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災害は恐ろしいけど、自然は恩恵を与えてくれるー南阿蘇①

南阿蘇鉄道MT-4000形が営業運転開始!
鉄道会社の方からは何ら告知もない、突然の出来事でしたが、考えてみればこの車両は『震災の創造的復興物』。驚くことではない、当然の日程でした。
その情報を目にした4/14(金)、私は作曲のレッスンを終えた後、終始胸騒ぎが止まらず、土曜に東海道→山陽→九州新幹線にて移動、そして日・月と2日間、急遽南阿蘇鉄道様に足を運ぶことにしました。

4/16(日)、高森駅に9時30分に到着し、ひとまず新旧駅舎ともに、デザインのかなり凝られた建物に目を惹かれました。古めかしく、由緒ある香りに満たされた旧駅舎にて、ひとまずトロッコ列車のチケットを購入しました。
外へ進むと、真新しくて真っ白なMT-4000形が、新ホームに停車しておりました!

すぐさま列車へ近づくと、ドアが開いていたので『時刻表には存在しなかったけど乗れるのかな?臨時列車?』とドアの側から車内をキョロキョロ覗いていると、
『この列車には乗れませんよ〜』
と、人当たりの良い乗務員さんに優しく注意を受けてしまいました。
この列車はこれから、復旧工事を終えた第一白川橋梁を超え、立野駅へ向かう試運転列車。

1時間半後(中松駅11:00発)にこの列車で自作音源を聴くのか…と、期待と緊張で心が入り乱れておりました。

新型車両を見送ったところで、旅の目的の一つトロッコ列車ゆうすげ号がホームに入線してまいりました!

YouTubeやInstagramで時々拝見しておりましたが、本物はやはり貫禄が…。背後に聳え立つ阿蘇山と一緒に眺めると、一層逞しくおられます。

チケットに書かれた番号に着席すると、私の背後にはテレビ取材の方が威勢よくカメラを構えており、乗客も大賑わいで、3両ともあっという間に満席になりました。
それはきっと、4/16だから。

そして発車間際、乗務員さんの素晴らしきご挨拶がスタートしました。上司から伝授したとおっしゃっていた、日本文化を尊重した、文学的な一発ギャグをお披露目された後、熊本地震から7年が経ったことに関するお話しがありました。

そして列車が走り始めました!
ガタガタゴトゴト。レールとレールの境の段差を通過するたびに、車輪の振動を直に感じるような衝撃を体感しました。
阿蘇の大自然は言うまでも無く、春にしか見ることのできない菜の花が沿線にたくさん咲いており、柔らかい風を触覚で感じるような、大変気持ちの良い列車旅。

何といっても、乗務員さんの観光案内は本当に素晴らしいんです。
車窓から見える景色についての歴史・神話・昔話。縦横無尽に語り尽くされ、勉強になることばかりです。そして時々、興味深い自分語りを挟んでおられました。

『車窓右側にご注目ください!』と案内した直後、乗客の視界に入らないようにとすぐ左側に移動されていたり、どうしても移動できない場合はその場にしゃがんでおられたり、とにかく徹底した観光案内で、乗務員様のご対応にも終始感激しておりました。
ぜひディズニーランドに来ていただいて、ジャングルクルーズで案内していただきたいです…笑

この記事の最後に、このトロッコ列車で心に残った言葉を一つご紹介させてください。

『災害は恐ろしいですが、自然は私たちに偉大な恩恵を与えてくれます。』

記事前半でご紹介させていただいた通り、この日は、平成28年熊本地震の本震から、ちょうど7年。
前震ではそこまで出ていなかった被害が、本震が発生したことによりトンネル・橋梁・線路に甚大な被害が及んだ南阿蘇鉄道。

このトロッコ列車で乗務員を務めていらっしゃったT様が、4/16にこの言葉を伝えた意味。小さな子供がたくさん乗っている中で、伝えた意味。

自然災害の脅威を経験されたからこそ、自然はただ恐ろしいものではないと、優しく私たちに伝授してくださったのではないか、と勝手に感じておりました。

私も、このような大人になりたいです。

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