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真似の話

脈絡なく、ぼーっとしているときに思い出した
小学校低学年の頃の思い出を書き散らかします。

前向きな結論とかはないので、後味はよくないです。

当時、私は一人っ子。
両親と3人、とあるマンションに住んでいました。
マンションには、私を含めて5つ、
同級生の女の子の家族の世帯がありました。

同級生の家族同士、とても仲がよく
学校から帰るとみんなで誰かの家に行って遊んだり
ときどきお泊り会で別の子の家に預けられる、といったこともありました。


なかでも、部屋がお隣だったこともあって
私にはとりわけ仲良しの女の子がいました。
それが、ななちゃんです。


ななちゃんとは毎日一緒に遊びました。
ふたりきりで遊ぶことの方が、圧倒的に多かった気がします。

部屋を閉め切って、母親に見られないように気遣いながら
当時大人気だったセーラームーンのなりきりごっこをしたことが
数えきれないくらいあります。
そして、二人ともお絵描きがとても好きだったので
おおきな画用紙を半分に折りたたんで、
表紙と、見開き+裏面3ページ構成のマンガを描いて遊びました。

内容などは全然覚えていないのだけれど
ギャグ、ラブコメ系だったんじゃないでしょうか。


マンガをお互いに描いて、交換して読み合うのは本当に楽しかった。

ななちゃんはとてもイラストが上手で、
目がキラキラした女の子や、ネコをよく描いていました。

ななちゃんの描くイラストが素敵だったので、
私も自然と、あまり意識せずに、絵柄が寄って行ったんでしょう。
ある日、ななちゃんにこう言われてしまいました。
「私の絵を真似しないで!」
たぶん、おおごとにはならなかったんでしょうが
それなりに子供心に傷ついて、喧嘩にはなったと思います。


こどもの時って、なにかと誰か・何かの真似をするじゃないですか。
最初は自分のスタイルなんてないですから、
まねて、なぞって、いずれ何となく違いが出てくる。

大人になっても、まねることはよくあることです。

でも、こと創作活動において、この真似の捉え方というのは
本当に繊細だなぁって思います。


たぶん、友達との小さなケンカがなかったら、
私はもっと絵を描くことが好きになっていたんでしょう。

こんなことがあってからも、私はたびたび
好きな漫画のキャラクターを模写して
個人的に楽しむことはありましたが、
「真似ることは悪いことだ」
「できるだけ似せよう、とするんじゃなくて、色を出そう」
みたいな気持ちが心の片隅にあったように思うんです。


「まねしないで」っていう言葉って、
言った当時の、ちいさな女の子の気持ちを思えば、
そうだよね、いやだよね、わかるよ、って思う。

でも、当時の自分みたいな子をもし身近に見かけたら
すぐにフォローして安心させてあげたい気持ちのほうが強い。
「素敵だからつい寄っちゃったんだよね、
わざとじゃないし、気を悪くさせてしまったことを反省しているよね。
まねることはわるいことじゃないから、大丈夫だよ。」
って言ってあげたい。


私たちの間でだけ交わされていたイラストや漫画だったからよいけれど
いまの時代だとSNSがあまりにも身近なので
「みてこれ!わたしがかいたの!」って拡散した日には
同じケースでもだいぶこじれてしまいそう…。


真似することは悪いことじゃないし、
そもそも人間が成長するためにぜったい必要なことなんだけど
どうにも、創作活動とか、個人の権利とかがからむと
割り切れない議論になっちゃうのがなぁ…。

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