見出し画像

ジュニアアスリートメディカルサポート通信Vo.14 〜空間認識能力・キャッチボールの重要性〜

ジュニアアスリートメディカルサポート代表の宮田大揮です。我々は、小中学生のアスリートをサポートして5年ほどが経ちました。2024年7月から、クローズされていたサポート体制をウェブ上にオープンしました。具体的には、医学の力をジュニアアスリートの能力を最大限引き出すためにフルコミットする形で使っていこうというのがコンセプトで、アジアから世界に誇れる選手を様々なスポーツで輩出することを目的としています。

第14回は「空間認識能力・キャッチボールの重要性」を取り上げたいと思います。このメディカルサポート通信も14回になりましたが、序章をお伝えしている形になりますので、詳しい内容に興味がある方はHPよりご連絡いただければ幸いです。

今回の話題は、野球選手にはあまりピンとこない内容かもしれませんが、その他の球技を教えているコーチの方はかなりわかっていただけるのではないでしょうか?最近の子供は、公園などでボールやバットを使うことを禁止されているため、キャッチボールなどがやりにくく、以前のようにプロ野球全盛期の時期から、サッカー、テニス、バスケットボールなど違うスポーツも人気が出てきているため、ご両親とキャッチボールをした思い出のないジュニアアスリートも多いです。
 では、サッカーなど他の球技でもキャッチボールやその他のスポーツをやっておいた方がよいのか?のご質問をいただくことがありますが、我々は「可能ならばぜひともやらせてあげた方がよい。しかし、楽しめないなら無理にやることはない」と伝えています。
 5年ほど前からジュニアアスリートにかかわることが増えてからこのような経験をすることが増えました。
「サッカー選手としてはトレセンなどに選出されていて、同年代の中ではものすごくサッカーの能力が高いが、空中を飛んでいるボールがどこに落ちるのか?がうまく予測できない」
 つまり、サッカーボールが自分に向かってくるのですが、それがどれくらいのスピードで飛んでいるのか?どういう回転で飛んでいるのか?などを気にしていないので落下地点がギリギリまでわからないので、落下地点に素早く入ることができないのです。
 サッカーボールの落下地点を予測するためには、ボールがどのような軌道でボールが飛んでいるのか?(比較的低く速いボールなのか?すごく高く上がって、上から落ちてくるようなボールなのか?)、バックスピンがかかっているのか?横回転がかかっているのか?などを蹴りだされたボールをよく見ることが必要です。しかし、小さい頃から遊びなどでキャッチボールをしていないので、予測ができていません。そのような子に、ゴムボールを高く投げてキャッチさせてみると、かなり高い位置にボールがまだまだゆっくり落ちてくるという段階から、両手をあげてボールを迎えに行こうとしてしまいます。野球に慣れている子であれば、ボールの軌道と回転などを見て、「どれくらい伸びてくるのか?」を予測して、予測地点にいち早く入り、落下してくるタイミングでグラブを上げてボールをキャッチします。

 バスケットボールでも、リバウンドを奪うときにボールがどの程度の高さまで跳ねて落ちてくるのか?が予想できていない子は、両手をあげて迎えに行ってしまいますので高いジャンプができませんが、予測ができている選手は、いち早く落下地点に侵入し、落ちてくるタイミングでうまくしゃがみ込んでジャンプしリバウンドをキープできます。

 我々は、ジュニアアスリートの子供たちに関わり始めた時点では、てっきり高いボールをヘディングしたり取りに行ったりするのが怖いから敢えて逃げているのだろうと思っていたのですが、実はそうではなく、落下地点そのものが予測できていないため、プレーの準備ができないことも原因になっていました。これには、空間認識能力が重要性であり、空中を飛んでいるボールは景色により速度が変わって見えてしまったり、回転や風など影響で飛んでいる間にボールの速度が変わったりするので、できるだけ多くキャッチボールなどを行うことで、ボールの動きに慣れ、空間認識能力を高めていくことが大切になります。
 空間認識能力は、 医学的に捉えると視覚情報の処理能力を高めることとも言えます。トップアスリートが行うようなトレーニングや特殊なサングラスを付けて、コマ送りのような景色を疑似的に作り出し、視覚情報に負荷をかけることで科学的なトレーニングで空間認識能力を高めることも可能なのですが、我々の経験では、日本人であれば野球は比較的馴染みのあるスポーツで、ボールとグローブも手に入りやすく、キャッチボールを繰り返した方が手軽に同じくらいのトレーニング効果が得られるので、あえて我々の施設で機器を用いてゴーグル装着下で空間認識能力を高めるトレーニングをすることをお勧めしたりはしていません。
 このような特殊なトレーニングをお勧めする方は、より高速のボールに対応したいと考えているテニスプレーヤーや野球選手、速いボールを上手に止めることができるようになりたいサッカー選手を対象にお勧めしております。

このようなことに医学的にフォローすることは日本の保険診療ではできませんので、小児科などで相談することができない側面もあり、我々は2024年7月からジュニアアスリートメディカルサポートとして一般向けにオープンいたしました。ご興味のある方はぜひとも下記サイトもご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?