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スパイラル

某月某日、散歩中に、公園で遊ぶのが楽しくて帰りたくないとぐずる子どもを見かけた。母親は、スペイン語のような僕がわからない言葉を話した後、「バイバーイ」と突き放して去っていく。

あぁ、僕と同じじゃないか。結局、僕は、楽しかった過去にすがりついているだけなんだろうなぁと思う。少しずつ形を変えながらも。僕がぐずったからと言って、周囲は、時は、過ぎ去って行く。

高校1年の秋、「祭りよ、今宵だけは哀しげに~銀河鉄道と夜~」で車掌の役を演じた。銀河鉄道は環状線。カムパネルラの死から抜け出せないジョバンニに車掌は言う。

「抜け出すんだ。いつまでも楽しいことが続く夢の中から。」

大人になる、成長する、とは、そういうことだと思う。だが、やっぱり僕は螺旋階段を登っているだけなんじゃないかと思ったりする。

螺旋階段で思い出すのは、スパイラルライフの「20th century flight」。高校3年の秋に、キャラメルボックスの「銀河旋律」で柿本光介を演じた。そのときの挿入歌…というか、冒頭の歌。

Ah 光のスペクトルの花束を Ah 君の窓辺に飾ろう
(うわっ、すごく1990'sの音がする)

この歌で始まり、ニュースキャスターの柿本光介は、サクラダヨシノさんとニュースプラネットを始める。タイムマシンによる歴史改変が自由に行われてしまう時代。柿本光介の運命の人は、春山はるか。しかし、はるかに思いを寄せる人により、歴史が改変されていく。というファンタジー。

最後の、はるかに対するセリフ、「待っていたんです。あなたのことを。一年前から、三年前から。いや、もっと、もっとずっと前から。あなたに出会うために。」で感じる余韻。「あなたに出会うために」と言う僕の滑舌が良ければどんなに良かったか、とは思うが、歴史は繰り返す、という言葉が、僕の深層心理に刷り込まれていくのだ。

そして、それと並行して繰り広げられた現実での物語。高校生…青春だったな。柔軟性があったら、どんなに良かったことか。

時は進むけれど、変わらず、また戻ってくる。富山優子さんの「僕らの時代」を思い出した。

♫みんな待ってる、それがくるのを。変わらないじゃん、なんで、なんで21世紀なのに。

そう、なんで、なんで、もう2020年なのに。

なお、トップ画像は、グリニッジのQueen’s houseの螺旋階段。

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