Live work

失明しかけて一旦なにも撮れなくなってからまた撮り始めたわたしは、やっとライブの写真を単なる「データ」から「作品」へと変換できるようになる。

流れ作業的にwebに上げて後は好きに使っていいよ、ということしかしていなかったし、写真展ではライブの写真は展示していなかった。なんらかの形にしたかった、けれど、うまく形にならなかった、それを、ようやく形にする術を手に入れたわたしは、風景の写真とライブの写真をごちゃまぜにひとつの壁に展示するというスタイルでギャラリーでの個展を打つようになる。

ライブを撮るのは眼の寿命を削るようなもので、いつどうなるかわからない。ライブハウスの大抵のバンドは数年もすれば脱退だの休止だの解散だので消えてしまう。それなのに、そうまでして撮るのはなんなのか。そもそも、そうまでして、また撮ろうとしたのは、なんだったのか。

その時のわたしは、とにかくいろんなことに苛立っていた。それは 「一瞬の重さ」 というものに対する切迫感と、それをどうにかして可視化したいという暴力的な衝動だった 気がする。一回のライブ毎に一冊のフォトブックを作り、バンドに一冊渡した。毎回毎回。それは今でも続いているし、これからもやめない。

いつどうなるかわからない いつ消えてしまうかも知れない そんな いろいろ

いつか終わりが来るからこそ、そのひとつひとつを、ひとつずつ、積み上げ続ける。

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