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組織は反逆者を問題児と考えるが、その個人とアイデアを押さえつけると裏目に出る。

1980年代、ヒューストンのジョンソン宇宙センターの若手エンジニアは、1960年代のアポロ計画時代の管制システムの設定作業では、複雑なスペースシャトルの飛行の実現のためには、苦労を伴うであることに気が付いていました。
エンジニアたちは聞かザルの状態になっていました。NASAは人間を月に無事に送り込んだアポロ時代のシステムを信用していましたし、また良く知っていました。
その時に自分たちを海賊と呼ぶ、強い意志を持った反逆者たちが、NASAのサプライヤから、機材を借りて、趣味で、新しい管制システムのソフトウェアを作り始めました。彼らのシステムは、Unixに繋がった、商用の個人向けワークステーションがベースになっていました。
海賊たちは、このシステムを設定適用力があり、トラブルの時に回復力のあるものであると考えていました。数週間後、彼らはそのシステムを、ミッションコントロールテストに持ち込みました。しかしNASAはかれらにそのフライトコントローラーを撤去するように言われました。
この時点で、古株のミッションコントロールディレクターのGene Kranzが、介入し、反逆したエンジニアたちの意思をくみ、彼らのプロジェクトが、求められている機能の実現のために、どれだけ必要であるかを理解し、ほかのディレクターたちに、彼らにもチャンスを与えるように頼み込みました。
このシステムをテストするために、海賊たちのシステムは現行のシステムと並列して数週間使われました。現行のメインフレームが2回クラッシュしましたが、海賊のシステムは稼働しつづけました。あと知恵ではありますが、利益があることは簡単に分かりました。新しいシステムは、図形や色を表示でき、プログラミングが可能で、複数の変数に基づいて、人口知能の初歩的な技術を用いてリアルタイム診断が可能でした。現行システムにはこのような機能はありませんでした。
反逆したエンジニアたちは、厳しい試練にさらされて、彼ら自身と、かれらのシステムを証明しました。ミッションコントロールに使われる、サブシステムはそれから徐々に海賊システムへと切り替わりました。このシステムは政府機能について劇的なカイゼンを行ったとして、副大統領のアルゴア氏から、ハンマー賞を受賞しました。海賊システムは74万ドルの開発資金を削減し、年間のランニングコストを22万ドル削減しました。反逆エンジニアたちは、次のミッションである国際宇宙ステーションのミッションコントロールシステムを設計するように頼まれました。
組織には、生産性、効率、予測性、安定性を促進するために設計された、ポリシーやルールがあります。私たちはこれらに従わない人の事をトラブルメーカーと見がちです。NASAの海賊達が示したにもかかわらず、このような個人や個人のアイデアを押さえつけたり、無視したりすると返って裏目に出ます。つまり、組織の強いイノベーション、インサイト、敏捷性が奪われます。
何故ルールに背くのか?
反逆はクリエイティブになるために必要である事を示す心理学的な証拠があります。
ハーバードの精神科医Albert Rothenbergは何がクリエイティビティの原因になっているのかを知るために、50年以上もの間、芸術、文学、化学の領域で、画期的な貢献をした人々の研究をしています。より広い研究プロジェクトの一部として、構造化面接(あらかじめ作成された質問やアンケートに従って行われる)、実験による研究、文章解析が行われました。

Rothenbergは22名のノーベル賞受賞者をインタビューし、彼らが現状の状態を延長するというよりは、非常に強く何か新しいものを作りたいという情熱により行動していた事を見つけました。彼らは確立された英知に盲目的に従うよりも、意識的に物事を新鮮にとらえていました。この2つの特徴は、順応者というよりは反逆者にみられる人格です。

反逆者の特徴をさらに研究するために、ロッテルダムのエラスムス大学のParaskevas Petrou氏率いる研究グループでは、オランダのさまざまな業種から156人の従業員を調査しました。その調査では以下の様な質問への同意から、反逆度を測定しました。
・私はルールを破る
・私はどうやってルールを守るのか知っている。
・私は誓いの言葉を使う
・私は権威に歯向かう
チームは、続いて先週の各従業員のクリエイティビティについて、仕事に対するより一般的な質問と合わせて、質問しましした。Rothenberg氏が予測した通り、ルールを守らない人は、より創造的でした。しかしながらその効果は、ほかの要因に依存していました。

反逆精神がかれらの仕事に対して、より継続的にポジティブに影響を与えるためには、その個人は出世に注目する必要があるということです。これは目標志向であり、個人の成長にメインのポイントがおかれている反面、失敗のリスクに対して脆弱です。

「目標の達成に対して、本当にポジティブでなければなりません」社会行動学の助教授、Petrou氏は言います。このような態度は、失敗に対して、寛容であるか無いかの会社や組織の全体の文化や文脈に依存します。

しばしばこれらの、原因のある反逆者つまり、ポジティブ、建設的逸脱者は、彼らが組織とそのミッションに気を配っていることに同期づけられます。また、カイゼンが明らかに必要な重要な可能性を認めたときに、心理学的に居心地が悪くなります。

観察実験では、NASAの海賊以外に、多くの例が証明されています。文脈と役者は異なれど、実態はどれも同じです。異なる考えを持つ、戦略的な洞察を持つ、小さな少人数のグループが会社自体の成功を促進する画期的なイノベーションを起こします。どうやってIBMがビジネスモデルをインターネットに変えたか?どうやってAppleのMACが作られたのかという話です。

宇宙飛行に対し、異なる考え方で挑み、従来のパラダイムに挑んでいる、Elon Muskやその他の人は、商用飛行についての、再利用ロケット等の新しい技術開発し、打ち上げ経済を再構成し、宇宙空間を人類と経済の発展を劇的にカイゼンしているイノベーターです。

反逆精神を作る
残念なことなのですが、反逆者が活躍できる様な、組織文化を維持することは困難です。たびたび、均一なサービスの実行、効率の向上、信頼できるプロセスのために、標準的な手順と規則を作成することは惰性につながり、順応とイノベーションに反することとなります。歴史と文化は物事を昔やったのと同じようにやったままに保ち続けます。人々は提案されたイノベーションを、自分たちがあたらしいパラダイムを作れるかということよりは、既存の枠組みに合うかどうかだけで判断します。このような状態は危険で、必要な変化は窒息します。

リーダーはこのような傾向に気が付く必要があり、それと闘わなければなりません。現状維持の状態にチャレンジして、反逆者をトラブルメーカーと考えてキャリアを妥協させるよりも、境界を広げていくことを、ルールにしたがった行動であると見る必要があります。もし彼らがクリエイティビティをコミットしたならば、それが実現できるように、また、反逆者に居場所と、若干狂って見え、成功の保証がなく、場違いであるアイデアにも資本と時間を与えるといった。実践的な行動を取る必要があります。そのことが組織を救うことに繋がります。

NASAは変化が可能であることを示しました。10年ほど前に商用利用可能な、技術の導入により従来からある伝統的なやり方にチャレンジしてきて、成功してきたことを証明している企業は、現在最良の利用可能な技術を採用しており、何処にいようと、ネットワークベースのビジネスを展開する役者とそのパートナー企業です。そしてこれは、内部的な反逆者たちに多くの仕事をさせようという、よりオープンマインドなアプローチの結果です。

反逆者個人としては、モチベーションの向上に神経を集中することに価値があります。反逆者として有名で、産業を破壊した、スティーブジョブスは、2005年のスタンフォード大学での学位授与スピーチで、「何が本当に好きか自分の内面を見る必要があり、そして後はそれをやる。人が何か愛すべきことをする時、この感情的な納得が、状況が保証できたならば、正しい判断へと繋がる。例えほかの人が反対して、私たちと同じ様に物事を見なくても。」
言い換えれば、反逆のために反逆するな、本当に自分に関係のある事だけの理由を見つけて、明確な目標にゴールを設定するということです。Petrou氏が示すように、これがポジティブな逸脱者の秘密です。

もし私たちが、新しい能力を開発したり、よりよくしたりカイゼンしたりするのに夢中な人と結びつけられたなら、同じ目的を持つという強みが生まれます。Play Stationの開発の裏にいる久夛良木健氏は、ソニーの社長、大賀 典雄氏を頼っていました。社長自身が心からの反逆者でした。大賀氏は、オペラ歌手、指揮者として教育されました。ソニーは彼の事を、テープレコーダーの品質に対するクレームの手紙で彼を見つけました。大賀氏は1982年~1995年の在職期間の間、彼の不便を無くすというアプローチを使って、物事を集約し、多くの成功を納めました。「私たちは、他の会社が手を付けない物事の後の破壊を手掛けています」つまり、組織の中で、同じような考えを持つ人を探してください。そういう人はサポートしてくれ、必要な時には障害を取り除いてくれるでしょう。

反逆は悪評かもしれません、しかし正しい環境と、正しいモチベーションでは、驚くべき事を達成できるものです。


久しぶりのBBCニュースからの外信短信です。
クリエイティブな人はルールを犯しやすい傾向にあるという内容です。

そうなるとルールに従順な日本人=クリエイティブでは無いという発想になりそうですが、Sonyのオオガノリオさんの例もあがっており、日本人としては安心しました。

私自身の経験としては、元々が知財関連であるため、いつも法的リスクを考慮して働いていました。そういった意味では法律に従順な日本人なのですが、根本的には何か違うなとずっと思っていました。それは法的安定性を重んじていたからなのですが、やはりそういう姿勢からイノベーションを起こすのは難しいのかもしれません。そんな私なのですが、この記事の中で出てくる「建設的逸脱者」という性格、「カイゼンできる要素を見つけると、カイゼンしないと心の居心地が悪くなる。」という性格にピッタリはまっています。

みなさんはどうですか?ストレス感じますか?私はたまに理想と現実のギャップにはまり大変な事があります。また回りの環境はどうですか?私には部下はいませんが、子供が二人いますので、彼女たちには懐の深い寛容な父親でいたいと思っています。彼女たちには周りに押し付けられた、偽りではなく本当の自分を知って生きていってほしいですね。

人って本質的にそれぞれクリエイティブだと思います。

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