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IN OUR HELL

 救われるというのは、こういうことを言うのか、と思った。人を絶望させるのは人で、そこから救い出すのもまた人だ。この繰り返しを、"生きる"って言うのかな。
さながら地獄のようだ、不意に訪れる救いのために苦しみ続けるなんて、とも思うし、その救いの瞬間こそ人生における幸せなのでは、とも思う。

 地獄、地獄ね、それは人間が勝手に脳みその中に作り出した世界なんだけども、だからこそ、他人にはどうもできないし、抜け出すには自分の脳みそに言い聞かすしかない。「地獄?なにそれ、どうだっていいよ、私は私が幸せでいなきゃ許さないよ?」
 抜け出すっつっても、地獄そのものからは逃れられなくて、沼にハマって動けなくなってるのを、どうにか抜け出して前に進むことしかできない。でも、そういう人間がきっといちばん強い。自分の地獄を持ち、それでも前に進む人。自ら前に進む力を持ってる。そう、推進力だ。

 僅かな風の流れと、淡い光の粒を辿って、私たちは出口を探す。それ以外のことに費やしている時間なんてない、あっという間に死んでしまうぞ。


地獄でなぜ悪い/星野源

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