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じっちゃま(広瀬隆雄)議事録「 2022年後半の米国市場はどうなる!」2022/6/17 楽天セミナーまとめ【米国株投資】


いまの相場を読み解く前知識

👴「ウォール街でもっとも尊敬されているFRB議長は、ポール・ボルカーです。FRBのcredibility…信頼を取り戻した人…彼は第2次オイルショックでハイパーインフレが1979年に起こった際にFRBの議長を務めました。」

👴「そして、1979年10月6日(土)に緊急ミーティングがあって、政策金利をグーンッと引き上げる決断をしました。当時のインフレ率は12.1%…政策金利は13.8%です。その時のミーティングでマネーサプライを思いっきり絞り込む…そして、FFレートのターゲットは『もう決めない!』と言った。」

👴「市場の実勢に任せて自然にFFレートが収まりどころにいくまで放置…要するにFFレートが爆上げになることを市場の力に任せることを発表しました。最終的にFFレートは17.6%、その時のインフレ率14.6%です。今日のセミナーでコレが分からないと今の相場わからないよ!」

👴「ポール・ボルカーはハイパーインフレの真っただ中、1979年10月6日に緊急ミーティングを開いた。その時のインフレ率は12.1%…政策金利は13.8%…だからインフレ率よりも政策金利の方が1.7%高い。この衝撃の金利政策が発表された後で、アメリカのハイパーインフレの息の根を止めることができた。」

👴「しかし、インフレの息の根を止めることができたのは、この発表があったあと6カ月後…この6カ月後というのを頭にたたき込んでください。そして、インフレ率は12.1…ピークは14.6%までズルズルと物価は上昇。そして、ボルカーが宣言した『FFレートもマーケットの実勢に任せる』といった時にFFレートは13.8→17.6%まで上昇」

👴「すると、17.6(FFレート)-14.6(インフレ率)=約3%くらいの糊代…つまり、政策金利の方がインフレ率よりも高い状況があった。この関係性を頭に入れたうえで次の説明を聞いて下さい。


米国のフェデラルファンズレート(FFレート)

1.フェデラルファンズ・レート


👴「これはアメリカの政策金利のチャートです。さっき問題にしてた12.1%…14.6%とかの数字は1979~1981年までの期間です。チャートがピーンッとなってるところ。2022年1月の政策金利は0~0.25%…つまり、金利がなかった。3月に0.25%…5月に0.5%…先日0.75%の利上げをしました。ここまで1.5%」

👴「一方、今のインフレ率は8.6%です。すると、消費者物価指数のチャートとFFレートのチャートを見ると明らかに違うものがあるよね?何が違うのかというと、当時(1979年)と現在では政策金利はの水準がぜんぜん違う。今の政策金利は1.5%…インフレ率8.6%に比べると、話にならないぐらい低い…」


👴「政策金利というのはインフレ率よりも高い位置に設定するのが保守的で…石橋を叩いて渡るような良い金利政策です。しかし、今はインフレ率は8.6%…それに対してFFレートは1.5%でしかない。これ無責任でしょ?こういうことをやってる中央銀行は世界でトルコ中銀ぐらい。」


👴「先進国は近年、低成長に苦しんでたんでどこの国も政策金利がインフレ率よりも低い位置に設定されてます。でも、それは特殊な状況だから。何を言いたいのかというと、本気でインフレ退治しようと思ったら今のFFレートでは話にならないという話をしてます。」


👴「『じゃあ適正な金利水準は?』それをR*(アールスター)…日本語で”自然利子率”(ちょうどいい湯加減の短期金利の水準のこと)。これはエコノミストの頭の中にある概念でしかないんだけど、これは刻々と変化してて、近年R*は下がってきてた。現在の多くエコノミストが考えるR*は2.5~2.8%だと思う


👴「しかし、それはフニャフニャした概念でしかなく、実際にそこにいけばインフレが収まる保証は一切ない。…何を言いたいかというと、先日FOMCで0.75%の利上げで、トレーダー諸君は『これでインフレは根絶だ!安心して株を買える!織り込み済みだ!』…あんたら何言ってんの?って僕は言いたい。」


今が買い場と思い込んでるトレーダー


👴「【トレーダーへ】『もっと全体像を見なさい。インフレに対して政策金利がぜんぜん足りないでしょ?しかも、エコノミストが考えてるR*(自然利子率)2.5~2.8%にも届いていないのに何で今この時点でインフレが収まるとキミらは考えてるのですか?』と僕は言いたい。ポジポジ病はあまり良くない。」


👴「ポール・ボルカーが断固としてインフレに立ち向かってインフレを抑え込んだ。あの時は6ヵ月かかった。その間にもインフレもFFレートも上昇した。だから、何でこの時点で…0.75%の利上げをしたぐらいで打ち止めになるわけ?キミらは歴史を勉強してない。一歩引いて枠組みを考え直してください。」


金利を引き締めると不況がくるのでは?

👴「『じゃあ金利を引き締めると不況がくるのでは?』ということを懸念する人がいます。コレは非常に現実味を帯びた話で…ほぼ必ず不況になると思います。理由は2つあります。1つは、株式市場が高値から20%以上下落したこと…ウォール街の考え方ではベアマーケット…弱気相場入りです。」

👴「大きな不況の前には必ずベアマーケットがきています。株式には先見性がありますので、未来を先取りして、まず株が下がる。これが今起こってること。そのあとでリセッション(景気後退)がやってくる。現在は-20%なのでベアマーケット入りしたので、景気後退が襲ってくる可能性が極めて高い。」


アメリカの長短金利差はほぼゼロ

7.10年債利回り-2年債利回り

👴「不況になる理由2つ目は、長短金利差です。長短金利差とは米国10年債利回り(長期金利)から2年債利回り(短期金利)を引き算したものです。今は長短金利差がほぼゼロになっています。これはいずれリセッションがくることの前兆です。」


👴「たとえば、銀行業は短期で資金をひっぱって、長期で貸し付ける。しかし、長短金利差ゼロだと、利ザヤもゼロになる。すると、銀行が本業の貸し付けをやるインセンティブが失われてしまう。それが”貸し渋り”という形で、実体経済に悪影響を及ぼす。これはあくまで一例です。」



不況はいつくる?


👴「【不況はいつくる?】不況にすぐにくるんじゃないくて、1~2年のタイムラグがあります。不況になるタイミングはハッキリしてない。でも、遅かれ早かれ不況はくる。それを覚悟する必要がある。」


パウエル議長の重要発言【その1】

👴「【パウエル議長の重要発言】『目先のインフレ退治の処方として、利上げをfront end loading(前倒し)する』…先日の利上げ幅は0.75%…これは1994年以来のざっくりとした利上げでした。しかし、一回きりじゃなくて7月も0.75%やると思います。ひょっとしたら9月もやるかも…まだわからない。」


👴「何を言いたいかというと、0.5…0.75…0.75…これでもか!という利上げがくるリスクが非常に高いという話をしています。もう一つ、FOMCの記者会見でFRBの采配を読み解く手がかり…ヒントになる発言がパウエルからでた。」


相場を読み解くヒント


👴「記者『いつになったら引き締めの手を緩める?』と質問に対して、パウエルは『トレンドとしてインフレが鈍化してることを確認する必要がある。』すると、インフレ率が8.6→8.4%に下がってもトレンドではない。厳密な定義で言うと、少なくとも2回連続して下がらないとトレンドにはならない。


👴「もっといえば、3カ月連続して物価上昇が鈍化しないとパウエルは引き締めの手を緩めない。すると7月の数字が8.6%より低くないといけない。さらに8月の数字も7月より低くないといけない。そして、9月も8月の数字よりも低くないといけない。これはかなりのヒントだと思う。」


👴「9月ならギリギリで3回のデータポイントがそろうかな~というタイミングです。何を言いたいかというと、『コレで引き締めはひと段落…』という安堵感が出るのは、早くても9月というタイミングになります。」


マーケットの底入れはいつ?


👴「【マーケット底入れはいつ?】株式市場の底入れは早くて9月…ふつうに考えて10月(保守的)。僕のメインシナリオは10月くらい。過去のベアマーケットは19回、平均値で高値から-37%株は下がった。すると、今S&P500は高値から-23%くらい。まだ-14%くらいのダウンサイドが残っている。」


パウエル議長の重要発言【その2】


👴「【パウエル議長の記者団に対する重要答弁】『今のインフレは中央銀行がどうにもできないような…ウクライナ戦争…上海で再びコロナによるロックダウン…そういう理由でインフレになってる。我々にはどうにもできない…しかし、我々にできることは一つある。それは需要サイドに働きかけることだ』」


👴「”需要サイドに働きかける”…これ…経済学をきちんと勉強した人が効けば震え上がると思う。(2つの求人を一つに減らして賃金インフレを抑え込む)それは不況…リセッションになることを分かり切ったうえで、それをやると宣言した。”需要サイドに働きかける”…これは隠語…奥ゆかしい表現。」


金利上昇に脆いグロース株


👴「【グロース株】金利上昇局面でとりわけ脆いグロース株。みんなは『グロースが反発するのでは?』と考えてるかもしれないけど、僕は全然そう思わない。今グロース株に起きてるのは、1970年代のニフティフィフティ相場の崩壊…あの時は小型グロース株は80~90%やられました。


👴「【グロース株】2000年のドットコムバブル崩壊…あの時も小型のハイパーグロース株は高値から80~90%やられました。それどころか、上場廃止になる銘柄が続出した。それなら今の水準で『ボトム(底)なのか?』といえば、そういう要素はほとんどない。なぜなら、今凄い勢いで金利上昇してるから。」

参考銘柄

ジェニュインパーツ(GPC)

• 1928年創業の老舗自動車部品ディストリビュータ
• 第1四半期既存店売上比較+10%
• 修正粗利益率34・6%、セグメント利益率8.6%
• 世界17か国に1万の拠点を持ちオートパーツを卸している
• 年商197億ドル(2021年)、うちオートパーツ65%、工業向け35%
• 北米75%、欧州15%、アジア10%
• フリー・キャッシュフロー11億ドル
• 負債対修正EBITDA比率2.0倍
• 配当利回り2.8%


アルタビューティー(ULTA)

• 1990年創業の米国最大ビューティー製品専門店=コスメ、香水、スキンケア、ヘアケア製品の販売とビューティーサロンの展開
• オムニチャンネルを通じ600ブランド、2.5万種類の商品を販売
• 1300店舗、オフモールに立地、アプリに注力、ロイヤリティプログラム(3700万人)
• 同社の潜在市場規模は910億ドル、競合はスーパー、ネット通販、ドラッグストア、バラエティーストア、直販、百貨店
• Z世代は特にビューティーに関心が高い=自己管理、自己表現としてのお化粧
• 年商86.3万ドル、既存店売上比較+37.9%(いずれも2021年)


ノースロップグラマン(NOC)

爆撃機(B-21レイダー)、ドローン(トライトン、グローバルホーク)、ディフェンスシステム(IBCS)、ミッションシステム(MESA)、ミサイル(トライデント2)、宇宙(シグナス)
• 営業マージン11.7~11.9%を目標
• 受注残760億ドル(4月末)
• 配当利回り1.5%


フラワーズフーズ(FLO)

ワンダーをはじめとする食パン、ロールパンのメーカー
• 食パン市場占有率17.9%(2022年1Q)
• 第1四半期EPS予想39¢、結果44¢。売上高予想14億ドル、結果14.4億ドル、売上高成長率前年同期比+10.3%
• 2022年EPS予想$1.28、新ガイダンス$1.20~1.30。売上高予想46.7億ドル、新ガイダンス47.64~48.5億ドル
• 配当利回り3.5%


トッツィーロール(TR)

• 1896年創業のキャンディー、バブルガムの会社
• 今年が株式上場100周年
• エレン・ゴードン会長兼CEOが54年に渡り経営
• 55%の株式を支配


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