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レコード棚を総浚い #47:『Boz Scaggs / MIDDLE MAN』

ボズ・スキャッグス80年代最初のリリースとなるスタジオアルバム『ミドル・マン』

すでに『宇宙の騎士』『ハイドラ』と快調にアルバムを発表しているTOTOの主要メンバーが、本アルバムでも大活躍している。
特にスティーブ・ルカサーのギターが、多くの曲でフィーチャーされていてアイディアに満ちたバッキングを聴かせる。
そんな中で、聴くたびに耳を奪われるのが『トワイライト・ハイウェイ(You Can Have Me Anytime)』で披露されるカルロス・サンタナ必殺のギターソロである。
南部志向に巧みに時代の音を織り込むボズが80年代のロックを見通して作った洗練のアルバムに、70年代の郷愁を滑り込ませるサンタナの存在感はどうだ。

多くの曲で共作をしているデヴィッド・フォスターの存在も、このアルバムを特別なものにしていると思う。前年79年、EW&Fに、間違いなく歴史に残る名曲『アフター・ザ・ラブ・ハズ・ゴーン』を提供してノリにノリまくっている時期である。

そして、エンジニアリングを担ったビル・シュネーに触れないわけにはいかない。
ビル・シュネーは、スティーリー・ダンの『エイジャ』なんかを録った人で緩んだところのない硬質なサウンドを作る人だと思う。
本作でも前作と明らかに異なる音を作っていて、それがこのアルバムの「新しさ」を感じさせるのではないか。

『ミドル・マン』を聴いた小田和正は、このエンジニアとレコーディングがしたいと西海岸に飛び、オフコース最盛期のアルバムの一つ『We are』を録る。
オフコースとのサウンド・メイキングでも小田さんのエレピにそれまでにはないエッジがついて、ある種の緊張感のようなものが漂う。
そんな緊張感、あったか?と思われる方は、もしお持ちなら『We are』最終曲『きかせて』のイントロを聴いてみて欲しい。まるでスティーリー・ダンみたいだから。


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