ひとりごとです　「来年のエイプリルフールのリハーサル」

　平穏な１日を過ごせた事に感謝したい。

　今日は、シースルーエレベーターに乗ったところ、運悪くエレベーターが故障してしまった。約30分エレベーターに閉じ込められ、その間、ガラス張りの籠に閉じ込められた男の撮影会が急遽行われた。子供連れの父親や、カップル、高校生等がスマホを俺に向ける。俺は、ジャニーズJr.時代に学んだサービス精神を発揮し、気だるそうに壁に寄りかかってポーズを決めたり、上半身裸になり肉体美でカメラマンを魅了した。
　こんな事をしておいてあれだが、撮られた写真や動画がネットにばら蒔かれていない事を祈る。殺し屋を生業とする俺にとって、素性がばれるのは致命傷。ネットに晒されるなんてのは言語道断。ボスにばれれば命が無いのは言うまでもない。水源の分からない汗と、震源地が分からない身体の震えが止まらない。しかし、あの時の俺は呑気だった。エレベーターから脱出した俺は、動物園に行った。

　動物園に来たら、まずはウサギさんの居るところにダッシュする。子供の時からの動物園ルーティンだ。100円で餌を購入する。左手で餌をやり、右手で動画を撮る。映像はブレブレだったが、ウサギさんが映っているだけでそれはもう、月面着陸の瞬間を捉えた映像並みに貴重映像となる。「貴重映像954」と動画にタイトルを付け、お気に入りフォルダに保存した。　今日は天気が良く、気分も晴れやかだった為いつもは見ない動物も見てみようと思った。その判断は大正解だった。貴重な写真を撮ることが出来た。ゴリラの放尿シーンを。この場面に出くわす事が出来た奇跡を神に感謝する。

　ところで、先日はエイプリルフールだったが、俺はその事をすっかり忘れていた。いつも通りゲーセンへ行き、福沢諭吉を野口英世10人と交換し、野口英世を2人使って「ちいかわ」のぬいぐるみをゲットした。
　嘘をつく事もなく、嘘をつかれる事もなく、真実とだけ触れあったエイプリルフールだった。図らずも、エイプリルフールという日に嘘と交わらなかった俺は、真人間と呼ぶに相応しい人物では無いだろうか。自分で自分を誇りに思う。
　エイプリルフールにつく嘘は楽しいものだが、気をつけて欲しい事がある。エイプリルフールについた嘘は、１年間実現しないらしい。つく嘘によっては、人生を棒に振ることになるかもしれない。「彼女が出来た」なんてつまらない嘘をついた大馬鹿野郎には、「ハリー・ポッター」のスネイプ先生並みに速い拍手を贈らせて頂く。

ブーッ　ブーッ　ブーッ

　おっと失礼、電話だ…ってマズイ！ボスからだ！！もしかして、あの写真がばれたのか？

「お疲れ様です…みのるです…」

「用件はもう分かってるよ…」

トゥルン…　

　だ、誰か助けてくれ～！！！

　…………こんなエイプリルフールをしたかったんだよ～～～！！！

　来年は頑張るぞ！！！

最後に一言

ハロウィンと同じ位エイプリルフールに情熱を注いでいる人と仲良くなりたい。