メッセージ。表現者でありたい私には自分がない。それが欠点でもあり強みでもあった

突然ですが、私が所属していた劇団は、お芝居(演技)にも歌にもこだわっています。
何のこっちゃですよね🤔補足します。

舞台で生計を立てたいけれど、現実にはそうなれない。そういった劇団は沢山あると思います。時間、場所、お金、人材、、、色んな制限がある中で、何にこだわるか。

役者は大抵、音楽畑から出られた方は音楽を、芝居畑から出た方は芝居を中心にこだわりがちです。
苦手分野は得意な方にお任せする、その方が、バランスが良くてクオリティも高い。それに効率的。
けれど私のいた劇団は、その人の声やキャラを生かしながら、1人1人の歌と芝居、どちらにもこだわり追求する。
歌か芝居一筋で長年こだわってこられた方には、もしかしたら焦ったいかもしれない。そんな、特殊といえる劇団でした。

ところで、当たり前のことを改めて言いますと、舞台って、色んな表現者の集まりです。
本を書く人。
作曲する人。
演出する人。
照明、衣装、楽器演奏者、小道具、大道具、チラシデザイン、記録、、、etc。その中に役者も含まれるわけですけど、それぞれが、それぞれに、表現者であります。
そして、お客さまにもそれぞれの感性があって、受け止め方もそれぞれです。

私は、役者でした。

よく、芝居やってますと言うと、人前に出るのが好きで目立ちたがり屋さんと思われがちですが、役者にも色んな人がいます。
私はどちらかと言えば、人前に出る事が苦手です。

誰かを演じる。
自分じゃない人の人生を生きる。
それが、たまらなく好きなのです。

私には自分がない。


養成所で最初に学んだ事は、『台本を100回読め』でした。
私は、実際に数えた事はありませんが、何十回かは台本を読みます。セリフをおぼえるためということもありますが、それだけではありません。
私の中の感覚ですが、台本を何度も読んでいると、背景が浮かび、人が動き出す瞬間があります。数時間の上演時間では描ききれないストーリーを感じる瞬間。すると、自分のセリフにも、自分以外のセリフにも、新たな発見が出てくる。何気に吐いてたこのセリフ、もしかして、すごく重要かも!!とか。それを見つけた時は、嬉しくなります。

しかし、イメージしたものを、自分の体を通して表現することは、思いの外難しい。
声質だったり、見た目だったり。努力だけではどうにもならないことがある。そこを埋めるために何が必要か。
感情もそうです。
演出家から『ここから感情が昂ぶって、思わず涙が溢れる』なんて言われても、自身の中から演出家の言っている感情が湧き上がってこなければ、指示通りにはなかなか出来ません。
嘘なく表現する。そのためには何度も台本を読み込んで、感情の流れを感じる、または考える。それが大事だと思っています。

逆に、感情移入しすぎてイメージ通り出来た気になっていると、それはそれで大概痛い感じになります。だから悦に入らないように心がける。
不思議なもので、他ごとを考えてセリフを発する方が、見ている側に伝わりやすいこともあるのです。
セリフを発しながら思わず『お腹がすいたなぁ』なんて事を考えていたとします。すると後で、すごく寂しそうな感じが出てたよ!なんて褒められる事もあるのです。

でも、嘘で芝居はしたくない。
その辺のバランスが、芝居をしていて難しいなと思うし、面白いなと思うところです。


話を元に戻しますと、何度繰り返し台本を読んだところで、想像は出来ても正解なんてものは誰にも分かりません。
他人の人生。感情。メロディ。
分かったつもりになっていても、次に演じるときにはまた分からなくなる、なんて事は必ずあります。
間とか、相手の反応などで自分の芝居が変わったり、机の位置がいつもより1センチ前に出ただけで変わる感情もある。
衣装を着て、実際に使う小道具を持って、初めて気付ける感情もある。

100回読んだからすごいとか、10回しか読んで無いのに分かるはずないとか、そう言うことじゃないです。

私は、自分がありません。
ですから一見、人の意見に流されているように見えるかもしれません。見えるのではなく、流されているのかもしれません。
けれども人の意見を取り入れて、熟考したりひらめいたりすることが、苦しくて、苦しくて、楽しいのです。
この部分を楽しめることが、舞台に立つ上で、私の強みだと思っています。

私は、言われたらすぐ出来るタイプの役者ではありません。後輩にアドバイス出来るような実力も無いですし、確固たる信念を持った役者でもありません。ただただ不器用な、使い勝手の良くない役者です。

でもね。わたし、とことんやるんですよ😄!
分かる人には分かるんです。

それでいい。


誰もが決して特別ではない。
よっぽどの天才か、ものすごい努力をした人だけが、すごい。
そう思えることが、そう思いながらも楽しめたことが、私の強み。

自分がないから、そう思える自分になれた。

確かに、人から見たらそれは違うと言われるかもしれない。
そうですねと思う部分もあります。
集団社会ですからね。自分がない人は、スピードを求められると弱いですし。見ていて焦ったいですし。
騙されたり、良いように使われるかもしれない。
それに、自分の事ばかり考えててもいけない。


私が言いたいのは、自分が無いように見える人も、人間ですから感情はあります。
自分が無い人は、自信がないからと言って逃げてばかりいてはいけません。
決める時は決めなければいけません。
努力は続けなければいけません。
自分と向き合うことも大切です。
そうしていれば、その性格を活かせる時や場所はある。
考え方次第。私は、舞台だった。

そして、そんな人を嘲笑ったり、バカにするような人が目の前にいたら、『そんなことしてもあなたが認められることはないですよ』と皮肉りたい😛
本当にすごい人は、そんな事しないから。と。

色んな表現者がいる。
色んな受け取り方がある。

舞台はそれを教えてくれました。
やってきて良かったと思っています。

自分の努力だけじゃなく、環境、人に恵まれたからこそです。
感謝しています。

次は私が、あなたの味方になりたい。
私は今後、舞台に立つ事は無いでしょう。
これまでのようには、舞台に時間を費やす事も出来ないからです。
だから、次は私が、あなたの味方になり、見守ります。


そんな思いです。

頑張りましょう😄