い分としては、父の頭がおかしいから、外すとのことで、中学校長ならいいとのことでした。父本人としては非常にショックを受けている様子で、我々家族も何が起きているのかわからず、茫然としておりました。また、父が亡くなる4日程前に父より連絡があり、理事長が中学・高校のPTA会長に対して副理事長を外す旨を伝えたとの報告を受けました。父本人としては、学園やPTAのダメージコントロールをする必要が生じ、動揺した様子でした。

【亡くなる前日の理事長との会話】
 父の携帯に、亡くなる前日に理事長と交わした会話が録音されておりました。父がどのような意図で録音していたか今となっては不明ですが、本人として危機感を覚えていたのかもしれません。録音には、理事長による下記の発言がありました。父としては、何とか名城政次郎氏と親子2人で学園を運営していきたいという意思があったため、下記のような発言が父に与えたダメージは計り知れません。

「お前もうほっぽり出すぞ馬鹿野郎」「お前捨てるよほんとに」「お前もう退任しようか。もう発表しようか退任。やるよ明日でも。冗談じゃないよ。」「俺から見たらこの学校終わりだよ今の状態だったら。今俺が直せばいいと思って一生懸命なんだよ。」「俺なんか100点満点の親だよ。俺から見たら。0点の息子じゃないか。冗談じゃないよこんな。教育者になれるか。」「まぁ近いうちに俺は爆発するかもしらん。そのときは発表だよ。」「教育の原点が間違っている。人間的な側面が。こんな理事長に対して逆らうなんて、俺から考えたらもう客観的に見てキチガイとしか思えないよ」

 被告等による発言等がハラスメントに該当するか否かはあくまでも裁判所が判定することだと認識しておりますが、新聞記事にあるような、被告等の代理人弁護士による『ハラスメント行為ではないし、自死の引き金でもない』との反論には、上記の録音データを前にすると疑問が残ります。

<死後も続く誹謗中傷>
 被告ら、特に理事長が、父が亡くなった後も、父の頭がおかしかったことを各所で発言していることが確認できております。また、父の死は、父がおかしかったことを信じなかった母・理事に責任がある趣旨の発言をしております。2020/9/5に理事長と会話した際に、「この三名(母と理事2人)に殺されたって思ってます。」と発言し、2020/7/26に理事長と会話した際には、母について、「(学校を)辞めてもらわんといかんよ」と発言しております。
 名城政次郎氏は、父が亡くなった後に撮ったCT画像について、「今日聞いてびっくりしたはずよ、こっちが言う通りだった。脳のあれ全部調べて、脳はもう、相当欠けて、減ってたそうですよ。」と発言しております。また、名城政次郎氏の妻は、2020/7/26に「この○○って言う先生が、『この判断は正しいです』って。『病院に、精神科に連れて行くべきでした』って。はっきり言いました」と発言しております。実際に我々が遺族として直接○○医師に確認をしに行ったところ、CT上は年齢相応の萎縮は見られたものの、脳が欠けている等の異常は何も見られなかったことが確認できました。同医師は、「ご本人のお母さん(名城政次郎氏の妻)が、しきりにまあちょっと頭のせいにしたがっているような気がしたんですよ。雰囲気的にね」と発言しております。なお、上記の事実確認ができたことを名城政次郎氏の妻に伝えましたが、聞き入れてもらえませんでした。

2. 提訴に至った経緯 
(1) 提訴に至った経緯:被告等との話し合い(父の生前)

 父は被告等に対して何度も、沖縄尚学は学校法人であり、行政等より補助金をいただいている以上は法律に則り、そのうえで尚学院とも適正な関係をつくる必要があることを主張しておりました。生前、父より話を聞いた際には、被告等は父が尚学院を目の敵にしていると考え、全く話を聞いてくれないと話しておりました。父は尚学院を目の敵にしていたわけではなく、適正な形で両法人にメリットのある契約を締結しようと取り組み、被告等との対話にも臨んでいましたが、被告等にはその想いが一切伝わっていなかったのが残念でなりません。
 父と母が、2020/3/11に理事長の名城政次郎氏とその妻と会話した際に、彼らの誤解を解くため必死に説明する父と母に対し、理事長は、「嘘ばっかり言うね」「お前なんか一番欠陥がある。俺からみたら」「欠陥だらけだよ」などと発言しております。
 父より相談を受けていたため、2020/3に子ども達3人と、理事長名城政次郎氏及びその妻との話し合いの時間を設けました。祖父母と孫という関係から、父は頭がおかしくないという事実を聞き入れてもらおうと主張しましたが、父は学園で恐怖政治をしていて、どう考えても頭がおかしくなっている旨を説明されました。父の頭がおかしいと思う理由については、○○先生が言ってた等の不確かな情報による思い込みがあるように感じたため、話し合いは平行線をたどりました。父を精神科に連れて行くよう依頼されましたが、MRIデータの持ち出しの件で被告等及び被告等と関係のある医師に対する不信感が強く、普段の父の様子を見ている我々としては当然連れて行く必要もないと認識していたため、断りました。

(2) 提訴に至った経緯:被告等の態度・発言(父の死後)

 2020/7/20(父の初七日)の朝に名城政次郎氏とその妻と、我々とが会話した際、名城政次郎氏から父について「万死に値する」との発言がありました。2020/7/26に同人らと会話した際には「もうお前なんかに殺されたんだよ、これは。馬鹿野郎」と言われ、我々が、父の頭がおかしかったという主張を否定すると「お前も頭おかしいな」と発言されております。また、同会話にて、名城政次郎の妻からは、「そういう親から育てられたら、親とおんなじなっちゃうの」との発言もあり、「一番ちゃんとね、引き継いでるのは美穂子なの。美穂子はすごいの」と発言されております。

(3) 提訴に至った経緯:被告との話し合い(父の死後)

 2020/9/23に理事長の妻と約4時間、2020/9/24に大城美穂子氏と約6時間会話しましたが、我々の意見・見解を話そうとすると途中で遮られ、時間の9割程度は、被告等の主張を繰り返されました。大城美穂子氏は、大勢の人が父の問題行動を批判していたと主張しておりましたが、具体的な人数については、「とにかくたくさん」と発言しておりました。また、大城美穂子氏は、父が亡くなってからの2ヵ月間で我々が調べた事実(録音内容等から理解している内容)とは、異なる説明を繰り返ししていたため、不信感を抱きました。

(4) 提訴に至った経緯:示談交渉(提訴前)

 学園(生徒、保護者、職員の皆さま)への影響を避けるため、協議による円満解決を希望することを通知書にて主張しましたが、被告等からは、話し合いでの解決の姿勢があるとは解釈しづらい回答書を受領いたしました。我々は、通知書を学園ではなく被告等個人宛とし、その趣旨を強調していたにもかかわらず、回答書には、

「学園といたしましては、今般貴職が提起を予定している裁判において求められる金銭の支払い請求につきましては、創業者らにおける法的責任の有無にかかわらず、これに誠実に対応する、すなわち任意にお支払いすることを検討しております。」「なお、それにもかかわらず貴職依頼人らにより訴えを提起されてしまった場合には、依頼人らが金銭をお支払いすることはありませんので、くれぐれもご理解いただきたく存じます。これは、故政一郎氏に対する退職金及び退職慰労金についても同様で、上記したような故政一郎氏の在任中における非行の内容と程度等に照らし、現在のところ、一切のお支払いがないものとご理解いただきたく存じます。」

と記載がありました。学園を主語としていることに違和感を覚えました。また、前提として、金銭が目的ではないことを伝えていたにもかかわらず、被告等個人に対する訴訟リスクを、学園の資産を用いて回避するとも読める提案に疑問が残りました。

(5) 提訴に至った経緯:提訴後

 繰り返しになりますが、我々は、学園と個人とを明確に切り離し、被告等3名個人を訴えの対象としており、その旨は被告等の代理人弁護士にも説明しております。にもかかわらず、被告等側の新聞報道でのコメント等を通じた情報発信を鑑みるに、訴訟を学園の問題として捉え、学園を混乱させかねない反論をしているような印象を受けております。そもそも、尚学学園の顧問弁護士が被告等3名個人の代理人弁護士となっており、そのことが問題を複雑化させているような印象を受けるため、学園の顧問弁護士と被告等個人の代理人弁護士とは分けるべきだと考えております。被告等個人を弁護することで、学園がダメージを負う可能性もあるため、学園の顧問弁護士であるならば、学園のための行動をとっていただくことを願います。

遺族の思い

 我々としては、訴訟以外の手段によって、学園運営の健全化と父の名誉回復が出来ないかを、父が亡くなった日からの3ヶ月の間、誠心誠意、模索し続けた認識でおります。父の死の直後から、被告等と話をする度に両親の批判を繰り返し聞かされ、我々の話には聞く耳を持ってもらえない状況に非常に苦しみました。学園は被告ではないものの、結果として、生徒・保護者・職員の皆さまに不安を与えること、沖縄尚学の評判が下がること、父の死因が公になることを考えると、示談で内々に済ませたいという強い気持ちがありました。
 その一方で、父が職員の皆さまと一緒に人生をかけて創り上げてきた学園が健全ではない状態にあることを認識しながら、横で何もせずに見ていることは生徒・保護者・職員の皆さまへの裏切りになると考え、断腸の思いで提訴に踏み切りました。
 生徒・保護者や学園OB・OGの皆さまにとっては、今回の我々の行動は突飛なものであり、不信感を抱かれることも当然のことと解しております。我々にとっては、関係者の皆さま、とりわけ現役の生徒・保護者の皆さまを不安にさせることが最も苦しいことであるため、皆さまに対する説明責任が我々にはあると認識しております。
 現在において、我々が公開できる情報や事実関係は、本投稿に記載させていただきましたが、この文章のみをもって、皆さまのご納得を得られるとは思っておりません。今後も、皆さまに責任をもって対応させて頂き、現在、そして将来の学園のためになる解決に向け、全力を注ぎます。
 一刻も早く被告等と問題を解決し、学園の運営が健全化されることを切に願います。

文責:名城政秀 (故 名城政一郎 長男)