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レコード棚を総浚い #50:『Bruce Springsteen & The E Street Band / LIVE / 1975-85』

1986年にリリースされるや全米1位まで上り詰めたボスのライブ盤。レコードでは5枚組である。

このアルバムは日本でもよく売れたようで、中古市場に豊富に出回っている。安価で国内盤を入手した後、友人から輸入盤を譲り受けた。
聴いてみれば、どんな人でも輸入盤の方が音が良いと感じるだろう。
楽器の持つ付帯音のニュアンス。
ボスの掠れたシャウトの余韻に含まれる金属的なシャープさ。
サウンド全体の立体感。
加えて、このレーベルの立体的な加工にも所有する喜びが満ちている。

このアルバムが出た頃、ドラムの上手い後輩がCDで聴かせてくれた。
観客のシンガロングから始まる『ハングリー・ハート』のところに来ると、これが佐野元春の『サムデイ』のネタ元ですよね、と元春信者の僕を挑発するが、確かにそっくりだ。
でも僕はそんなことより、聴こえるほどにはシンプルな符割りでもないこの曲を、出だしから丸ごと難なくシンガロングできる観客に驚いていた。

英語を母国語とする人にとっては、この歌はアンセムとなり得る。
佐野元春は、僕たちにとってのアンセムを作ったんだ、と思い当たって、音楽にはパクリかそうでないか、よりも大切なことがあると教えてもらった。
負け惜しみではないつもりだ。

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