秋の和歌4
露はらふ寝覚めは秋のむかしにて見はてぬ夢にのこるおもかげ(藤原俊成女)
秋の露のように涙に暮れて目覚めるのはいつものことだけれど、今朝は夢にあなたがいた。あなたのやさしい感触がまだ残っているみたいでそっと自分の指に口づける。これがずっとあったらいいのにな。またすぐ消えてしまうんだろうな。あなたがここにいたらいいのにな。もう何度こんな朝を迎えただろう。あなたがいなくても夜は明けて朝が来て季節は巡る。もう何度目のあなたがいない秋だろう。あなたの記憶がどんどん遠く薄れていくのが怖くて夢の残滓を必死に掻き集め縋り付く。会いたい。会いたい。秋は、床がよく濡れる。
私がだらだら書き連ねる駄文を三十一文字で歌えるのが和歌です。悲しみ、ととってもいいんですけど、この夢は色っぽい夢でその余韻に浸ってると考えると大変艶のある図ですね。見果てぬ夢ですからね。
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