【ニュース】セブン&アイ、ヨーカ堂リストラでも難路のコンビニ集中(20230310分)
セブン&アイ・ホールディングスのグループ経営が大きな試練に直面している。積年の課題であるイトーヨーカ堂をグループ内にとどめながらも、大幅リストラに踏み出すと発表したが、先行きは厳しい。店舗閉鎖は雇用問題や地域との摩擦があり、得意の食品に集中したとしてもライバルに勝てる保証はない。コンビニエンスストアの将来にも、加盟店オーナーの担い手不足など懸念は多い。
セブン&アイはコンビニやスーパー、百貨店、外食など多様な業態を束ねる巨大な流通コングロマリットだが、低収益の事業も少なくない。「コンビニに集中すべきだ」といった声が「物言う株主」をはじめ株式市場から出ていた。こうしたなか、セブン&アイは昨年からグループ戦略を再検討してきた。
9日に再検討の結果を発表した井阪隆一社長は会見で「食を中心とした世界トップクラスのリテールグループを目指す」と語った。アパレルをやめるヨーカ堂と、食主体のコンビニ事業の相乗効果を強調することで、「総合路線」を一定程度維持する意義を示した格好だ。
東京・浅草の洋品店「羊華堂」が発祥で、グループの祖業であるヨーカ堂の構造改革は長年の課題となっていた。これまでも不採算店の閉鎖などを繰り返し、店舗数は2016年の182店舗から126店舗まで減った。それでも収益は改善せず、22年2月期は112億円の赤字と2期連続の最終赤字だった。
物言う株主として知られる米バリューアクト・キャピタルは、コンビニエンスストア事業のスピンオフ(分離)を検討するよう求めてきた。井阪社長は「今回はスーパー事業の立て直しが一丁目一番地という結論となった」と強調した。
その任務は、4月から新たに代表権を持つことになる創業家の伊藤順朗取締役に託す。05年のセブン&アイ発足以降、創業家の出身者が代表権を持つのは初めて。
26年2月末までに店舗の2割超を削減する計画だが、ヨーカ堂ではパート・アルバイトを含めて約2万6000人が働く。地方店などの閉鎖は地域経済への影響も小さくなく、地元自治体などの反発も予想される。
首都圏に経営資源を集中するスーパー事業でも、思惑通りに利益を出せるかは不透明だ。首都圏では、ヤオコーや成城石井など独自性のある食品に強みを持つスーパーがひしめく。ヨーカ堂などのスーパー事業もこれまで以上に特色のある売り場をつくれなければ、競争に勝つのは難しい。
現状は圧倒的な競争力を保つコンビニ事業に集中したとしても、将来は課題が山積する。
国内のコンビニ市場は飽和感を指摘されて久しく、出店余地も狭まっている。加盟店オーナーのなり手不足に加え、これまで成長を支えてきた24時間営業も人手不足や就労観の変化を受け、いつまで継続できるかは不透明だ。
中長期的にコンビニが失速した際の新たな柱は確立できておらず、総合小売り路線を維持した面もありそうだ。
私事だが、弟がかれこれ20年近くコンビニで働いている。
なお、正社員ではなくアルバイトとしてだ。
実際弟に「そんなにコンビニ業界で働いていきたいならアルバイトではなく加盟店オーナーとしてやったらいいのではないか?」と話したことがある。
しかし、弟の返答は「コンビニ業界のオーナー程辛いものは無いと思う」との事だった。
この返答からも分かるように、加盟店オーナーのなり手不足が問題になっているが収入と忙しさが比例していない事が要因として考えられる。
まずはこの問題点をどう解決するかが一歩なのではなかろうか。
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