息吸い、５

「だいぶルクスの吸収能力が上がりましたね。向こうの夢でも見ながらしばしの滞在を」

研究所で、卓矢にヘッドセットを付けながら清水さんは感心するようにこのA4の紙を見つめた。眼球の仕組みというのは、元来は逆さまに映っているものを脳が修正をかけて上下逆のまま万有引力（などという地球説）で安定しているわけだが、そのデータをルクス変換して読み取るのだ。

このコードを解析し学習する能力は地球人には分からないだろうが、素晴らしい成功事例だ。

「さらっと任務報告コードを読んだが、かなり評価が高いよ。次の周回ではトップリーダーになりそうだ。いいかい、こんな低い確率で惑星は水の層の中に空気の層があるなんて実証して・・・」

清水さんはあわてて手で口を閉じた。マネジメント能力が相変わらず高いな。タクヤ！タクヤ！と乗せられてはみたものの。地球との友好的条件締結に向けて課題は山済みで、しばらくは向こうの夢でも見ながらしばしの滞在を楽しめ。と言われても。

夜空に光あれ　って具合で銀河列車は運航中。

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時間とは光に縛られた物差しである。

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