Ildemaro Vargasさんの放浪記

お疲れ様です、イサシキです。

さて、MLBでは選手の移籍が非常に活発であることが知られています。

トレードやFAは勿論のこと、シーズン中にDFA(平たく言えば戦力外など)されて他球団に移籍することや、マイナーに落ちることも日常茶飯事。

毎年のように移籍している選手にはJourneymanなんて異名が付けられたりするほどなので、NPBで言うところの「生え抜き選手」はあまり生まれてきません

今日紹介するのは、MLB通算5年目にして既に5球団に移籍した経験を持つ選手です。

名はIldemaro Vargasベネズエラ出身のユーティリティスイッチヒッターです。

全ての放浪は2008年から始まった

Vargasがプロとしてのキャリアをスタートさせたのは、現地時間でちょうど13年前となる、2008年6月24日。当時16歳だったVargas少年は、アマチュア・FAなる制度で、Cardinalsとマイナー契約を結びます。その後は傘下のチームでルーキーリーグに出場し、2012年にA級のチームに昇格。2014年にはシーズン途中にAA級に昇格したものの、昇格してから1本もヒットを打てず、ついに2015年3月30日にリリースされてしまいます。

その後はアメリカの独立リーグ、アトランティックリーグに所属するBridgeport Bluefishに入団してプレーを続けました。

因みに、このチームはNPBに在籍した外国人選手も数多く入団しており、元ホークス、バファローズなどで活躍したPeñaや2008年のライオンズ日本一に貢献したBocachicaなどもプレーしていたようです。

そうして約2か月ほどプレーしていると、あるMLBの球団からお声がかかります。それが自身2球団目となる、Diamondbacksです。

D-Backs時代の飛躍

こうして2015年5月26日にマイナー契約を結んだVargasは、その1年間はA級でプレーし、86試合で打率.321、5本塁打、39打点、盗塁9、得点62となかなかの活躍を見せます。

2016年はAA級からスタートし、同年7月にはAAA級まで昇格します。結局通算で133試合に出場し、160安打、打率.305、21盗塁などを記録し、いよいよMLBへの昇格が期待されるようになります。そしてルール5ドラフトによる流出を阻止する措置として、11月に初の40人枠入りをしました。

2017年は開幕からAAA級でスタートし、現地時間6月29日についにMLBからコールアップされ、メジャー初昇格を果たします。

同日にセカンドの守備に就き、打席にも立ちましたが結果は三振。その後は12試合に出場して打率.308、打点4などを記録しました。

2018年はセプテンバーコールアップにて2度目のメジャー昇格。翌2019年は2度のマイナー落ちを経験しながらも安定してメジャーに出場し、自己最多の92試合に出場しました。

思えばここでオプションを使い切ってしまったことが、Vargasの放浪につながったのかもしれません。

怒涛の移籍劇

翌2020年8月6日、Vargasオプション切れや限定的な出場機会しか与えられないというのを理由にDFAを言い渡されます。

D-Backsはウェーバー通過後にマイナーでの再契約を望んでいたようですが、ウェーバー公示から約1週間後、金銭トレードでTwinsへと移籍することとなります。

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上記は3球団目となるTwinsでの出場記録の全てになります。移籍当初はそこそこ結果を残していましたが、同年9月2日にTwinsの正サードDonaldsonがILから帰ってくるための枠を空けるために、VargasがDFAとなってしまいます。

在籍日数わずか28日という短さでDFAされてしまったVargasですが、DFAされてから3日後にウェーバークレームでCubsが獲得しました。通算4球団目となります。

Vargasさんで印象に残っているのは昨年の9月12日(現地時間)、MIL戦でHader放ったホームランですかね。

確かHeywardとのBack-to-Backだった記憶がありますが、あのHaderからホームラン打つんだと、当時感心していた記憶があります。

そして2021年、Vargasは3月にDFAとなったものの3日後にはマイナー契約を結び、4月13日には再びメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りをしました。開幕から怪我人や調子の上がらない選手が多かったため、そのまま内野のユーティリティ兼対左のプラトーン要因としてしばらくはメジャーにいるかなあと思いきや、その約1か月後の5月15日に今シーズン2度目のDFAを宣告されてしまいました。

そして2度目のウェーバークレームにて、Piratesが獲得しました。

Piratesは当時新人王筆頭候補のHayes4番打者のMoran4月好調だったEvansといった主力内野手が怪我でIL入りをしていたため、内外野をこなせるユーティリティ性に目を付けて、ウェーバー公示から2日後というスピードでVargasを獲得しました。

ただPiratesに移籍してからも非常に打撃に苦しみ、7試合の出場でわずか打率.077と結果を残せず、同月の30日に今季3度目となるDFAを宣告されました。Piratesでの在籍期間はTwinsよりも短い13日約2週間でVargasは5球団目となったPiratesを去ることになりました。

古巣に帰ったVargasさん

2020年からの約1年間で5球団を渡り歩いたVargasさんは、現在2番目に所属したD-BacksのAAA級でプレーをしています。

Piratesからのウェーバー公示で、金銭トレードでの古巣復帰となりました。

そのため、もう察しの良い方はお気づきだと思いますが、D-BacksでもVargas6月19日にDFAを宣告され、22日にマイナー契約を結んでいます。

AAAクラスの選手から抜け出せれば...

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Vargasは元々長打に関してはあまり期待されておらず、どちらかというと俊足好打タイプの選手でした。ただ、左投手から放った16本の安打のうち、2塁打が4本、本塁打が6本と非常に長打率が高いという特徴があります。

ただ今年で30歳になることや、現在チームの状態が芳しくないD-Backsでもメジャーに昇格できないとなってしまうと、正直チャンスがあまりないかもしれません

守備に関しても内外野をこなせるユーティリティ性は魅力的ですが、ほとんどのポジションでUZRがマイナスを叩き出しており、上手なユーティリティというにはいささか物足りない印象を持ちます。そのため、メジャー昇格の際に与えられたチャンスを確実にモノにすることが、今まで以上に必要になってくるでしょう。

なんなら全球団放浪します?

現在1選手の最多移籍回数は、16回のEdwin Jackson(所属球団数もMLB最多の14球団)です。また、5年で5球団へと移籍したVargasとの比較対象として、現在NPBスワローズでプレーする青木宣親5年で7球団に移籍しています。

Vargasさんの移籍速度そのものは極めてレアなものではありませんが、ここ2年で5球団を渡り歩くのは相当だと思って今回記事にしてみました。

イサシキは、どこに移籍してもVargasさんを応援しています。

ということで、最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

今後もMLBやCubsに関する記事を書いていきますので、よかったらお読みください。

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