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『三国志 Secret of Three Kingdoms』

『三国志 Secret of Three Kingdoms』
原題:三国机密之潜龙在渊〈2018年〉

日本人は三国志が好き、とよく言われるが、私自身は日本の歴史オンリーに興味を持っていて、三国志は登場人物の名前と概要がなんとか思い出せる程度だ。このドラマは、三国志をベースに、後漢、最後の皇帝である献帝が実は双子で、秘密裏に急死した献帝と隠されて育った弟とが入れ替わり…という物語。あまりに硬派な三国志ものなら脱落したかもと思うが、この『三国志 Secret of Three Kingdoms』は程よく登場人物の恋愛話や人間模様が描かれ、そして奇想天外なフィクションを史実とうまく絡められていて、とても集中して見ることができた。
中国ドラマもだいぶ本数は見てきていたものの、今作では主な登場人物はみな初めてな俳優だらけであった。


まずは男主1、献帝と入れ替わる劉平を演じた馬天宇(マー・ティエンユー)。童顔だが、とにかく演技が上手だと思った。入れ替わりはじめの頃の、オドオドした様子から、徐々に自分で考えて困難を切り抜け、兄から託された王家を守るために時に危険な賭けにも出る…凛々しいし、正義感溢れるが、分が悪いので上手くいかないことが多かったかな。ラストは、もう致し方ないし、せめてものささやかな幸せを手に入れたので良かったと思う。


女優さんには関心度の薄い我が珍しく見入ったのが、女主1、献帝の妃で、後に劉平と心を通わせる伏寿を演じた万茜(レジーナ・ワン)。ツンデレだけど、めちゃくちゃ色っぽくて、抑え目ながらも気の強い女性だった。馬天宇と一緒に並んでいる時、初めはもう、お姉様と弟感がありありだったのに、後半、しっかりと愛情をもつ関係になると、もちろん劉平がどんどん凛々しさを増していったせいもあるが、伏寿様が慕っているし信頼もしている夫といるのです、っていう雰囲気を出してもいる気がする。想い合う夫婦として見えた。あの、戦前に「本当の夫婦になりましょう」とあり合わせもので誓いを立てるシーンがもう本当に素敵で…あの部分だけで何度見返したであろうか。


劉平が兄のように慕った司馬懿を演じる韓東君(エルビス・ハン)と、先帝・弘農王の妃であった唐瑛を演じた董潔(ドン・ジエ)が、それぞれに策をめぐらしたり、捨て身で劉平や伏寿のために動きながら、しっかりと愛情で結びついていくところもとても良かった。韓東君が12歳も下なのに、ちっとも違和感のないカップル。


なかなかに曲者でどんどん狂っていく曹丕も、タン・ジェンツー(檀健次)が演じていたが、とても見ていて哀れで、その姿に見応えがあった。


これは機会があれば、ぜひまた見たいと思う。

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