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B#14吉田一将投手の現在地

まえがき

 お世話になっております。単位を要求する者です。

今回の投稿では、ここまで一軍登板のないかつてのドラ1、吉田一将投手の現在地と「なぜここまで登板がないのか」を考えていこうと思います。本noteでは、様々なポイントから「なぜ」の部分を掘り下げていきます。考察的な部分も多くなりますが何卒宜しくお願いします。

吉田一将投手の紹介

2013年ドラフトの1位でオリックス・バファローズに指名され、JR東日本から入団した選手です。当時の社会人No.1投手でした。

190センチから投げ下ろす伸びのあるストレートと決め球のフォークを武器に2016年と18年には50試合登板を達成、先発・中継ぎ問わず投げられる適応力を武器にこれまで通算226試合に登板しています。

また、ディクソン選手が退団したことからチームが最後にクライマックスシリーズに出場した2014シーズンで先発登板した球団内最後の選手となりました。

通算成績や昨年の成績は以下の通りです。

キリンスラッガー

選手としての特徴

選手としては、フライ率が5割を超えており早いカウントからフライを打たせて球数を少なく済ませるフライボールピッチャーであり、フライボールピッチャーの中でも高い空振り率を持つ決め球(フォーク)を持ち状況次第では三振も奪える、多彩な攻め方が出来る投手である。

非常に適応力が高く、シーズン中に先発・中継ぎのどちらもこなせるユーティリティー性も併せ持つ。

現在地

 8年目を迎えた吉田一将投手の現在地は、一軍登板はなし。

更には二軍でも防御率が10点台という現状....

二軍キリン

こちらが、今季の二軍登板状況である。起用法は専らビハインドであり、ホールドやセーブはなし。防御率は10.29である。

他の成績を見ていくと被打率に関しても.361とかなり悪く、WHIPは2.00と1イニングあたり2人のランナーを出している。

そして、目につくのは制球面の悪化だ。

吉田一将投手は2019年以降年々与四球率が悪化しており、今シーズンも与四球は3.86をマークしている。更には、14イニングで暴投4を記録。これはパ・リーグの一軍においては4位タイとなり、オリックス・バファローズ内では暴投数1位タイである。※山﨑颯、鈴木優、張奕が同数

また、5月18日から一か月登板間隔が空いているが、これは故障離脱ではなくその間は他球団の三軍チームや独立リーグ相手に登板している。この時期には離脱していた平野や黒木、吉田凌といった面々が実戦に復帰しており、このメンバーと入れ替えで非公式戦メンバー入りしたと考えられる。

(二軍成績)16試合0勝2敗 14回 防御率10.29 奪三振10.29 WHIP2.00

なぜここまで成績が悪化したのか?

今シーズンの成績を見て、このような疑問を抱いた方もいるのではないか?

次のトピックでは、なぜここまで成績が低下したのかを様々な理由から考えていきたい。

成績低下の原因を考える

1.勤続疲労

1つ目は勤続疲労だ。

吉田一将投手は2016年に中継ぎに配置転換されると今季までに計197試合に登板している。平均登板数だけで見れば30試合後半となるが、吉田投手の場合は「短期集中的」な起用が多く、起用法が転々としていることも踏まえて勤続疲労も成績不振に影響を及ぼしていると考えられる。

中でも、2017年と2018年は特に起用法が二転三転している。

17年はリリーフでのスタート、5月以降の低迷により登板数が急増。短期集中登板を裏付ける起用としては5.18~21と6.14~17にかけてのシーズン2度の4連投が挙げられる。どちらもオールスター以前に行われている。

8月からは先発に配置転換。9月29日にはシーズン初先発で初完封をマークしている。

シーズン終盤に先発転向もあったことから、2018シーズンは先発として再スタートも、チームの中継ぎ事情から中継ぎとして一軍昇格

当初はロングリリーフ中心であったが、5月中旬から勝ちパターン入り。そこからは獅子奮迅の活躍を見せ、7月終了時点で登板数は48にまで登っていた。シーズンを通して投げた試合は58試合であるため、約83%の登板を8月までにしていることとなる。

以降も中継ぎを中心に起用される中で、二軍降格時は先発へ転向、更にはショートスターターとしての登板もあった。

起用法がどの年度も一貫しておらず、ビハインド・ロング、セットアッパー、先発とありとあらゆる起用を1シーズンで経験するという過酷な調整を求められる立ち位置であることから、勤続疲労は相当なものなのではないか。

2.パフォーマンス面の低下

パフォーマンス面においては、最高球速の低下や与四球の悪化が見られる。

最高球速は2019年には最速150キロをマークしていたが、昨年は147キロに低下しておりその最高球速も1試合でしか計測していない。

しかし、吉田一将投手は球速で良し悪しを決める選手ではないことは伝えたい。

実際に、最高球速が145の日でも抑えていため、球速=調子の良し悪しではない。

ただ、最高球速のばらつきにおいては2019は143~150であったのに対して、2020年は141~147になっており、最高出力が低下していることがうかがえる。

加えて、変化球の被打率や空振り率といったデータも低下している。※参考サイト:データで楽しむプロ野球より2019,20年の球種別被打率を比較

ストレートの被打率は.300を超えており、2016年には被打率.127を記録した決め球のフォークは被打率が大きく向上し、加えて空振り率も半分以上低下している。球速の低下に加えて、変化球のキレも低下していることがうかがえる。

ストレートとフォークを軸に投球を組み立てるスタイルが通用しなくなっていることが、成績の低下に拍車をかけているのではなかろうか。

また、この数字から見るに、2019から2020年の間に何か大きくパフォーマンス面が低下した原因があると考えられる。

3.球種パターン

3つ目は球種パターンについてだ。

吉田一将投手は2016年から一貫してストレート、フォーク、スライダー、カーブの4球種を使用している。

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ここでは、好成績を残した2016と2018シーズンの球種配分を紹介する。

ストレートが約6割、フォークが3割で1割がスライダーという配分で、カーブはリリーフ登板時にはほとんど投げていない。

次に2020年の球種配分を紹介する。

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ショートスターターやロングリリーフが増えたことでカーブ比率は上昇

また、後述するスライダーの改良もあったことでスライダー比率も上昇している。

しかし、前述したパフォーマンス面(特に球速)が低下しているため、配分を少し変えても「成績向上」には繋がっておらず、シーズンごとに変革がない球種パターンも成績低下の一因なのではないか。

2019年オフ~2020年開幕までに何が…?

2020年の紅白戦や練習試合の時点で球速が大きく低下していたことから次は、範囲を2019年オフから2020年の開幕までは範囲を狭めて考察に入りたい。

1.リハビリ組からのスタート

1つ目はリハビリ組からのスタートだ。吉田一将投手は2020年のキャンプではオフシーズンに腰の手術を行っていたアルバース選手などと同じ班からのスタートとなっていたことから、シーズン中orオフシーズンに何かしらのコンディション不良があったのではないか。

しかし、怪我や手術の情報はなくブルペン入りもしていたことから、ここまで大きくパフォーマンスを低下させるとは、リハビリ組からのスタートといえどにわかに信じがたい。

2.スライダーの改良

吉田一将投手は2019年中旬から、既存のスライダーをカット気味に改良したことが契約更改時に明かされている。

俗にいう"スラッター"の事だ。

このスラッターの精度を磨くことが契約更改でも触れられていたことから、よりストレートとスラッターの球速差を少なくする過程で、球速が大きく低下したのではないかとも考えられる。

データから見ると、ストレートの見逃し率や奪三振率は上がったものの、以前のスライダーと比較しても向上した部分はあまり見られず、むしろパフォーマンス低下の一因としても捉えられるのではないか?

今後の展望

現時点で一軍登板はおろか、二軍でも重要な場面を任せられていない現状から察するに、1試合ごとの結果が今後を左右する立場であろう。

それと同時に投球スタイルの転換期を迎えているのではないか。

チーム内には球速の低下を多彩な球種を操ることでカバーし、先発として復権した増井投手や、これまであまり使用していなかったカーブを積極的にアクセントに用いることで現在も一線級で投げ続ける平野佳寿投手など球速の低下を乗り越えた「お手本」は複数人いる。

全てが右肩下がりではなく、奪三振率は昨年キャリアハイを更新しただけに伸びしろはまだ残っているはずだ。

球種を増やしフライボールピッチャーとして再び復調を目指すか、奪三振率の向上をきっかけに三振を奪える選手に転換するか…

選択肢は複数あるはずだ。

現在の投手陣には力で仕留める速球派が多く、復調した吉田一将投手は「差別化を図る」存在としては十分すぎる存在だ。残された時間は短いかもしれないが、ブルペン陣がシーズンを完走できるとは限らない。

夏場までの復調を期待したい

あとがき

めっちゃ応援している選手なので、正直noteを書いているときも全くポジティブなデータが出てこなかったのはびっくり&がっかり(笑)

ドラフト時、社会人No.1を一本釣りした時の興奮を忘れられないのでここから逆襲して欲しいですね。

なんというか、石川歩が社会人No.1に歴史改変されているので結果で証明して欲しい。

数少ない2014年から主力を担っていた選手なので、優勝の輪に入っていると信じてやまない。そんな選手です。

ほんまにこっから巻き返して「このnote書いた奴見る目ねーなー」ってオチを待ってます!


以上です。最後まで見ていただきありがとうございました。

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