BIZ UDゴシックは従属欧文に注意して使おう

BIZ UD系のフォントを使うなって言うのではなく、これから書く点に注意して積極的に使っていこうというお話。

この記事で私が伝えたいのは「BIZ UDフォントを使うときは、きちんと欧文フォントを別で指定して、単体で使うことは控えよう」ってことです。

BIZ UDフォントについて

BIZ UDフォントはモリサワから提供されているフォントの一種です。Windows 10のバージョン1903以降に標準で入っています。UD(ユニバーサルデザイン)と書いてあるとおり、様々な場面で読みやすい字を提供してくれます。日本語フォントの選択肢が少ないWindowsでは心強い味方になってくれるでしょう。

標準で入ったのは約2年前と比較的最近ですが、他PCでも入っていてくれることが多い(つまり互換性がある程度確保されている)ので、電子ファイルとして共有するときに使うフォントとして高品質でとても使いやすいです。

『Officeに最適化されている』と謳われている通り、WordやPowerPointでとても良い選択肢となっていますが、それが原因で従属欧文にちょっと難があるとも感じています。今回はこれについて掘り下げてみようと思います。

BIZ UDフォントの従属欧文は下の部分がかなり切り詰められている

はじめに、こちらの小林章さんの記事を読んでいただくと、このあとの内容が入ってきやすいかもしれません。

私が思うBIZ UDフォントの欠点は、従属欧文のディセンダー(小文字のgやyの下に突き出ている部分)がかなり切り詰められてしまっているところです。先の記事を見ると、BIZ UDフォントの従属欧文で組んだ英文は読みづらいものになってしまうのではないかと感じます。

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さて、文だけで言われても分かりづらいので、実際に見てみましょう。こちらに2種類のフォントで組んだ『Emergency』の文字があります。上が今回のテーマの一つの『BIZ UDPゴシック』、下はGoogleが提供している『Roboto』というフォントです。RobotoはYouTubeやAndroid端末の欧文に使われている読みやすいフォントです。

それぞれのベースラインに青い線を引いてみました。ここより下に突き出ている部分がディセンダーと呼ばれる部分です。

Emergencyという単語のgとyの部分に注目してください。下のRobotoでは下にしっかりと突き出ているのに対し、BIZ UDPゴシックではほとんど下に突き出ていません。これでは、英文を組んだときに読みづらくなってしまいます。

BIZ UDPゴシックはプロポーショナルフォント(文字ごとに幅が異なる)なのでまだましですが、BIZ UDゴシックは等幅フォント(文字ごとの幅が同じ)なので、欧文は更に読みづらくなってしまいます。

こういった問題を回避するために、BIZ UDフォントを使うときは欧文フォントを別に指定してあげましょう。

まとめ

BIZ UDフォントのディセンダーが切り詰められている問題、Wordの『行間が広くなってしまう問題』を解決するための仕方のない調整なんじゃないかな、とか勝手に想像してみたり。

ちょっと悪口みたいになってしまいましたが、「このフォントを使うな」とか貶める気は一切なく、むしろ、日本語の部分はとてもきれいなので、他の欧文フォントを一緒に使用するといった対策をして積極的に使っていってほしいなと思ってこの記事を書きました。私も『BIZ UD明朝』をWordの本文に採用していたりします。

資料を作るときのフォント選定の参考になれば幸いです。ではでは。

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