「遠近法の理解 ~半球を用いた透視図法~」3

【3】 様々な投影方法

投影とは、半球上に描かれた線画を平面上に写すという事である。半球を紙の上に伏せて、その上から光を当てれば、線画の影ができる。光源の種類として、平行光源と点光源がある。平行光源を当てるとは、日光のような光を用いて垂直に投影するという事である。それは平行投影とか正射影と呼ばれている。点光源とは、ロウソクの火のような光である。点光源を用いる場合、それを置く場所の違いによって、得られる影の形は大きく変化する(図3-1)。

画像1(図3-1)

平行投影によって得られる結果について注意すべき点がある。半球の天頂の部分(視野における正面に相当する部分)はほぼそのままの形で投影される。しかし半球の縁に近い部分(視野における周辺に相当する部分)は大きく歪んで投影される(図3-2)。

画像3(図3-2)

投影によって生じる歪みについて、圧縮されるというように形容できるであろう。球面上においては等しい間隔に配置されていても、それを平面上に投影すると、半球の周辺部分においては、その間隔が圧縮される度合いは大きくなる。ただしそれは正射影の場合である。投影の方法はいくつもあって、例えば等距離射影の場合では等しい間隔になる(このウェブサイトこの画像を参照)。投影の種類と特徴についての説明はここでは省略する。

なお世界地図を作る場合にも上記のような問題がある。地球は球体なので、それを平面的な地図に変換しようとすると、どうしても歪みが生じる。地図には様々な種類があるが、一例として地球儀を半分に分割して、それを平行投影して平面の地図を作るという正射図法がある。その場合、半球の中心部分の国々の形はほとんど歪まないが、半球の縁に近いの部分の国々の形の歪みは非常に大きくなる。

半球の透視枠を用いる方法と、平面の透視枠を用いる方法との二つの関係性について、両者を比較すると、図3-3のように表せる。つまり平面の透視枠は半球の透視枠の一部分であると言える。別の言い方をすると、半球の透視枠と平面の透視枠の二つについては、異なる方法であるというよりも、前者は後者を一般化した方法であるというように見なせる。ただし球面を平面に投影すると歪みが生じるという事を認識しておく必要がある。

画像3(図3-3)


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