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⑪見つかったたくさんの障害

(前回の話から)お産前の大出血から2日間の微弱陣痛を得てようやく出産したのは良かったが、生まれた息子にたくさんの奇形が見られた。

全身は遠目で見るとわからない感じだったが、
上から見たときに頭から足までがまっすぐではなかった。

そして鼻のセンターラインから半分は普通の形をしているのだがもう半分の鼻がなかった。
ない方の鼻を詳しく言えば、
鼻の穴を作る鼻翼の小さな月形の軟骨はあり、その上はぼかっと空いていて、鼻の上の部分に丸い1センチ位のコブがあった。

コブの中には軟骨がなく、触るとふわふわしていた。
片方の耳は普通で空いていたが、もう片方は閉鎖していて、副耳と言われる肉片のようなものがあった。

産後一週間経つと通常は赤ちゃんと一緒に退院、、といったところだが、
心臓の雑音が気になるということと、
顔など見えるところに奇形が見られた場合、心臓そのものに奇形があることも想定できるというので、紹介状を書いてもらって県立の大きな病院に検査入院することになった。


初めて見た世界にショックを受ける

病院に周産期センターという科があり、そこで検査期間中お世話になることになった。

周産期センターに行くと
大きなガラスの向こうに小さなベッドが並んでいて、命のチューブに繋がれている赤ちゃんがたくさん見えた。

身体に奇形のある赤ちゃんが何人かいた。

頭だけものすごく大きな赤ちゃん、ひな鳥のようなものすごく小さな赤ちゃんもいた。

未熟児だ。写真では見たことがあったが実際見たのは初めてだ。

生まれた重さが頭のところに書いてあった。

1000g未満の小さな赤ちゃんのオムツはそれはそれは小さく、まるでお人形のようで看護婦さんが指先でオムツをつまんでお世話をしていた。


私もつい何日か前に生まれたわが子に奇形があってここにいるわけだが、この時見た他の赤ちゃん達の光景はショックだった。


昨日までいた産院ではいわゆる「健常」の赤ちゃんの中にいたわけであるが、
見た目の奇形が顔のほんの一部でしかない(とこの時は思っていた)わが子の障害がなんだか軽いような気がした。

とりまく世界が変わると気持ちまで変わるものだ。


息子の検査は2日ほど要すると言われたので、母乳を冷凍にして届けることになった。


検査の結果

検査の結果が出たので夫と二人で医師の話を聞きにいった。


レントゲンを見ながら医者の説明を聞いた。

見た目でわかる鼻の奇形と外耳道閉鎖の他、やはり脊椎異常が見つかった。


しかし。こんな肋骨のレントゲンはこれまで見たことがなかった。

まず左右の肋骨の形状が「対」でない。
そして一つ一つの背骨が頭蓋骨までまっすぐ通っていない。


肋骨の左側半分は真ん中の背骨に正常な骨の付き方をしているのだが右側の上部の肋骨がいくつか癒着して背骨についていた。

本来ならば2本ある肋骨が1本しかなくその末端で枝分かれしてYの形をしている。


そして正面から見ると全体的に35度右側に傾斜していた。
部分部分の肋骨の奇形で左右対称ではないからなのだろう。

産後息子の世話をした際、そういえばなんか体が「まっすぐ」じゃないなあ。とちょっと思っていた。


そしてさらに首の骨(頸椎)が
正常の人は出っ張りのある短い筒の連続で頭蓋骨を支えているような形をしているが、
息子の首は小さな石を無造作に重ねたような首の骨の構造で、
通常私たちがうつむいた時にでる、首の骨の後ろの(恐竜みたいな)ボコボコした出っ張りがなかった。


医師が

「今後成長していく時、肋骨の左側と右側が同じように成長していけばいいのだけれど、正常な左側の肋骨の成長に右側が追いつかないということも考えられる。

側弯の角度は現在35度だが、その角度が更に進んでしまうかもしれない。

そうなると立ったり、歩いたりなどの日常の動作が出来なくなるかもしれない。

一般的には側弯症といわれる類になるが、その側弯の角度が進むことが一番怖い。

一般的に側弯症の手術というのは腰のあたりの背骨の歪みに対しては行えるが、この子の場合は位置的に手術は不可能。

今後どのように成長していくか。は本当にわかりません。と。

鼻の奇形は手術すれば何とかなる、
耳も片方は開いているのだし、(この時は開いている方の耳は聞こえていると思っていた)なんとかなる。なんとか。。。と思っていた私だが、

ここにきて「さらにまだ(障害が)あるのか。。まだ。。」と絶望的な気持ちになってしまった。

手術もできない。
経過を見守るしかないとは。。。

どうすればいいのか? 
でもどうしようもない。。

複雑な気持ちで息子を抱っこして病院を後にし、実家へと戻っていったのだった。

前回の話はこちらです↓


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