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12/2クリスチャン・ツィメルマンリサイタル@みなとみらいホール

ツィメルマンのリサイタルに行ってきました。素人の感想です。語彙力はない。知識もない。愛はある。

ショパンノクターン。
すごく柔らかい音色で弾いてましたね。響きすぎないように、音が立たないように、すごく意識して音色をコントロールされていたと思います。ドラマチックにも弾ける曲ですが、「夜想曲」の名にふさわしい、しっとりと控えめの演奏でした。

55-2、目を閉じて聴いてると天からきらきら音が零れ落ちてくるようでした。
62-2は地味ながら私の推しノクターンなんですが、中間部の二声のところをどう弾くかが1つのポイントだと思うんですけど、楽譜に忠実にAgitatoでした。ついショパンだから歌ってしまいがちだし私も自分で弾くときねっとり弾きすぎたなと反省。Agitato、急かすように、弾かなきゃいけない。もちろん完璧に二声が立ってました。

ショパンソナタ2番
これは葬送行進曲がすごかった。
この曲、繰り返しばかりで退屈な仕上がりになりがちなんですけど、完璧な構成と明確な音色のコントロールで、こんな葬送行進曲は初めてだと思いました。
再現部の重々しさ、荘厳さ。始まりと全く同じメロディなのに全く違う聴かせ方でした。そこからさらにもう一回同じメロディの繰り返しなんですが、そこは一段音量落としてフェイドアウトしていく。葬列が遠ざかっていく。なんていうか、デュナーミクのつけ方はそのまんまで機械みたいに音量だけ落として弾くみたいな正確なコントロールはどうやったらできるんですかね?

ソナタ2番といえば謎の第4楽章。
ツィメ様の聞かせたい音が明確に聞こえてきました。うねる音の波の中にああこの音の動きか、というのがよくわかりました。


ドビュッシー「版画」
凄かった。何も言えないや。雰囲気ドビュッシーじゃないの。あらゆる音がちゃんと意図を持って鳴ってるドビュッシーなの。ドビュッシーもこうやって弾いてほしかったんじゃないの、と思っちゃう。
ツィメ様らしいなと思ったけど、「グラナダの夕べ」のユーモラスなリズム、すごく上手。
やっぱりこのリズムがあって、ドビュッシーなのよ。なんか印象派のきらきらだけじゃだめなのよ。

「雨の庭」最高でした!!自分も弾くんだけど雲泥の差、月とすっぽん過ぎて同じ曲と思えなかったわ。一億分の1でも、この精度で弾きたいね。無理。


シマノフスキ「ポーランドの主題による変奏曲」
そもそもこの曲が大好きなんですが、ツィメ様の弾いてるのしか聴いたことないのでツィメ様の演奏が正義。
これが一番情熱的だったんじゃない?
一番良い演奏だった気がする。 何番だっけ、音源では結構しっとり弾いてるのを激しくテンポも速めで弾いてて全然印象が違ってはっとしました。ツィメ様ノリノリなのでは?と思いました。

これでプログラム的には終わりだったんだけど、アンコールがあるか?
私はツィメ様のリサイタル何回も行ってますが基本やらないので、1回しか聴いたことない。と思ったら。
やりました、やりましたよ!!ありがとう!!!ラフマニノフの前奏曲でした。聴けると思ってなかった。

お別れにふさわしく静かにしっとりと聴かせてくれました。

最後ピアノの蓋閉めて終わってなんか笑った。若い頃はハイパー美少年だったけど、今は素敵なちょっとかわいいおじいちゃんです。

全体で。
相変わらずペダリングというか響きのコントロールがすばらしかった。どの曲も最後の音のホールへの残響までコントロールされてて曲が終わった後の余韻、空気感まで最高だった。

いいリサイタルだったと思います。
ありがとう!!

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